ここだけの話 人物雑感 篠崎聡太編
まずは主人公、篠崎聡太君から。
先日は名前を間違えてしまって大変失礼しました。彼は「しのざき そうた」です。作中で名前を間違えられるネタがあったのでネタだと思った方がいるかも知れませんが単なる油断です。普段から「青年」と呼んでいるのも祟った気がします。
さて本題へ。
お話が始まった頃は仏頂面がトレードマークで。シュッとしていて要領が良くて手練感あってなかなかイケメンなのに、他人を一定ラインより内側には決して入れないという斥力に満ちた空気を身に纏っていて。彼は本来は孤独を愛する青年で、物語が進んでいくうちにその本性に抗いきれず、もしかしたら最終的にはそうなっていくのかな、などと思っていたもんですが。
大間違いでしたね、ええ。
最近の自身の姿を初期の彼が見たら「え?誰このだらしない顔した男。俺?御冗談を」って鼻で笑うんじゃないでしょうか。今や依田くんにも「最近よくやらしい顔してる」などと言われているような始末で。すっかり社内評価も地に落ちていることだと思いますが。
でもきっと、そんな今の方が彼は幸せでしょうね。
これまで彼と付き合ってきた女性はおそらくその身に纏った斥力に惹かれた部分もあるのだろうなと思って読んでいたら元カノまどかさんが登場して。好きになった経緯は描かれていませんでしたが、見て感じた印象としてはまどかさんの方から告白してお付き合いをして、最終的には靡くそぶりのない青年を見て諦めて別れたようなので。何にも興味なさそうな言動と表情は時として人を惹きつける要素でありつつ、最終的には斥力として機能してしまうんだなと。悲しい恋の終わりに悲哀を覚えました。
あと。それとは別の話ぬなりますが、あの修羅場で見せた子犬の目。彼の密かな必殺技なんでしょうね。
自分に好意を寄せてくれた人と歩み寄ることもなく独りで居よう、居続けようと思っていた人間が、そのポリシーを捨てる理由としてもっとも相応しいのもまた恋なのだな、と思うわけです。
恋と言えば。本作は恋に落ち、恋に狂っていく一青年の物語という面もあるわけですが。
恋に狂ったことで自らのかつての恋愛への姿勢を省みる機会にもなって。いざ「大事にしたい」「大切にしよう」と思ったときに優しくは出来るけどそれ以上先に進もうとすると途端に身動きが取れなくなるのが実に生々しくて。
彼は大事にするってなんだろうと自問していたこともありましたが、考えても考えてもわからないわけです。なぜかと言えば答えの出し方を身につけてこなかったからです。それこそホワイトデーのお返しの時のように、要領よく正解を引き続けてきた彼は答えの出し方が身についていないんですね。
ホワイトデーの時なんかは「相手の好みに合わせて一番喜ばれるものすら発想の中に出てこないのか?」と思ったりしたもんですが。
恋愛も追われるばかりだったので相手に合わせた贈り物をするという思考がないんだなと思い至った時は。こいつ想像以上にダメな男かも知れんと気づき。それが正解だったと判明してからはむしろ暖かい目で見守れるようになれました。
まぁ、あと触れずには済まされない問題として性交渉への忌避感というか恐怖感というか。異常なほどの回避行動を取り続けていましたが、過去の恋愛でそっちに進んでから破局するパターンが多かったのかな、とも思ったりしました。
自称淡白というのも、今となっては信じられないようなことですが。これまで付き合ってきた女性と致してもあんまり良くなかったんだろうなと。
何の確証もないので下衆の勘ぐりもいいところ、とても下世話な話で恐縮ですが、男女の仲を語るにおいて外せない話題ですので取り上げさせていただきました。
しかし、そのあたりを無事突破したと思ったら今度は自身がぐずぐずにハマり込んでしまい、ちょっと我慢すると「本音をおっしゃい」とまで言われてしまうほどに。どうしてこう、彼は極端から極端へ‥‥。
でもダメになればなるほど幸せそうに見えるのはなぜでしょう。
雑感なんでとりとめもないんですが、最後に。
これまでの生き方から見れば見事に道を踏み外したとは言え、出会うべくして出会った最愛の女性と無事結ばれ幸せの絶頂にいるそうたくん。そして難敵シスコン大魔王の襲来時には男気を見せてしっかりと結婚宣言までしたそうたくん。いよいよ向かう所敵なしに見えますが、それでもまだまだこの後の道行きはどうにも平坦平凡とはいかないでしょう。
自らの全てを擲ってでも欲しいと望んで手に入れた以上は自らの全身全霊をかけて幸せになっていって欲しいと思う次第です。
今後も親戚もしくは近所のおっさんポジションで極力温かく見守っていきたいと思います。
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