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ふさ千明のおたネタ日記

漫画、アニメその他諸々の感想がメインのブログです。現在は「ここだけの話」シリーズについての感想を中心に運営しております。毎日15時の更新は終了し、現在は再び不定期更新に戻っております。

習作「ぼくときみのたからもの」

 リハビリがわりに資料がなくても書ける話を書いてみました。最初にお断りをしておきますが、この物語はフィクションです。ええ、フィクションですとも…。100%ではないですけども。


   ぼくときみのたからもの

 先日、家でアニメ化物語を見た。休日を丸々使って全話見終えて、妻と感想を言い合っているうちに、第十二話のラストシーンに話題が及んだ。
「宝物ねぇ…。見せてもらったよねぇ」
妻が人の悪い笑みを浮かべる。
「悪かった、あの時は本当に悪かった」
私はこの話題になると、本当に弱い。


 記憶の糸をたどる。
 戦場ヶ原ひたぎにとっての宝物があの星空だとしたら、私にとっての宝物は何だったか。大切な人と一緒に見たい景色は何だったか。

 彼女が出来たら球場で一緒に観戦して盛り上がりたい、というのが長年の夢だった私は、その年一番になるだろうという試合の観戦に当日つきあっていた彼女を誘った。誘ったと言うより、拝み倒して来てもらったというほうが正確だ。

 時は今を去る事7年ほど前、8月末の日曜日。どうしてもこの日でなければならない事情があったため、交代制勤務の私は休みを確実に確保するため事前に根回しをしたりとちょっと面倒があったが、無事に休めて、最寄り駅で合流できた。
「今日はありがとう」「ホントだよ」
 関東と関西でそれぞれ離れているため、また互いに社会人ということで会える時間は限られている。その貴重な1日を野球観戦の為だけに費やすというのは、自分から言い出したことながらかなりの贅沢である。
 駅からは夕暮れ時の街をゆっくりと歩く。我々が向かったのは花火も見られる野外球場。海に面していることをその名に冠したスタジアム。懸念された雨も降らず、暑さもほどほどと観戦するにはなかなかの好条件。

「なに、これ?」物心ついてから野球場に来るのは初めてだと言っていた彼女は、球場周辺が屋台街になっている事に戸惑っていた。「野球場じゃないみたい」「最近こうなった」私は私でごく端的に説明し、お勧めの店の解説等をする。

 巧みに行列を避けて買い出しを済ませ、浮き足立ちながら入場ゲートをくぐり、いつもの場所へ向かった。

 数年前まではこの球場で席の確保に苦労する事等なかったのだが、この年は成績好調だった事もあって毎試合席の確保に往生させられた。この日は特に大一番となる試合だったので、観戦仲間の協力がなければ2人分の座席を外野に確保すること等出来なかっただろう。

 そう。
「お疲れ様です」「お疲れ様です」我々の周りにはいつもの仲間が居た。この日は私の自慢の彼女のお披露目にもなったのだが、これがまず彼女を怒らせてしまった。

 人見知りの彼女が、事前の覚悟もなく衆目にさらされたらどんな気持ちになるか、すっかり浮かれていた私は脳裏によぎる事すらしなかった。

「さぁ、これが、俺の愛して止まない眺めだ」精一杯格好をつけて紹介した光景は、間違いなく私の宝物だった。ライトスタンド中段から、眼前に広がるグラウンド。海風と鴎のスタジアム。マウンドにはようやく復帰なったエースが、球場中の声援を一身に受けてピッチング練習をしている。「チームが弱い頃必死に投げてくれたから、ケガで何年も投げられなくても、みんな待ってたんだ。つらい時に支えてくれた存在って大きいよな」と言うと、彼女は少し苦い顔をした。それを不思議に思ったものの、守備につくスタメン選手達がグラウンドに登場すると、彼等についてあれこれとエピソードを絡めつつ語る私は、そのことをすっかり忘却の彼方へと置き忘れた。

 試合は、ホームチームの有利に進んだ。1回裏、いきなり先制点が入った時には「やっぱり勝利の女神だった!」と彼女に抱きついたりもした。その時だけは、ちょっとだけ、本当にちょっとだけ嬉しそうな顔をしていた。

