おひとり様物語3 感想
・誰かを好きになるという事を封印し続けて来た女性の話は、刺さるものが多かったです。私もそうやって生きるはずだったんですけども、やっぱり、人恋しくなる気持ちにウソはつけなかった。小賢く色々理由を付けてあきらめようとしても、どうにもならなかったものがありました。それでいいんではないでしょうか。
・7年付き合った彼氏にふられてしまった女性の話は、笑うところがいっぱいあったはずなのに笑うに笑えなかったです。過ぎた年月の分積みあがった思い出の品の多さとか、遠距離恋愛の難しさとか。思い出の品は無くなっても、思い出はちゃんと胸の中にある。それと向き合ったり忘れたりしながら、前を向いていく。
・それほど好きでもない人と駆け落ちしちゃった同僚の相談に乗る女性は大変だなぁ、と思いました。相手が抜け作でうっかりテレビに映っちゃったりとかね。でも、たったひとり味方だった人には味方をするものです。
・にしても、そのお話の中であった「アラフォーの時に15下の子に選ばれる自信がない…!!」というセリフですが、ある人はよっぽどだと思います。
・幽霊に絡まれちゃったバツイチ編集者さんは色々痛かった。なんというか、あんまり追いつめないであげてください。自分ちでくつろげないのはつらい…。私も帰宅拒否症になりかかったことがありましたが。
・母1人子ひとりのおひとり様は、『あったかもしれない自分の過去』として読みました。谷川先生の描く、我が道を行く母親はいつ読んでもいいですね。自分の母親がこうだったら多分イライラするんでしょうけど。親離れ子離れというテーマは、最近また個人的にタイムリーヒットです。地震以後、妙に実家を意識し続けておりますが、やっぱり適度な距離の取り方が分かりません。で、結局妻につっこまれて正気にかえるパターンです。
・「誰かに頼りにされるっていいものよ」「お母さんは頼りにされてうれしかったのよ」「お父さんにもあんたにも ずっと」ちょっと泣きそうになった。
・不倫の話はいたたまれないなぁ。私は不倫をする気もその能力もありませんが、つらい気持ちの持って行き場が無くなった時に、妻ではない誰かがそこに居たらどうなるか分からないというのは分かります。家庭を壊すような行為、というのは分かった上で、それでも家庭を壊さないためにそうする事が必要だったら、そうしないと自分が壊れてしまいそうだったら。不倫は重いテーマでございます。
・今回はそういうお話じゃなかったんですけども、こないだからずっとこれについて考えているので、どうしても不倫のお話を読むとこういう風に脳内ギアがシフトします。すいません。
・最後は『まだひとり』の、ある意味レギュラーキャラ真澄さんのその後でございます。いい人の山田くんは、『そういうこと』にまだ気持ちが乗らない真澄さんを慮ったか、それとも天然か、絶妙な距離の取り方で接し続けております。そういう努力が実を結ぶ、いい話でした。
・でもやっぱり義理チョコってあんまり好きな言葉じゃないなぁ。お中元やお歳暮と同じ、日本の贈答文化と解釈すればいいはずなのに、素直にそういう事が出来ないのはやっぱりバブルどっぷりな頃に思春期を過ごしたことがトラウマになってるんでしょうか。
・お父さん、そろそろ子離れしようぜ。気持ちは痛いほど分かるけど。
・そうか。山田くん、兄弟か。谷川先生は「ウソです」って書いてますけど、いい人っぷりが似通っているので納得できます。
・時刻表がキャラ名採取に重宝するのはよく分かりますが、アレは旅好きには時間泥棒なのでご注意を。
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