孤独のグルメ【新装版】ようやく入手しましたので
拙ブログでも以前、10年ぶり特別編が世に出た際にどんな作品か、という部分についてはご紹介させていただきましたので、今回は新装版と文庫版の違いについて見ていきたいと思います。
まずなにより特別編が収録されている点が一番の差異ですが、特別編を持っている私としてはむしろ紙質が良くなっているほうを押したい所です。最初の大きな版のほうは友人に見せてもらったきりで手元にないので比較対象とする事が出来ないのですが、文庫版と比較しますとその差は歴然です。この紙のほうが谷口先生の画が映えているので、この改善は大変好選択だったと言えるでしょう。
そして、それと並ぶ大きな違いとして、私がコレクター根性以外の部分でも購入意欲を刺激された巻末の鼎談について触れたいと思います。
原作の久住昌之先生、作画の谷口ジロー先生にどういういきさつか不明ですが川上弘美という作家さんが加わったもので、分量にして10ページほどありました。
読んでみてよく分かったのがまず川上さんのこの作品についての知識と愛情です。作品の内容についてだけなら驚かなかったんですが、この漫画が『金魚屋古書店』という作品で取り上げられた話を振ってきた時には正直ぽかーんとしました。その割に実写版孤独のグルメがようつべに上がっているという話は知らなかったので、ネット経由ではなくたまたま読んで知ったのでしょうけれども、侮れないなと思いました。
最初対談じゃなくて鼎談だというのを知った時には「この人はインタビュアーか?」くらいにしかとらえていなかったんですが、読後にはむしろよくぞこの人を加えてくれたという思いになりました。
また、個人的に文字書きとして大変勉強になったのは久住先生の「食べ物の漫画で食べているシーンは濡れ場」という発言でした。この漫画という部分、小説に置き換えても十分通じるものがあります。自分が文章を書く時にどうやって、またどこまで生かす事が出来るか分かりませんが、大変勉強になりました。
最後に表紙の話を。
私は絵かきではないので技術的な事はよく分かりませんが、都内某所と思われる(看板に地下鉄 京王の文字があり)ごちゃごちゃっとした横丁のなかに一人たたずむゴローちゃんの姿は存在感があって大変キャッチーでした。今風ではない絵柄ですがだからこそ引き込まれるものがあります。「お、どの店にに入る気なのかな?」「これはむしろ迷った挙げ句別の所に行く可能性もあるな」とか深読みしてしまえるだけの物語を内包していました。
本屋を何軒も巡って入手した甲斐がありました。
PR