台湾旅行記2014 初日
ただ、この4泊5日というのがクセモノで。旅行会社のプランというのは基本的に3泊4日までで、4泊するとなるとオプションプランになる。予算的におさまる安いツアーだと延泊不可であったり、また延泊可なものは予算を大幅に超過していたりする。
散々検討した結果、ネット販売で往復航空券とホテル予約のみを押さえることにした。いつものシーザーパークを諦め、価格とランクをにらめっこすること数時間。航空会社は中華航空(チャイナエアライン)、ホテルは國聯大飯店(ユナイテッドホテル)で決定。
当日9時に我が家を出発し、幸いなことに渋滞に悩まされることも暴走車に怯えることも無く、10時半前には無事関空到着。駐車場は3階が満車、4階もほぼいっぱいだったが、なんとか駐車スペースも見つかり、荷下ろしもスムーズにいった。
いつもならまずチェックインなのだが、まだ時間がだいぶ早かったので、先にたこ昌でちょっと遅めの朝ごはん。台湾でもたこ焼きが食べられるご時世ではあるが、明石焼はさすがに見たことが無いのでここで食べておく。…うっかりこんな事を書いたらそのうち食べられるようになったりするかも知れないのがあの国の恐ろしいところなのだが。
食べ終えるとガラガラのチェックインカウンターで手続きを済ませ、荷物を託す。
ちょっとばかり時間に余裕が出来たのを幸い、本屋をさまようことしばし。妻は探している本があるようなのだが、どうにもお目当てのものがなかなか見つからないようなので、先にATMで両替用の現金を引き出しておく。
結局探せど探せど目当ての本は見つからず。予定時間を過ぎてしまったので若干慌て気味にドタドタと手荷物検査場へと向かった。
平日にも関わらず検査場の入口にはかなりな行列が。一瞬だけやばいかな?と思ったものの、列は思いのほかスムーズに流れてくれて事なきを得る。その先の出国審査もそこそこ混雑していたが、こちらは指紋認証登録をしてあるおかげで専用ゲートを並ばずにパス出来た。
予定していた有料ラウンジでくつろぐというのは却下になったが、それでも何度か脳裏によぎった『荷物抱えて通路を全力疾走』はしなくてすんだ。
わずかに残された時間を使って免税店へ向かう。と言ってもブランド品をどうこう、というのではない。今回、日本に大変ゆかりが深いとあるお廟を訪れる予定だったので、そこに奉納する煙草とお酒をここで購入。
大きく『KIX』と書かれた紙袋をぶら下げ、込み合うモノレールに乗って搭乗ゲートへ。ここまでくれば一安心。
あとはもう案内が開始されるのを待つばかりなのだが、その案内が始まらない。なんでも桃園空港の滑走路整備の関係で折り返し便の出発が遅れているとか。なんとも焦った甲斐の無い話だ。
さすがに何時間も待たされるということはなく、ちょっとばかりの待ち時間で搭乗開始となる。
エコノミーなので狭い機内ではあったが、美味しい食事というのは素晴らしいもので、機内の印象は食事待ち時間→食事時間→食後の時間という感じになっている。珍しくビールなど飲んでしまったこともあってか、苦痛を憶えることも無く2時間ちょっとの旅は瞬く間に過ぎて、気づけばもう台湾上空。
先述のとおり今回は旅行社のフリーツアーではなく航空券とホテル予約オンリーの旅路なので、当然空港からホテルまでの交通手段も現地手配。手間はかかるが、次の予定に追い立てられて焦る、という煩わしさから解放されるのはありがたい。
飛行機に預けた手荷物がなかなか出てこなくてもイライラせずに済んだ。この時間を交代でトイレに行ったり両替を済ませたりと、積極的に活用する方向で動けたのも、荷物を回収したら即合流という動きから外れていればこそ。
ちなみにこの時両替した5万円はレート0.287で14,350台湾ドル(以下元と表記)、1円=3.484元の換算だ。ここに手数料が30元引かれて14,320元が手元にやってきた。
物価の安い台湾においてはちょっと多すぎ、くらいの金額なのだがこれが後々すっかり足らなくなって慌てる羽目になろうとは思いもよらなかった。
荷物のピックアップと両替が済んだら、あとはバスのチケットを押さえて発車までの時間に一服休憩する段取り。
事前調査にて泊まるホテルの目の前で下ろしてくれるバスがあることは把握していたので、そのバスのチケット売り場を確認してに並ぶ。並んでいる時に簡体字を使いこなす女性に自然体で割り込まれたりしつつも無事購入成功。
