台湾旅行記2017(最終日)
例年、温泉に行ったり買い物をしたり最後の悪あがきをする。今年は台北から北に2駅行ったところにある雙連の朝市へ向かった。基本的に地元の人がその日の食事用に肉、魚、野菜を買い込む場所なので帰国用の荷物に詰め込めるようなものはほぼ望み得ない。
それでも、活気のある市場独特の空気感をたっぷりと楽しめた。
しかし勿論、市場見物だけが目的ではなかった。
豆漿という、豆乳に似た飲み物があるのだが、この雙連朝市近くにお気に入りの店がある。夏の暑い盛りではあるがホットで飲むのもなかなかに良い。朝食代わりにこれを飲んで帰ろうと足取りも軽く向かっていくと、店はシャッターが下りていた。
どうにも今年は肩透かしが多い。
飲めないと思うと空腹感が強くなるもので。雙連駅前に日本の『まいどおおきに食堂』雙連店があったりするが、ここもまだ営業時間前で入れなかったりすると余計に食欲が湧いてきた。
しかし、店を探して歩くにもすでに気温はかなり高くなっており。うろうろしているうちに食欲どころではなくなってしまう危険性もある。
となれば地下に逃げるしかない。幸いにして雙連駅からは地下街が台北駅まで延々繋がっているので、ここを歩きながら、どこか良さそうな店で軽く食べようということになった。
途中、日本でもおなじみヤマザキパンのお店があり、店内にテーブルも備えたイートイン可能だったのでここにした。
コーヒーとパンで朝食を取っていると、店員さんが何事かを言いながらパンを棚に並べていった。あれは多分日本語で言うところの「何々パン焼きあがりました、どうぞ~」なんだろうな、などと話しながら見ているとそれらしきプレートを値札の横につけていたので、おそらく当たらずとも遠からず。
部屋に戻って時間ギリギリまで休憩し、チェックアウト。
桃園行きのMRT駅にはインタウンチェックインと言って空港同様に航空会社に荷物を預け入れられる施設がある。
今年導入されたばかりのこれを使ってみたくてわざわざホテルをシーザーパークにしたのだが、結論から言えば便利この上ない。
20kg越えのスーツケースとおさらばして身軽になればもう1箇所くらい行ってみようかという気になった。
とはいえ。
温泉に入りに行くには気温が高すぎる。というかそもそも野外で何かをする気にならなかった。インドアで何かないかと探してみると、美食展というイベントが引っかかった。世界貿易中心(センター)ビルで開かれていて、距離としても手近である。
確かに食には興味関心の強い私だが、それでもわざわざ貴重な帰国日の時間を割いてまで訪れようというのには理由がある。日本の鉄道会社がたくさん出展しているのである。
美食展に鉄道会社がなぜ?と思われる方も多いであろう。答えはひとつ、駅弁である。もっとも、主目的は観光誘致であろう。JR東日本を初めとして駅弁のないはずの京浜急行や一畑電鉄まで出展しているのからも明らかだ。地元の台鉄や高鉄も負けじと軒を並べており、客引き用と思われる鉄道部品や切符の展示なども行われていた。
今では貴重な鉄道電話やタブレット、サボ等々オークションにかけたら高値間違いなしのレア物件の数々に私の目は大いに輝いた。
また、香川県や山形県も観光誘致のためにかなり力の入った展示をしており、うっかりすると日本なのか台湾なのかわからなくなりそうだった。
このほか特筆すべきネタとしては細工菓子の展示コーナーにマリオがいたことであろうか。
本来であれば台湾各地の名物料理を食べられる屋台コーナーに突撃をかけて名残を惜しむところであったが、冗談にもそんなことを口走れないような長蛇の列が構築されており、名残の台湾メシは空港にて、ということになった。
ということで会場から撤収し、目の前の台北101駅から台北駅へ出、桃園MRTに乗り換えて桃園空港へと向かった。
36分の乗車時間、緑豊かな車窓を楽しみながら1週間の長旅もまだ足りないと感じてしまう己の業の深さをしみじみとかみしめていた。
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