ニコニコ生放送にて偽物語第七話視聴完了 つれづれ 2012年02月26日 今日は裏アリーナだったのもあるのかも知れませんが、サーバーが重くて?(ニコニコからのコメントでは回線の異常だったそうですが)何回か飛びました。 おかげで荒れたコメントも多かったですねぇ。みなさんブレスレットブレスレット。 あとはこの30分の間に寝オチしないように気をつけます。 [0回]
これからニコニコ生放送にて つれづれ 2012年02月26日 偽物語第七話「かれんビー其ノ漆」を見て、そのまま毎日放送で偽物語第八話「つきひフェニックス其ノ壱」の連続視聴に突入します。このステキなオタ式ライフスタイルも今週限りです。来週からは超変則勤務になるので…。どうして年度末に、という疑問は抱くとつらくなるだけなので考えないようにします。 [0回]
チリクラブ つれづれ 2012年02月25日 化物語を見てからずっとカニを食べに行きたくて仕方なかったのですが、今日ようやく果たすことができました。さすがにそれだけでは理由としては弱いので、妻が文章を一本文章を書き上げたので打ち上げの意味も込めて食べに来ました。 ただし、カニはカニでも鍋ではなくチリクラブと言って、そらもうひたぎはん並みに辛口のやつでして。そらもう単体では食べられませんので、酒やジャスミンライスと一緒に楽しみます。ただし、それでもペースを誤ると胃袋を焼きますが。 抜群にうまかったですが、やっぱり胃袋は焼けております。 [0回]
謎の彼女X8巻 感想 感想・レビュー 2012年02月24日 ・なんか卜部が「ごちそうさま」してるみたいな表紙ですな。ちなみにカバー下は大変素敵な事になっております。・9巻の予約票が入ってました。限定版はDVDつきだそうで。んー。まだ買う決心はつかないですねぇ。・初っぱなから上野が飛ばしてます。マスク萌えって。・「おれ昔から憧れたんだよー」「はあ?」「やめてくれよ」気持ちは分かる。どっちのも。・「陽子さんとか言うな!!」これもまぁ、分からんではない。・「あ~あ」「丘も風邪ひいてマスクつけないかな~~」でもさすがにこの領域はぼちぼち病気だ。・マスクしたままアクビするのってかなり難しい気がするんですが。ズレませんか?・「姉さんふだんからボケーッとしただらしない顔でテレビ見てるから」「今さら心配する必要はないと思うよ」「そんなことないもんっ!!」仲のいい姉弟。・そして卜部もマスクを。そしてあっさりマスク萌えの世界に引き込まれる椿。簡単ですね!・「今日はすっごく」「卜部の"よだれ"なめたいのっ!!」「なんか今日の卜部」「目なんかウルウルしちゃって」「なんか色っぽいんだもん!」「そういう時どんな"味"がするのかたしかめたいっていうか…」と言われて、ちょっとの間が空くのはうまいっすなぁ。・ダメと言われて「じゃ…じゃあ」「かわりに卜部のマスク外した顔見せてよ」と切り出すところがむしろ男前。・「ダメよ!!」「ダメ!ダメ!」「今わたし」「マスクの下で」「すっごくだらしない顔になってるから」「ダメッ!」そこで『だらしない顔』という言葉にガッツリ食いつく椿はいつもながら分かりやすい。・そこで強硬手段に。確かにこの顔は可愛いと思う。・よだれをなめたいって言われたら自然と垂れて来るのか。卜部は卜部で嬉しかったんですね。・「卜部」「なによ?」不機嫌不機嫌。・「卜部のだらしない顔」「なんか」「かわいい…」椿のドストレート。・パンツハサミ不発の原因が毛糸のパンツってのがかあいいっす。んで、ハサミがダメなら平手打ちっていうところが卜部ですな。でも3日間口きかないってのは長いな。口きかないのにちゃんと日課はこなすところとか想像するとすっげぇいいです。あとまぁ、だらしない顔がかわいいというのは同意します。・張った氷の上に足乗っける卜部を「お転婆」と評する椿の言語センス。・支えてたら胸触っちゃうってのは勘弁してあげて欲しい。あと、ここのパンツハサミはタイツの上から装備してるのかな?…と思ったらガーター無しのストッキングでしたか。・そして椿、落下へ。ここで慌てまくる卜部がかわいいですな。普段が普段だけに。・こんな状況なのに卜部の残り湯に反応する椿は褒め言葉的な意味でどうしようもないな。「ていうか残り湯がイイ!!」