フダンシズム1巻 感想
最初は朱雀の付け合わせ程度で考えていたんですが、これがなかなかどうして。最近オタ回帰路線の私には良い気付け薬でした。
どんな話かというあたりを、以下ネタバレでお送りします。
発熱してイベントに行けなくなった姉の代わりとして売り子を手伝う時に女装されられたのが全ての始まり。このとき数は「アマネ」と名乗り、恋する相手小西望とイベント会場で出会ったことから抜け出せなくなり、彼女と接点を持つためにやおい本を読み、主題歌を覚え、あげくに小西望と女装した状態で腐女子交流してお泊まりまでしてしまいます。が、アマネとして女装したままなのでの蛇の生殺し状態。
お泊まりして一緒の布団で寝ることになって「非常に不味い」事態に陥り、何とかしようとしたところ「余計大変なことに」なっていくあたりは笑いなくして読めません。
あとは、姉と保健医に丸め込まれてうまい事利用されていく数くんがなんとも不憫で。「落とすなんてことはこの僕がさせはしない」と決意したところメイドのコスプレまでさせられて「お嬢様方」とか言わされて。あげくにファミレスで製本の手伝いですよ。それもこれも小西望のため。しかし親しくなっていくのはあくまで女装したアマネであって、数ではない。
この他にも小西望にアピールするために数の状態で通学中の電車内でクリアファイルを手にしてみたり、剣道の素振りしながらてんみこてんみこ(本作の中で主に取り上げられているカップリングが「てんてる×みこと」略して「てんみこ」です)と繰り返し唱えてみたり。これを不憫と言わず何と言いましょう。
「てんみこ」は本作全般を通じてのキーワードでもありまして、あちこちに出てくるのですが、ハイライト的なものとしては腐女子3人が「これからも『てんみこ』で」と手を握り合うシーンがあり、ここは三銃士を彷彿とさせます。
幕間の4コマと姐さん講座も愉快でした。姐さん講座は腐女子の生態と「おまかせ☆てんてる」の紹介をしております。「腐反応」「腐具合」とかいう単語が素敵で。変身シーンにハァハァする姉が素敵で。コピー誌の素晴らしさを力説する姉がほんとうに素敵で。平野先生とはまた違った方向性ですが、もりしげ先生も同人活動がお好きなんだなぁと感嘆する次第でした。
広くお勧めするにはちょっとためらわれるものもありますが、腐ネタOKという方、むしろ「こんな青春を送りたかった」という深度の進んだ方はぜひご一読ください。
読後、引き返せなくなってもその辺は自己責任でお願いします。
スピンオフする
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