山本正之アルバム「男に咲く花」DISC2感想
サスクハナ号の曳航IV 父の戦争
・少年長編ドラマシリーズ最新作です。長編と言っても、10分20分じゃありません。約30分に渡る、堂々たる大長編です。なので、いきなりこの曲から聴くと挫折の危険がありますので、DISC1を先に聴いて徐々に徐々に慣らしてからのほうがいいと思います。そういう意味でも、この曲を聴くのは持久走を走るのにも似ています。
・4作目なので、過去3作の出来事が解説なく出て参ります。出来れば1と2だけでも聴いておいたほうがいいとは思いますが、それがなくとも大筋は把握出来ますし、内容は楽しめると思います。
・本作は(この曲は、というよりも本作はという言い方がふさわしいでしょう)、山本先生のお父さんが赴かれた戦争体験を本にして展開していきます。山本先生のお父さんの世代は、私の祖父の世代でもあります。皆、家々にこのような戦争の記憶があるのでしょう。その記憶が、美化もされず偽悪的にもならず、時に叙事的に、時にユーモラスに、出征兵士が帰国するまでの物語として広がり、歌い上げられるのです。もちろん、全てが事実そのままではなく創作部分もありつつ。創作部分がファンタジー的に展開していくところがまた、山本節です。
One More Hug 涙光るまで
・観客のアンコールによってステージ上に戻ってきた山本先生の姿が目に浮かびます。
・少し寂しい、別れの歌です。多分ライブで聴いていたら泣いてしまっていたと思います。
・この曲を聴いていると、どうしても、今年亡くした義父のことを思い出さずには居られません。実の父よりもむしろ父としての存在感があっただけに、なかなかショックが抜けきりませんが、この歌を聴きながら、ああ、ショックを受けたままでずっと生きていくんだな、それでいいんだな、と思いました。
・大事なものは、本当に大事なものは、形がなくなろうが消えようが、必ず戻ってくる。自分自身の中に存在する。それを、なくす前と同じように大事にして生きていけばいいんだ。そう感じました。
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