シグルイ15巻 感想
・決戦前夜、それぞれの夜の過ごし方が描かれてますが、藤木や伊良子のみならず、この件の黒幕土井大炊頭も出てきました。史実でどうだったかはさて置き、この黒さが常識的な世界の黒さでちょっとホッとしたり。いや、だってこれまではこっちの世界から離れた常識ばっかりだったじゃないですか。「死桜が咲くのう」というつぶやきもしんみりとしていて。
・ここでまさかの蔦の市登場。彼の叫びが伊良子から「同じなんだ」「おまえも己も…」という言葉を引き出してくれました。計算高い伊良子の、思わぬ本音。
・「人間に優劣をつける階級社会を否定するために」言いたい事は分かるつもりですが、約400年後に生きる人間としては、どんな社会でも優劣つきますぜ伊良子さん、と嘆ぜざるを得ません。
・正装した藤木の、目の涼しい事と言ったら。覚悟というものすら乗り越えた、むしろ無に近い境地を感じました。でも発言は「斬りたいから斬りにいく」
・二匹の鯉になぞらえられた2人。鯉と恋がかかってたりはしないんでしょうけど。
・「重なり合う約束」は、確かにこの2人の場合「神聖」の名に値すると思います。
・師範が懐かしすぎて泣ける。
・虎口前こそ虎眼流の住処。実戦剣法の面目躍如。
・加藤忠広はこの件がなくてもいつかは改易されたと思います。
・忠長の入室と同時に表情が消える藩士たちはよく訓練されている。
・「しかしそれこそが事に臨んで躊躇なく他者の生命を切断する闘技者としての「鬼」を育んできたのだ!」熱いなぁ。ダイヤモンドが単なる炭素でなく宝石へと変化するためには地獄のような高温高圧が必要だった、という話を思い出しました。
・「ついに源之助は」「清玄を見た!」どちらかが死ぬまで、もしくは2人とも死ぬまで終わらない戦いの始まり。
・そして、終わりはややあっけないほどに。
・伊良子の眩しさが斬らせた、という結論はなんとも哀しすぎる。
・伊良子を斬った事で、藤木は自分も死なせてしまったように思えてなりません。斬るまでと斬った後の差が何とも…。
・首級までも。
・そして、残ったものは何もなかった。これが原作どおりだから、本当に南條範夫先生は恐ろしいお人だった。
・山口貴由先生にしか描きえないこの作品もこれにて完結…でも無明逆流れ編って書いてあるんですよね。油断だけはしないでおきましょうか。
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