 4回裏にも4番のホームランで追加点。6回にもさらにホームランが2本出て、一方投げてはエースが相手打線をゼロに抑えていた。応援のボルテージを上げる一方で、ほったらかしにされたと言われない程度には配慮していたつもりでいた。それが、どんなに愚かな勘違いだったかはすぐに思い知らされることとなったのだが。

 7回途中、ゼロに抑えたまま交代するエースの背中に割れんばかりの拍手を送り、後続のピッチャーがマウンドに上がったところで「もういいでしょ!」と一喝された。涙をぽろぽろとこぼしながらこちらを睨みつけ、その場から立ち去ろうとする彼女を訳もわからず引き止めようとしたが、それが余計火に油を注ぎ、手を振り払われてしまった。呆然とする間もあらばこそ、観戦仲間へのあいさつもそこそこに後を追った。

 引き止めては振り払われ、繰り返すうちに球場のすぐ外にある砂浜にたどりついた。大歓声が響いて来たので、おそらく試合は勝ったのだろう。しかし、今の私にはその事もあまり意味を持たなかった。ようやく立ち止まってくれた彼女に対して自分に何が出来るか、何をすべきか。
「ごめん。すまん。悪かった。許してくれ、とは言わない。気が済むようにしてくれ」
「ひどい!今日のはひどかった!」
お腹立ちはごもっともなので、頭を下げた状態で責められるままになる。
ほったらかしにされたこと、苦手な人ごみと大音量の中に2時間以上も居る羽目になったこと、そして。
「どうせ私は一番つらい時にそばに居てあげられなかったよ!」
と言われたとき、私は自分が踏んではいけない地雷を炸裂させた事にようやく気がついた。

 私の就職先が住み慣れた土地を遠く離れた先だったこと、ロクに運動もした事がないくせに体育会系な仕事内容だったこと、そしてそんな私を一時期だけとは言え支えてくれた別の女性が居たこと…。

 それをずっとずっと気に病んでいたのか。こうなっては私も全てをなげうって詫びるしかない。青ざめて土下座まがいの体勢までとって、10分以上をかけてようやくお許しが出た。

「もういい。もういいよ。今度は私の宝物にもつきあってもらうから!」
そうして、それから1年程の未来、嫁入り道具として我が家に運び込まれたガンダムWのDVDボックスは劇場版まできっちりと鑑賞することとなったのである。

                ぼくときみのたからもの  終わり

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絶望先生SS 日塔奈美の日記 その26

○月○日
「笑っちゃいけないって言われると」「逆に笑っちゃうよね」
あの時、言いながら頭の中をよぎっていたことは
「好きになっちゃいけない人ほど、好きになってしまう」
ということ。
教師と生徒だとか、ライバルが多いとか、そのライバルが友達だったりとか、あんまり揉め事を起こしたくないタイプだとか…。
我ながら、厄介な人を好きになってしまったな、と思う。…………でも、好き。


日記を書きながら顔が赤くなるのって、どうなんだろう。先生が見たら、笑うかな。

(第二七集第二百六十七話「節電中の日本より」P95より)


×月×日
………聞き出されてしまった。



(第二七集第二百六十四話「あひあひゞき」P58より)


△月△日
雨女と晴れ男がいっしょに居ると、どっちが勝つんだろう。
なんだか、雨の方が勝つ気がしてならない。何だろう。並行世界の記憶かな?私と先生で、たくさんの人が雨の中並んでいるところを見たことあるようなないような…。夢かな?というか、夢であってほしい。もしくは忘れたい。


(第二七集第二百六十四話「あひあひゞき」P74より。また、絶望放送イベントネタも加味)

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絶望先生SS 日塔奈美の日記 その25

○月○日
「先生、それ…」
「ああ、R25ですか。ちょっと気になる記事が載っていたのでもらってきたんですが、これが何か?」
「イヤ!そんなもの女性の前で広げるなんてセクハラですよ!」
「せく…はら?」
「だってR25ですよ!」
「ハイ、R25ですけど」
「25歳未満禁止って、どんな内容なんですか一体!」
「…日塔さん、あなた、そんなものが堂々とコンビニや書店に堂々と並んでいることに一度も疑問を抱かなかったのですか?」
「日本のフウキの乱れもここまで来たんだなー、くらいには思ってましたけど」
「R25というのは大体その辺の年齢をターゲットにしているという意味合いなので、特にいかがわしいものではないのですが」
「そうなんですか?」
「お疑いならネットで調べてみますか?」
すべては先生の言ったとおりだった。またいらない恥を…。