ただ、発車が15分後なので空港内の喫茶店でくつろぐプランは無しになった。代わりに自販機で無糖のお茶を購入し、熱風渦巻く外気の中へ。
バス乗り場は国光客運やら長栄客運やら、我々が乗る目当て以外のバスがひっきりなしに出たり入ったりして熱気をさらに追加してくる。
何台も見送ったあとにようやく松山機場行き5502系統の建明客運バスがやって来た。
運転手さんにチケットを見せてスーツケースを預け、ようやく車内へ。2階に上がると最前列が空いていたのでそこに陣取り、まずは水分補給。
空席が目立つ状態で発車。空港最寄りのホテルにだけ停車すると、あとは一路台北市内を目指して爆音を響かせた。
建設中だった追加の高速道路が開通し、いつもより遥かに高い場所をバスが走っている。おかげで見慣れたはずの車窓が実に新鮮に映った。渋滞もなく、おかげで居眠りする間もあらばこそ、気がつくともう淡水河が見えてきた。ここから先が台北市。計った訳ではないので概算だが、いつもより10分程度の時間短縮だろうか。
中華宮殿様式で有名な圓山大飯店が見えたらバスはいよいよ市街地へ。行天宮のところで高速から一般道へと降りて、まずMRT忠孝復興駅前で停車。結構な人数が下車。荷下ろしもあってちょっと時間がかかるのはお互い様。
次のMRT國父紀念館駅前で我々も下車する。バスが止まったのは生憎と車道を挟んだ反対側だったが、それでもホテルが目の前なのは変わりなく便利この上ない。バスの運ちゃんは荷下ろししながらあれがホテルだ、分かるか?というようなことを指差ししながら教えてくれた。
「明白了、謝謝!」と頭を下げてから横断歩道を渡る。我々に似つかわしくないオシャレな外観にちょっと戸惑いつつ、今回の根城である國聯大飯店(ユナイテッドホテル)へ。
フロントでホテルバウチャーを見せたところ、以後は全て日本語で対応してくれた。チェックイン時に保証金がいることを知らされていささか慌てる。ちなみに1日1000台湾元、4泊で4000台湾元と長く泊まるおかげで結構な額になってしまった。多めに両替をしておいて本当に良かった。
手続きが無事終わるとカードキーが渡される。この時、空いていたので無償でグレードアップしてくれた旨を告げられる。初めて使う、しかもかなり格安料金で予約を押さえた客であるのにこの気遣い。本当に嬉しい。
アップグレードしてもらった部屋は、扉を開けると居心地の良さが一目で分かった。中華と西洋が程よく調和した家具調度の品の良さもさることながら、ベッドの寝心地が良いことや風呂が広いことなどもありがたい。
風呂に関しては独立したシャワーブースがあったことも特筆しておこう。私のようにどんくさい人間にはこれが大変重宝した。
寝心地のいいベッドで一休みし、体力気力を回復させてからようやくお出かけタイム。
ホテルから車道を挟んだ向こう側、ちょうど空港からのバスを降りたあたりはドーム球場が建設中であるが、そのさらに向こうには松山文創園區なるギャラリースペースがありそこでは演劇上演やアート作品の展示などが行なわれている。この日は偶然にもガンプラエクスポ台北なるイベントが催されているらしいので、覗いてみることにした。
道すがら、ホテルの至近にコンビニやスーパーがあることを確認しつつ歩くこと10分。目の前に思いっきり『GANPLA EXPO』の看板が。
しかし、大通り側は出口専用で入ることはできないそうなので、公園の中を通って入口側へ。歩いてみて分かったのだが、ここはどうにも本来オシャレ空間であるべき場所っぽいのだが、違和感なくガンプライベントが溶け込んでいるのは良いのか悪いのか。
中に入ると、展示は初代から最新かつ未放送のGのレコンギスタまで大変充実している。ただ、展示資材をどこから持って来たのか分からないが『テレビ朝日系 金曜ごご5:00から放送』とか明らかに放送当時のポスターまんまなのが気になった。
見れば『NO PHOTO』の表記も無くどうやら写真撮影フリーなようで、スマホを向けてバシャバシャやっている人々に混ざって我々も熱心に画像を確保する。
歴代放送分の公式的展示のあとは、創作意欲が溢れまくった工夫プラモの数々がずらりと並んでいた。個人的にはウーロン茶のペットボトルを背中に背負ったセブンイレブン仕様に最もハートを射抜かれた。売り物だったら間違いなく購入不可避な逸品だった。
