台湾旅行記2017(6日目)
起床するとまず身支度を整えて台北の北に位置する港町基隆へと出発する。これは本当に短時間の買物行なので私一人である。時刻表を調べたところ鉄道よりもバスの方が早く着くのでQスクエアというバスターミナルへ向かった。
広い受付カウンターに高雄、台南、台中、台東等々台湾各地の地名が行き先として並ぶ中、目指す基隆の文字が見当たらない。おかしいなと思い調べてみると、どうやらここからは出ていない模様。隣、と言っていいのかわからないが、もう一つの台北バスステーションから乗るようなのでそこを目指す。
それらしい建物があったかと首をひねりつつ地図の通りに歩くと、MRT空港線の建物にひっつくように別棟がひとつ建っている。
Qスクエアとは比べるべくもないが、目当ての基隆行きはちゃんとここから出ていた。
ちなみにこのバスは事前にチケットを買う必要もなく、乗るときに悠遊カードをタッチすればOK。
車窓から希望廣場と書かれた建物が見えた。懐かしいその名前は以前光華商場の駐車場で土日のたびに開かれていた農業物産市場と同じもの。もしかしたら場所を変えて再開したのかも知れないと思い、あとで行ってみようと心に決める。
そうこうするうちにバスは高速道路に乗り、一路基隆へ向けてグングン進む。それこそ車窓を楽しむ余裕もないほどあっという間に到着してしまう。
バスから降り立てば、目の前には基隆港が広がる。とっとと買い物を済ませて台北に戻らなければならないのだが、これだけはと思い、何度もなんどもシャッターを切る。
そのあと向かったのは李鵠餅店というお菓子屋さん。この店の名物であるパイナップルケーキとイチゴケーキを各々40ずつ計80個購入。買いすぎだと思われる方もおられるだろうが、私の前にいた方はほっそりした女性だったが50ずつ、計100個購入していたのでこれでも少ない方である。店員さんも驚いたりせず慣れた調子で袋詰めしていた。
その間に、お店の方の許可を得て店内も撮影させていただいた。感謝。
受け取るや否や、大袋を抱えて駅へと向かった。これは行きがバスなら帰りは鉄道、逆もまた然りという自分ルールによるもの。
アップダウンのなかった旧駅舎から上って下りての新駅舎に変わったためひいひい言いながらホームへ。
基隆~台北間はあまり本数がなく、通勤時間帯を除けば普通列車のみであるし20~30分に1本しか走っていない。走った甲斐あって間に合ったが、噴き出る汗が収まるまでしばらくかかった。
帰りは各駅停車で45分の実にのんびりした小旅行。台北駅に着くと急いで部屋に戻り荷物を置いて、今度はふたりでMRT淡水信義線に乗り芝山駅へ。
駅前に隣接する花博廣場で土日のみやっている『花博農民市集』という出張市場がお目当てである。この市場は産地直送どころか生産者直売なので毎年掘り出し物に出会えるありがたい存在。
勇躍して乗り込んだはいいものの、今年はどうしたことか烏龍茶を扱っているところが少ない。その代わりに増えていたのはコーヒーである。確かに台湾コーヒーは美味で好きだが、あくまで主目的は烏龍茶だったのでいささか面食らう。果物や蜂蜜なども魅力的だったが、メインがないのでは。
とりあえず教官珈琲というパッケージデザインが実に魅力的な珈琲を購入。軍帽かぶったおっさんのシルエットがトレードマークな上に英語名「Military Instructor Coffee」と書いてあるので単なる教師ではなく軍の教官がイメージキャラクターな模様。
なぜこのような名前になったのか店番のおっちゃんに聞いてみたのだが、言葉の壁に阻まれて残念ながら答えは得られなかった。
珈琲はいいとして、烏龍茶をどうしたものか。基隆へ行く道すがら、バスの車窓から見た希望廣場にそれこそ一縷の希望を賭けて行ってみることにした。
場所はMRT板南線善導寺駅付近だったので電車を乗り継いでも行けそうだったが、迷った時のことを考えてタクシーで移動。
スマホで地図を示せば運ちゃんは大きくうなずき、車は渋滞しらずのまま目指す希望廣場に到着する。
来てみてわかったことだが、希望廣場のほうが規模が大きかった。中を一周してみて、割合として烏龍茶の扱いが従来よりも少ないのはこちらも同様だったが、規模が大きい分絶対数が多いので期待はできた。
とはいえ、基本的に毎回違う農家さんが出店するので参考にすべき情報が何もない。まさに一期一会。阿里山や凍頂といったいわゆるブランド品でなくとも美味しい茶葉はたくさんあったので、産地というのも当てにならない。
数軒の茶葉取り扱いブースで試飲させてもらったり香りを聞かせてもらったり。言葉はうまく通じなくても、こちらが真剣に選んでいることは伝わって、これはどうだこっちもいいぞとあれこれ勧めてくれる。それはまるで出来のいい子供の自慢をする親御さんのようでもあった。
良いものも多かったのだが、今回はとにかく値段が張る。良いものだとしても市中の店と同価であればそちらで買ったほうが次も同じ銘柄を探せるので、無理に市場で買わなくてもということになってしまう。
出会いの面白さという点ではここで買ったほうが楽しいが、あくまで実用品として買っているので、そのあたりのさじ加減は難しい。
出店しているところを全て回った結果、なんのラベルも表記もない150gの袋を一つ購入。400台湾元なのでそれほど安いわけではないが、まずは成果と言える。
このほか購入したものといえば。野菜や果物を扱っているブースで美人腿湯麺というカップラーメンを売っていた。マコモダケというイネ科の植物があるのだが、その形を女性の太ももに見立てたようだ。
これを売っているのが農家の若奥さんっぽい女性だったのでちょっとためらったが味への興味には勝てず購入。
帰国後食べてみたが、麺は普通の油揚げ麺だったがスープに独特のコクがあり、近所で売っていれば手の伸びるレベルではあった。ちなみに肝心のマコモダケだが、小さく刻んだレトルト品が入っているだけなのでスープの印象に紛れてしまって特に記憶には残らなかった。
買い物を終えると、屋台ブースで三星名物のネギ餅を食べ、阿里山コーヒーを飲む。台湾でしか味わえないこの瞬間を今年も楽しめたことに感謝しつつ、ホテルに戻った。
ただ、これでめでたしめでたしにはならなかった。今回買えた分だけでは茶葉の購入量が圧倒的に足らないため、荷物を整理してから峰圃茶荘という老舗のお茶屋さんへ。
ホテルから歩いて10分ほど。
いつもは試飲をさせてもらいながら購入するのだが、この日は試飲用のテーブルが先客でいっぱいになっており、カウンターで現物を確認しながらの購入になってしまった。ただ、お値段は据え置きだったので必要最低量を超えて大胆に購入することができた。
また、お茶請け用の菓子なども扱っているため、ここで職場や実家、友人への土産も購入。
例年とはだいぶ違う形になったものの、なんとか望む方向に解決して何よりだった。しかし、茶葉については来年以降やり方を変える必要性を痛感させられた。
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