アオイホノオ.1について
この作品の舞台である1980年代初頭と言えば、私が物心つきはじめた頃だったもので記憶もそんなに鮮明ではないのですが、少年サンデーよりもコロコロコミック、少年ビックコミックよりも小学館の学習雑誌を読んでいました。
この「アオイホノオ」は燃える漫画家島本和彦の過去話を基軸にした作品で、どこまでが事実でどこまでがフィクションなのかは不明ですが、そういうことを気にせず読む方が面白いようです。
タイトルの「アオイホノオ」は、青い頃の自分、という意味と炎は実は赤い部分よりも青い部分の方が熱い、ということがかかっているのではないか、ととらえています。
デビュー前の庵野秀明、山賀博之、南雅彦、矢野健太郎らが出てくるだけでも買った甲斐があったというものですが、中でも伝説の「庵野秀明ジャージでウルトラマン」がマンガで読めたのはオタク冥利に尽きるというものです。
こういうそうそうたる面々を自分のマンガのキャラとして動かせる力量はさすが島本和彦というべきでしょう。
この作品は島本流名言集の数々が溢れていますので以下抜粋してみます。
・名言集
P30、P32「俺だけは認めてやろう!」
この読者の上から目線。ファンはこの立ち位置でいいと思うんです。同じ土俵に立っちゃったらダメでしょうけど。
私自身上から目線自体は今でも持ってます。あんまり使いませんけど。立ち位置が違うというのを言い訳にしてます。プロを目指しプロになれなかった人間に残された数少ない特権だと思ってます。
P48「アニメーターになって責任ある立場に立てば人気声優に会える!きっと、会い放題だぜ!?」
私は絵が描けない人間なのでこの発想はなかったですが、これ、別のところでも読んだ覚えがあるので、誰もが一度は通る道なのでしょうか。
P63「俺だけのあだち充じゃなくなったーっ!!?」
この「あだち充」を別の名前に置き換えれば、マイナーな頃から追っかけていた作家がメジャーデビューした時に同様のセリフを口走ったり心の中で叫んだりした人は結構多いのではないでしょうか。
P135「漫画ばかり描き過ぎて…3回留年!!いまだに一年生だ!!」
矢野健太郎先輩の名言というか炎の告白。さすがヤノケン。私が中学生だった頃この人には「らぶ・しみゅれーしょん」で私のハートと股間を射抜かれたものですが、スタートラインから既にこんなんだったとは。
P201「ああっ、やられたーっ!!!」
同じこと何度叫んだかなぁ。一番近いところでは「ハルヒ」でしょうか。あれでどこか心の中に残りくすぶっていたプロへのわずかな望みも完全に諦めました。
書くこと、書き切ることの大切さ、どんな面白い話も頭の中にあるだけじゃダメなんだ、逆にどんなつまらない話でも書き切ればそこから始まるものもあるんだってことを今でこそ分かってますが、学生時代は「つまらないものを書くとそこで自分が、この設定が終わってしまう!」とか言い訳してました。
すいません。色々とよぎってしまいましたので今回はこの辺で。
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