若干ヒいてないか卜部。・残り湯にドキドキってかなり上級者イベントですよ。エプロンセーラー卜部も破壊力大だし、氷水に浸かった甲斐があったよなぁ、これは。・卜部が朝、味噌汁をちゃんと作ってるところは意外でした。・「おれたちまるで」「結婚してるみたいだな……」「と」ここなんかもう照れ隠しのパンツハサミも発動しねぇよ。コイツら…。・帰り際、寒さに震える椿に、扉越しの日課。「強いて言えば」「「男のロマン」」「……かな?」卜部は色々理解しすぎだろ。・「寒いどころか」「一晩中体が火照って熱いくらいだったよ」寝付けなかったりしたのかなぁ。ああもう甘酸っぱい。・「わたし もし椿くんと結婚しても」「椿くんの目の前ではあんなカッコウ」「絶対しないからね!」どんどん可愛くなるねぇ。・まぁ、推測で終わっちゃいましたが、おそらく裸エプロンでしょうね。・桜をバックに写真かぁ。撮影に熱中しているところを隠し撮りしたことはありますが。・ベタでありがちだからだめって、相変わらず手厳しさは健在の卜部。でも代案を出してくれるところはかなりデレてきているのだと実感できました。・で、行ってみたらとても日課をこなすどころではなく、夜に持ち越し。・「卜部」「今」「肩抱いたら」「怒る?」何事も許可制だから大変だ。・「怒る」「しませんしません」どこまでだったらセーフだったのかが気になって仕方ありません。・しかし、無駄足かと思えばそんなこともなく。パンツハサミならぬパンツサクラ。・続いて、手ごわい女子諏訪野さん登場。「椿くんのつきあってる人って」「誰?」ほうら手ごわい。・鍵を奪ってでも聞き出そうとする諏訪野さん。でも、椿のド直球な言葉にさっくり折れてくれるところとかはいい人だと思います。というか、ここの椿は男前だった。・唇を触った指がまだうずく、ですか。こういうドキドキは大切にしたいものです。・で、後ろめたくなっちゃう、と。こういう罪悪感も大事にしたいですね。・理由もなくいつもと違う提案したら疑われるに決まってるだろうになぁ…。「諏訪野さんと何かあったんでしょ?」と言われないほうがおかしい。・素直な自白にザザッとこける卜部はかわいいですね。・自白するとあっさりお許しが出ましたが、口の中の感触に酔いしれると、お仕置きが。・で、今度は夏服のお話ですか。ひょんなことから夏服を一晩あずかることになったからって、夏服を卜部に見立てて抱きしめようとするとか、相変わらずだな椿。・しかし、そういう不埒なことをたくらむと…。ジュースをこぼしてしまい、代わりに姉の夏服を持ってくるという暴挙に。姉の夏服を持ち出そうとしているところが露見しなくて本当に良かったですね。・そして、卜部に姉の幻影を見てしまう、と。これはやりづらかろうなぁ。あと、その一因になった、お姉さんの今でもこっそり夏服着てる件ですが、これのおかげでドラマCDやアニメ版がどうであろうと、私の中ではCV井上喜久子さんで決定です。・夏服の次は水着。しかし、盗撮か…。盗撮して販売って、うちの高校は屋内プールでしたし、割と色々厳しかったのでこういうイベントは発生しませんでしたが、まぁもしかしたら私が知らないだけでなんかあったのかもしれません。・そうかそうか。全部買うっていう手段があったか。上野、男前だな。・あと、椿は諏訪野が好きだと思われてるのか。・押し付けられた写真が見つかっちゃうシーンはニヤニヤしつつ、不思議な緊張感を久しぶりに味わいました。卜部が問い詰めないところとか、すっげぇ切ないですよね。・釈明して、たぶん卜部も頭では理解してると思うんですけどね。感情は付いていかない、と。こういう風に落ち込むのって、初めてじゃないですかね。・椿のとった手段は男前と思う一方でかなり上級者なものでした。ヒかないト部もト部。・赤面卜部!赤面卜部!改めて、今さらながらよだれをなめあうとお互いの気持ちが偽りなく通じ合う関係がちょっとうらやましい。相手が自分の行動でどんな気持ちになるかをリアルに体感できるのってある種の理想だと思います。・「もっとドキドキさせてあげる」今一番言われてみたい言葉かもしれない。・で、大変素敵なご褒美が。普段ガードの固い子が自分からしてくれると三倍段。・「ただ」「単純なだけなの」連載初期からすると別人のようですが、こうやって本当の姿を少しずつ表に出していくのはラブコメの醍醐味ですねぇ。・最後は夏休みの終わりのお話。夏休み自体のイベントを全部すっ飛ばして、最後の日のみをネタにする大胆な手法。・「せっかく夏休み最後の日だから…」「ちょっと面白いもの」「見せてあげたいと思ったんだもん」突拍子もないことながら、どうしようもなく愛情が伝わってくるのはなぜなのでしょうか。・一番のサービスは胸元、とか言っちゃうと台無しでしょうけどついつい自重せずにかいてしまう業の深い私でございました。 [0回]
