三年差 3巻 感想
なんとも残念なことに最終巻とのことです。
1巻の感想を書いておきながら2巻の感想を書こうとしても書こうとしても書けなかったので3巻どうしようかと思ったんですが、完結記念ということでいささか書かせていただきたいと思います。
本作の素晴らしいところは1巻の感想でも色々と書きましたので、ちょっと視点を変えてみたいと思います。
この三年差という作品は年齢差という壁を乗り越えて幸せな結婚をした和哉と瑞希の二人が幸せであり続ける物語です。
なぜ、あり続けることができるのか。何によってそれが可能なのか。
新婚時代のエピソードとして象徴的なお話があります。
久しぶりに一緒の夕食を食べられるはずだったのに「遅くなる」とメールする和哉に「プリンで許す」と返す瑞希。
幼なじみとして長く共に過ごした二人は怒り方も許し方も心得ているのだなとニヤニヤさせられる訳です。小さなすれ違い行き違いとその解決を積み重ねて、これからも二人は幸せであり続け、そして息子の尚人くんに呆れられ続けていくのでしょう。
それこそ尚人くんの結婚式で「うわー、花嫁さん綺麗」「瑞希だって綺麗だったぞ」みたいな会話をしているであろうことが容易に想像できてしまいます。
また、ニヤニヤポイントとしては、三年差という壁のため、長い時間を共に過ごしつつもなかなか恋愛関係に進展させられなかった『餓え』を満たしているシーンですね。ええ。砂糖を吐く思いとはこのことかと。
餓えは追いかけ続けた瑞希のほうにあるものだとばかり思っていましたが、3巻では「あれ?これ和哉のほうもじつは…」というシーンがしばしばあり。
ラス前のエピソード『うちの奥さんが可愛い』を読んで、その餓えはこんな風に一生かけて満たしあっていくんだろうなぁとしみじみしました。
いやもうぜひここは私の駄文で知るのではなく本編を読んでいただきたい。ブラックコーヒーが練乳に変わります。
そう。愛することと愛されることに終わりはないのです。それを知るからこそ、この二人は幸せであり続けるのでしょう。
そして。最終巻ということでもう一人の年の差コンビ土屋さんと日向くんの関係にも進展がありました。怯えや戸惑いに揺れて距離を取ろうとしてしまう土屋さんに対して日向くんがめげず挫けず距離を詰めていく男気が見どころです。
最後に。
1巻の感想でも書きましたが、この『三年差』という漫画は私の幼少期からの強い渇望を満たしてくれる素晴らしい作品でした。
苦労した先には幸せが待っている。その幸せがどんなものか、存分に楽しませていただきました。
作者の島崎無印先生には感謝しかありません。本当にありがとうございました。
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