(第九集第九十四話「暴露の実の熟する時」P59より着想)

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絶望先生SS 日塔奈美の日記 その24

2月14日

「はい、先生。チョコレートです!」
放課後。誰もいなくなった教室。この状況を作るために2人で色々画策したので、もうすっかり暗くなってしまった。
 私が満面の笑みで手渡したのは、59粒が入った大きな箱。
「おぉ。ゴヂバのグランドプラスではないですか!どうしたんですか、こんなに高価なものを」
「先生が好きだって聞いたから、頑張ってバイトして買ったんですよ!」
「ほう…」
さぁ、先生どんな顔するかなって楽しみにしてたのに。あれ?先生の表情が…暗い。
「私は、2人で過ごす時間は、何にも替えがたいものだと思っていたのですが」
「もっちろん、私だってそうですよ」
「それを削ってまでバイトして入手されたチョコレートをもらっても、私はいささか喜べないのですよ」
「先生…」
私はようやく気がついた。表情の訳を。
「このチョコレートのために、我々が2人で過ごせる時間が失われたのだと思うと、むしろ怒りすら感じてしまいます!」
久しぶりに見る、先生の悲しそうな顔。
「こんなものをもらうより、その分私はあなたと一緒に居たかったですよ!……失礼。言い過ぎました。このチョコレートがあなたの心づくしである事には違いありません。ありがたく頂戴します。ただ、次は、私にさみしい思いをさせない程度にお願いしたいと思います」
言うだけ言ってスッキリしたのか、先生は普段の表情に戻った。まったくもう、受け取る時くらい素直に受け取ればいいのに。バイトだって結構大変だったんだから。
 バイト、という言葉で私は1つ思い出した。
「先生、ひとつ聞いていいですか?」
「なんでしょう」
「もしかして、それで私のバイト先に出没した上、つっけんどんに扱ったんですか?」
「…………!」
「あー。もうかわいいなぁ先生ってば!」
えーと。ここから先は、ちょっと書けない。書けないような事をしてしまった、とだけ書いておく。

(元ネタ:原作の各場面と、身近に起きた事実が少し)

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絶望先生SS 日塔奈美の日記 その23

 ○月○日
 本日の食べ歩き記録

 バケツラーメン(根端金物店)
・バケツ型の器で食べさせてくれるところは嬉しいし面白いけれど、見た目の面白さに味がついて行っていないのが残念。
・バケツの大きさを選べるのは良かった。
・麺が固めだったので、おじさんに聞いてみたら「そりゃ、金物屋だからね」とニヤッとされた。多分うまい事言ったつもりなんだろうけど、もう行かない。
 

 文具ラーメン(島文具店)
・箸がコンパス型と鉛筆型を選べたりとか、ナルトが消しゴム状とか、面白くしようとしているのは分かるし、頑張るのはいいんだけど、頑張りどころが間違ってる気がする。ちなみにメインのラーメンは、朱肉型の容器に入った真っ赤な担々麺。見かけほどには辛くなかったし、悪くはない。
・替玉ができるのは嬉しいけど、一々巨大替芯容器から麺を取り出すのがちょっと…。
・夏まで続けられたら輪ゴム状の麺で冷麺をやるらしい。多分そこまで持たないと思うけど。

(第二一集第二百三話「シフトは乱れて」P41より)

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絶望先生SS 日塔奈美の日記 その22

○月○日

 「なみ平ってそんなにラーメン好きだったっけ?」「え?あ、うん。そうだよ。気がつかなかった?」
 久しぶりに会った友人とご飯を食べることになって。ラーメン屋を選んだときに、そんなことを聞かれ、私は少しだけ嘘をついた。

