育ってダーリンの話
どうにも面白いんですこのマンガ。
と書いてから半年が経ってしまいました。ようやくまとまったので前回からの続きですが、もちろん半年前の文章を一々読み返していただくのも大変申し訳ないので最初っからやります。
このマンガは羽留うらら(高1)の逆光源氏計画で坂本冬馬(小5)を理想の男に育て上げようとするというラブコメものです。
ヒロインの名前はスト2のミス太もも「春麗」の読み替えから持ってきたのかな、と推察してますが、まぁこれは私の勝手な深読みに過ぎません。今だったら競走馬のパクリと言われるんでしょうけども。
本作は久米田先生が今の芸風になる前のものなので絵柄もギャグの方向性も違いますが、やっぱり根っこの部分は通じるものがあるのではないかと思います。思いますという印象だけで具体的に指摘できないと説得力がないので挙げてみますと
・和服がうまい
・1ページぶち抜きで人物を描く
の2つでしょうか。そういう意味ではルーツの1つだと思います。
また、中学生編でキャラの名前が主人公の坂本冬馬(坂本龍馬)、ルームメイトの明智半平太(武市半平太)、岡大蔵(岡田以蔵)ときて幕末土佐藩ぞろい。寮長には菱形俊蔵(土方歳三)までいます。この辺の語呂合わせ力はかってに改蔵や絶望先生にも引き継がれているのではないでしょうか。
私は「ギャップ萌え」属性でして、「意外性が光るキャラ」とか「他はダメなんだけどこれだけは凄い」とかそう言うのが好きなのですが、あほっぽくて当世風に見えて実は純粋で純情っていう羽留うららは結構なツボでした。こういうアホで面倒見のいいねーちゃんが近所にいると、小学生時代さぞ楽しかったろうと思います。
また、ヒロインの「理想の男がいなければ理想の男を育てるまで」という動機のわりに「理想の男像」が思いつきやテレビの影響受けたそのままだったりするという無定見さがギャグとして成立しております。
うららがリードするようでいて、冬馬に引き込まれて立場が徐々に逆転していくのもラブコメとしては定番ですが、惚れたとか好きだとかいう言葉が飛び交わないこの作品においてはより良いスパイスです。
冬馬が親のいるアフリカに行くかも、というネタのところで結局帰ってきちゃったシーンで「いいよ、もう。冬馬が帰ってきてくれれば…それでいい…」と言って号泣するうららは私の中でアホねーちゃんからかわいい女の子になりました。
全寮制の私立に行くか、それとも受かった中学校を蹴って公立に行くかを決断するシーンで「自分のことだから自分で決めた」と告げる冬馬は完全に一人の男。
どちらもいいせりふですね。このシーンではそれまでのうららと冬馬の立場は完全に逆転しました。
小学生にとっての5歳上というのは大きな開き。しかし、作中でもうららが言っていますが、歳食っちゃえば5歳差というのはどんどん縮んできます。5歳差くらいなんてこともないものになります。
そうなった時に、うららが望んだことは「同級生になりたい」でした。
育てるのは相手ではなく、相手との間にある愛情であるということ。まぁ、確かに今の芸風でこのテーマは「これは何かの罰ですか?」(P220)とでも言いたくなるでしょうなぁ。
というわけでこの作品には久米田先生の夢のあととでもいうべき何かを読めますので、ぜひご一読をお勧めします。
うらら「ダメよ、今どき野球なんて!!男だったらサッカーでしょ、サッカー!!」
冬馬「いいだろ、野球好きなんだから」(A巻56P)
このシーン、野球好きとしては読んでいて結構嬉しかったんですが、なのに中学校に進学してしまったらサッカー部に入っててちょっとショックでした。まぁ、リアルタイム進行で2年前に描いた事なので忘れても当然と言えば当然ですが。
久米田先生のサッカーマンガは読んだ事があるので野球マンガも読んでみたいものですが。
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