絶望先生SS 日塔奈美の日記その15
先生は綺麗だ。女の私が見てもうらやましくなるほどに。長めのまつげも艶やかな唇も、見ているとドキッとさせられる事が何度もあった。今日、たまたまラッキーな事に、宿直室で昼寝をしている先生を見た。
やっぱり綺麗だ。
寝ているときは、いつもの皮肉な表情や警戒的な態度もどこへやら。無邪気で無防備な寝姿は、いつまでも見ていたくなる。
もっと近くで見ようと、そばに座って顔を覗き込む。微かに動く唇に、引き込まれ、引き寄せられ、吸い込まれそうになる。
「今、何をしようとしたんですか?」
先生が目を覚ました。
「先生が私にしてくれない事です」
「いけませんねえ。寝込みを襲うような事をしては」
「だって」
「だって?」
「先生の寝顔が、あんまりにも綺麗だったから、思わず」
「じゃあ今度、私が日塔さんに思わず同じ事をしてしまっても、怒られるいわれはないですね」
「先生は、私にそういうことをしたいですか?」
「もちろんですとも。私がどれほど超人的な努力でそれを我慢しているか」
「…したらいいじゃないですか」
「そんな訳にいきますか。歯止めが利かなくなったら大変じゃないですか」
「歯止め」
「そうですよ、今だって結構危ういバランスで成り立ってるんですからね。だから、今はこれで我慢してください」
そう言って先生はおでこにごほうびをくれた。
その夜。先生の夢を見た。先生に抱かれる夢だった。具体的な事はよく憶えてないけど、先生の匂いに包まれて、とても幸せな気持ちになったことは目が覚めた後もしっかりと記憶に残っていた。
なんか良いきっかけがあれば、とは考えてますが。100回記念とか。
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