 確かに元々好きではあったのだけれども。私が今みたいにラーメン好きになったのは、ついこの間のこと。こんなになっちゃったのは、ある人に出会ってから。

 「糸色先生、ラーメンお好きでしょう」
 その会話を耳にした時は。へぇ~、先生ってラーメン好きなんだ。と。そう思っただけだった。

 先生のことが好きになって、付きあい始めてから、一緒にご飯を食べにいくことになって。「日塔さん、何が食べたいですか?」と聞かれて、思わず「ラーメン!」と答えて。そのとき、先生が嬉しそうな顔をしたから。「じゃあ、私の行きつけの店があるんです。そこにしましょう」って、弾んだ声で答えてくれたから。そしてその日、2人で食べたラーメンがとってもとってもおいしかったから。食べてる時の先生の笑顔が、初めて見る顔だったから。

 そうして私の好きな食べ物は、ラーメンになった。

(第八集第七十二話「数とともに去りぬ」P22より。あと、数々のラーメン好きネタから着想)

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絶望先生SS 日塔奈美の日記 その21

 ○月○日

 せっかくなのでもらったチャイナドレスを持ってかえってみた。いつかこれを着て先生と…とか思いながら鏡の前でポーズをとってみたり。どうかな?喜んでくれるかな?
 前から。後ろから。魅せることを意識して、見られることをイメージして、かがんでみたりとか、ちょっと腰をくねらせてみたりとか。
 


 ダイエット、しなきゃなぁ…。やっばいなぁ…。

(第十九集第百八十一話「ウィルス将軍と三人兄弟の医者」P12より)



 ○月○日

 普通先生、来ると思ってベタなネタたくさん用意していたのに白羽の矢は刺さらなかった…。


(第十九集第百八十八話「かぶったさんのカレーライス」P117)

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絶望先生SS 日塔奈美の日記 その20

 ○月○日

 警察官職務執行法第2条第1項

 1.異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者
 2.既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者

 というわけで。今日私は生まれて初めて職務質問を受けてしまった。その上交番に連れて行かれてお説教を受けてしまった。カバンから頭のパーツがはみ出ていたのが失敗だった。

 どうせ最初っから創刊号しか買えないの分かってたんだから、週刊絶望先生なんて買うんじゃなかった…。でも1/1モデルの先生欲しかったなあ。色んなこと言わせてみたかったなあ。まだ見たことないところとか、見てみたかったなあ。きっと完成させた人いるんだろうなあ。いいなぁ。

 追記
 後日、ねんどろいど糸色望というのが発売されたので買ってみた。これ、小さいのにとても良く出来ていて、びっくり。色々表情変えたりポーズ取らせたり、うちに前からあった人形と首をすげ替えたり。色々楽しんでしまった。

(第十六集第百五十八話「アンドロイドは機械の花嫁の夢を見るか」P116より
 あと、新谷さんのブログから一部拝借) 

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絶望先生SS 日塔奈美の日記 その19

 ○月○日

 先生に無視された。
 せっかく喜んでもらおうと思って足を上げたのに。先生の反応、見てみたかったのになぁ。
 後で聞いたら「ああいうのは例えそうだと分かっていても愉快ではありませんから」だって。「あなたがああいう格好をして好色な視線にさらされているのを見て、一緒に喜ぶなど、私には出来ないことです」だって。

 そっかぁー。ヤキモチだったのかー。ふふふ。

 「みたくないわけじゃ、無いんですよね?」って聞いたら「もちろんです」って答えてくれたから、見せてあげた。どきどきした。先生もどきどきしてくれていたみたい。

 (第十六集第百五十九話「学者アゲアシトリの見た着物」 P120より)

 

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絶望先生SS 日塔奈美の日記 その18

○月○日
「普通は普通でいいんじゃない?」って。しかも先生ふぉろーするどころか同意してたし。あんまりだ。
あとで「あなたはあなたのままでいいんです」とか言うから「いいんですよ、無理にフォローしなくても」ってすねてやった。ふんだ。

(第十四集第百四十話「言葉のある世界」P143〜144)

○月○日
「でもカワイイから許す」って、ちょっと憧れる。言われてみたいなあ。かわいさがマリアちゃん級でないと無理かなぁ。先生に「言って」って1回おねだりしてみようかなー。

追記。頼んで言ってもらうのってすっごく絶望的だった。そんな目で見ないで。言われた事なかったの!言われてみたかったの!
(第十四集第百三十六話「デモの意図」P91〜92より。あと、ちょっとfugu-suki@も入ってます)

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