展示会場には蕎麦屋の手打ちブースよろしくモデラーの方がリアルタイムで製作に勤しんでおられたり、『ガノタに日本も台湾も無い』と言わんばかりの雰囲気。
展示の先は物販コーナーになっていて、日本直輸入の各種ガンプラから「こんなの日本で見たことねぇぞ!?」と慌てふためくような謎グッズまで所狭しと積み上げられていた。
Tシャツ類はかさばらないし、1枚くらい買ってもいいかと思ったものの、こういうのは買うだけ買って満足してしまい実際にはコレクションとしてタンスの肥やしになるだけなのでグッと我慢。手ぶらで会場を後にした。
初手からハードパンチを食らった感があるが、特に動揺も無くMRTの入口まで戻る。
國父紀念館駅から板南線で南港方面に2駅の永春駅で下車。5番出口から上がると忠孝東路五段に出るので、そのまままっすぐ交差点まで歩き、交差点を左折して松山路へ。そこから歩いて5分ほどすると目指す沐錦堂足體養生會館が見えてくる。
ここは台湾の代名詞のひとつである足ツボマッサージの数ある名店のひとつ。以前、この店は光華デジタル新天地の近くにあり、その時は買物ついでによく立ち寄ったのだが、現在のこの場所に移転してからは縁遠くなってしまっていた。今回はホテルから近いこともあって久々に行ってみることにした。
足ツボと半身マッサージをあわせ技にしたセットで計70分。まずズボンをマッサージ用半ズボンに履き替え、足湯につかる。
足がほぐれたところで専用の椅子に座ってマッサージ開始。痛みを訴えたりするどころか、5分もするとすっかり眠り込んでしまうくらいなので、移転しても腕は相変わらずのようだ。
心地よい眠りから覚めると、二階に上がってベッドに横になる。こちらでもあっという間に寝こけてしまいマッサージ中の記憶がほとんど無いのだが、終了後は全身がすこぶる軽かったことからも効き目は歴然。
礼を述べて店をあとにし、次なる目的地饒河街夜市を目指す。ちょっと歩くと服飾問屋街の『五分埔服飾特区』があり、その先が台湾国鉄松山駅。そこから夜市までは目と鼻の先だ。
ここの名物は胡椒餅なのだが、狭い夜市にひしめくような行列を見て早々に諦める。というか、夜市に来た主目的である夕飯としては物足りないし、そもそもこの店は支店が台北駅近くに出ているのでそれほど無理をする必要も無かったりする。
気を取り直して、夕飯リサーチ開始。込み合う夜市を歩いて気づいたのが、先程見かけた五分埔服飾特区の影響かファッション関係の店が増え、代わりに食べ物の店が減っているということ。その中でも、疲労回復に効果があって大変重宝した四神湯という薬膳料理を出してくれるお店は今回目当てのひとつであり、別のお店になっていたのを確認したときの落胆は大きかった。
端から端まで歩いてもピンと来る店が無く、士林の夜市まで移動しようかとも思ったが、歩いた道の反対側に何かあるかも知れないと、手近にあった猪ソーセージで小腹を満たしてもう一度チャレンジ。
行けども行けども見つかるのはかき氷とかたこ焼きとか関東煮(おでん)とかクレープとかカットフルーツとか、どれも夕飯にはしづらいものばかり。
半分以上を過ぎてダメならこのまま松山駅に出て電車で移動しようと思っていたところに出会ったのが『圍爐』という薬膳料理の店。
煮込んだスープから漂う香りとほどほどに込み合った店内が決め手となって席に着く。迷うほどのメニュー数もないのだが、それなりに迷ってから魯肉飯の大をひとつと中をひとつ、それに羊肉のスープと骨付き豚肉のスープをひとつずつ注文する。
相変わらず台湾で食べる羊肉はクセも臭みも極限まで押さえ込まれていて、実に食べやすい。しかし本領はスープ。何味と言っていいのか、私の乏しい語彙では出てこないのが非常に惜しい。塩っぱくも辛くも苦くもない。強いて言うなら羊肉の旨味が溶け出した味、であろうか。プラスチック製のレンゲでグイグイ飲めてしまう。
さらには店の一角に置かれた3種の調味料が味に変化を与えてくれるので、飽きが来ない。ひとりあたり二品だったが、魯肉飯を大にしたおかげでボリューム的にも不足無く、質量共に満足して夕食完了。
あとは大通りへ出てタクシーを捕まえ、ホテルへと戻りこの日は無事終了。
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