さよなら絶望先生SS(二次創作) 「絶望仕事人」プロローグ
「八千石の大身旗本、糸色家の子弟たる身でありながらこのような裏長屋で寺子屋を開いて糊口を凌いでおられるとは…なんということでしょう。お兄様かっこ悪い!」
島田髷を結い、絹ごしらえの小袖姿で高々と笑うは旗本糸色家の息女、倫。
「この糸色望。寺子屋稼業とは言え市井に身を置き我と我が身を養うに、なんら恥じるところはありません!」
「聞けば、寺子屋と言いながら通うてくるは若いおなごばかりとか」
「ど、どこでそれを!」
「ちなみに江戸では『こや』という名前が嫌われ、実際は寺子屋ではなく手習指南所などと呼ばれたそうですわ、お兄様」
「そんな通りの悪い名前だと読者が混乱するじゃないですか!学術論文じゃなくて時代劇なんだから寺子屋で良いんです!」
表の顔は冴えぬ寺子屋のあるじ。そしてその裏は、金にて晴らせぬ恨みを晴らす絶望仕事人の元締。
☆
「でもなんで絶望仕事人なんですか?」
「日塔…いえいえ、お奈美さん、金で殺人を請け負うこと以上に絶望の理由がありますか?」
無表情のまま、シレッとした声で答える。
「いえ、そっちではなく、なんで初代の『仕掛人』じゃないのかなーと思いまして」
「それも知名度の問題です!初っぱなからメタなツッコミの連発はやめていただきたい!」
「絶望した!のっけからこんな展開なことに絶望した!」
「はいはい、お約束お約束」
「ええ、ひととおり儀式も済んだことですし、そろそろ本日の依頼人とお会いしましょうか」
静かに立ち上がると、待たせていた別室へと赴く。
「お待たせしました」
部屋で待っていたのは頭巾で顔を隠した小太りの男だった。室内が薄暗いことと相まって、年齢は判然としない。
「私も天下りたいのです!」
望が彼の正面に座るや否や、開口一番、男は叫んだ。
「奴を始末すれば!奴が亡き者となれば枠が空いて私が…そうすれば念願の!」
そこまで言った時、背後から白い細帯のようなものが彼の首に巻き付いた。
「ぐっ」
ひとつ呻いて、がっくりとうなだれた。
「すいませんねぇ、生憎と先方から既にご依頼をいただいていたもので」
シュルルと音を立てて、仕掛の的だった男から、絡まっていたものが解ける。
「あびる殿、ご苦労でした」
「先生……いえ、元締。雑作も無いことです」
半身を繃帯で巻かれた少女がにこりともせずに応じた。
「これは取り分です。収めておいてください」
「ありがとうございます」
と、まぁ。こんな感じです。一次創作がなかなか進まないので創作リハビリの一環として書いてみました。あの面々を必殺仕事人の世界に放り込むと面白んじゃないか?という思いつきから生まれたものですが、せっかくなのでシリーズ化できればいいなぁ、と思ってます。とりあえず書きあがったらこちらとpixivのほうにアップする予定です。
リハビリなので出来の方は正直自信がありませんが、お付き合いいただけましたら幸いに存じます。
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