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ふさ千明のおたネタ日記

漫画、アニメその他諸々の感想がメインのブログです。現在は「ここだけの話」シリーズについての感想を中心に運営しております。毎日15時の更新は終了し、現在は再び不定期更新に戻っております。

三年差 感想

島崎無印先生の「三年差」(ガンガンコミックスpixiv)を読んで、どうしても衝動が抑えきれず久しぶりにブログで感想を書いてみようと思います。当然のことながら大量にネタバレを含んでおりますので未読の方はまずご一読いただいてから以下をご覧いただければと思います。
 また。久しぶりにもほどがあるというくらいブランクが空いているのでどのくらい頑張れたかわかりませんが精一杯書かせていただきました。
 そして当然のことながらこの文章は私の個人的な感想であり、作者である島崎無印先生の意図するところとは全く無関係であることを先に明記させていただきます。
 
 さてさて。長ったらしい前置きはこのくらいにして。
 私は小さい頃から割とたくさんの漫画や小説を読んできましたが、その中でも恋愛物に関しては一つの不満がありました。
 多くの場合「紆余曲折を経てふたりは晴れて恋人同士になりました。めでたしめでたし」で終わってしまって、どういう風に幸せになったのかが描かれることがほとんどなかったのです。
 物語としては山谷のない場面は特に盛り上がるわけでもないのでやりづらいのかも知れませんが、私は「苦労した先にある幸せ」を求める子供でした。
 そして本作は私の子供の頃からの強い渇望を満たしてくれるものだったのです。

 三年差、距離の隔たり、そして何より異性として見られていないという最大のハンディを乗り越えて見事『追いついた』瑞希ちゃんの、その後の幸せっぷりはブラックコーヒーを善哉に変えるくらいに甘く暖かなものでした。

 小さな頃からずっと想い続けていたのに、当の本人はどこ吹く風の知らん顔。妹扱いどころか一時は弟みたいな扱いだったり。そういう態度に接するたびに瑞希ちゃんの心は傷ついてきたんだろうと思います。
 だからこそ、結婚してから『今までやりたくてもできなかったこと』にチャレンジしてみたりお姉さんぶったりしたがるんだろうなと。
 そして。そんな今までの負け戦を取り返すべく色々仕掛けているようなのですが。惚れた弱みというかなんというか。
 いってらっしゃいのチューにしても「そういうとこだぞ和くん!」「好き」にしてもあんまり勝ててないなぁという印象です。
 ただ、今までと違って結婚後の『負け戦』の味は苦みや痛みを伴うものではなく、非常に甘い甘いものだと思われますのでそういう意味では報われて良かったなぁ、と。

 そして。和くんはそんな瑞希ちゃんの想いの気づいていなかったのか、気づかないようにしてきたのか。作中、中2の瑞希ちゃんに「ドキドキした」という“自白”があるわけですが。
 それを手掛かりにして読み解くとやっぱりそれなりに瑞希ちゃんのことを意識はしていたようですが、それを敢えて封じていたのだろうなと思います。それが意識してのことなのか無意識なのかはまだ推測するだけのエピソードがありませんが、個人的な経験則では大体男子というのは無意識下で好意を持った女子に嫌われるようなことを避けているものです。
 私が和くんの立場だとしたら迂闊に瑞希ちゃんに好意を示して嫌われたり気持ち悪がられたり遠ざかられたりするくらいならば、いっそ現状維持に努めようとするでしょう。懐いてくれている幼なじみという貴重な存在を失う事を考えたらその先にどんな幸せが待っているかも知れなくとも、次の一歩は踏み出しにくいものです。

 こういう表現が正しいかはわかりませんが、人生において恋人や彼女は作れたとしても幼なじみは二度と作れないのです。
 自分の小さい頃からの失敗も成功も、笑顔も泣き顔もその全てを知ってくれている幼なじみは何にも代えがたいものだと感じればこそ、おいそれと恋愛感情を抱いたりできなかったのではないかと思うのです。
 男というのはちょっと優しくされただけで相手が自分のことを好きなんじゃないかと思ってしまうくらいに勘違いの名人であると同時に、その勘違いの名人であることを自覚している生き物でもあります。
 自分の気持ち及び瑞希ちゃんの気持ちに勘違いがあった場合に取り返しがつかなくなったらと思うとそれを押し殺してしまおうとすることは無理もないのかも知れません。 
 だからと言って勇気を振り絞って東京まで追いかけてきた瑞希ちゃんの決意に気づけなかったのは流石にどうかと言わざるを得ませんが。


 最後に今後読んでみたいネタを羅列して締めたいと思います。

・呼び方が「和兄」から「和くん」に変わった瞬間
 これは期待というよりもほぼ確信に近いものがあります。島崎無印先生のことですから私がこんなところであれこれと気を揉むまでもなく素晴らしい作品に仕上げてくださるものと信じております。

・ちゃんと彼氏彼女になってからの初デート
 やっぱり渋谷なのかそれとも別の場所なのか。「帰りたくないなぁ」と駄々をこねる瑞希ちゃんを新幹線に無理やり押し込んだりするのか。興味は尽きません。

・3人で車に乗っている時に自分がトイレに行きたいのに尚人くんをダシにしようとする瑞希ちゃん
 「尚人、トイレ行きたくない?」と聞かれた時に賢くしかも気配りの出来る尚人くんはどうするのか、非常に興味があります。トイレに行きたくなくても(ああ、ママがトイレに行きたいんだな)と察して「パパー、トイレに行きたい」と言うのか、それとも「パパー、ママがトイレに行きたいって」と真実を告げてしまうのか。


 という感じで、感想とも分析ともつかない内容になってしまいましたが、以上です。何年かぶりにこういうものを書いたので非常に拙い文章ですが、拙いと自覚しつつもそれでも書かずにはいられなかった、というところに私の思いを感じていただければ幸いです。そして出来うるならばこの素晴らしい作品が一人でも多くの方に読まれるようになれば幸甚です。

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