習作「ぼくときみのたからもの」をラノベ風にリライト ver1.2 一次及び二次創作 2012年02月23日 変更点・描写追加・場面追加・誤字修正 ぼくときみのたからもの『♪いつもどおりのある日の事~ 君は突然立ち上がり言った~』巨大スクリーンには、エンディングテーマをバックに、満天の星空が映し出されている。 スタッフロールが流れていくシーンを、5人の男女が見つめている。『♪いつからだろう~ 君の事を~』「いい最終回だったな~」「もうええっちゅうの。何度めだよそのボケは。これ見るたびに言ってんじゃん」静寂を破って、どうしてもこらえきれなかった、という風情で感嘆する太身の男に、隣に座っていた痩身の男がツッコミを入れる。凸凹コンビなこの2人のやりとりは、いつ見ても漫才師のようだ、と東瀬(あずせ)幸彦は思った。あいつらは漫画研究会じゃなくて漫才研究会だ、と評した者が居るのもむべなるかな。 この2人、成本誠と河本明は高校の入学式で出会って意気投合して以来のコンビなので結成からまだ半年も経っていないはずなのだが、とてもそうは思えない。ちなみに大きい方が明で小さい方が誠である。「あなたたち、余韻台無し」と、冷たく静かに、だがしっかりと響く声がした。『♪どうかお願い~驚かないで~聞いてよ~』「あ、すんません部長。あと3回分ありますけどキリがいいからここで休憩にしていいですか?」『火憐だぜ!』『月火だよ!』「そうね、一旦止めて頂戴」部長こと早川美都(みさと)が眼鏡位置を直しながらそう言うと、すばやく動いてリモコンを構える幸彦。『予告編クイズ!』しかし、まだ止めない。タイミングを見計らうように画面を見据えている。「にしても、あっちぃなぁ~」「しょうがねーじゃん。節電節電」凸凹コンビ、成本誠と河本明はそう言いながら扇子を動かす手を休めない。『次回!つばさキャット 其ノ参!』『其ノ参とそもさんって似てる』ここで一時停止ボタンを押す。凸凹コンビによって手早くカーテンが開けられ、光とともにわずかだが室内に風が通った。臨海部特有の、潮の匂いを含んだ風だ。こういう時だけは、この部屋が4階にあることを感謝したくなる。「部長がいなかったら今年はこうやって視聴覚室を使わせてもらえなかったかも知れなかったんだから、感謝し」「宝物、かぁ」それまで沈黙を保っていた茜浜和美が、急に口を開いて幸彦の話をぶった切った。しかし、切れ長の眼に宿る強い光を見ると抗議をする気にはなれない。「見せてあげたい宝物…ねぇ」おもむろに美都の方を向くなり「部長はそういうのってなんかありますか?」とたずねる。「そうね。相手がドン引きしないって誓約するなら見せてあげてもいい秘蔵のハードBLコレクションとかはあるけど」「やめてください。てかそういうことじゃないって分かって言ってますよね部長」心底げんなりした顔ですがるように。おそらく、内容を想像してしまったのだろう。「ええ、分かってるわ」ごく小さく口元だけで笑う美都を見て、聞くんじゃなかった、と小さく口の中だけでつぶやく。「そういうお前はどうなんだ?茜浜」「あたし、あるわよ」幸彦の問いに、即答が返ってきた。正直なところ『知りたいの?気になるの?』とじらされるだろう、くらいにしか思っていなかったので、せっかく放られたうまくボールを投げ返す事が出来ない。「へぇ」と言うのが精一杯だった。誰がどう見て間抜け過ぎるとしか言いようがない。「……何よ」「いや、茜浜が、ねぇ…」「あたしがそういうロマンチシズムとは無縁だと?」口の端だけで笑う仕草が良くない予兆であることは、この1年半弱で存分に思い知っているため、素直に引くことにする。「すまん。失言だった」「見たい?」しかし、和美はそれ以上深追いしてこなかった。「へ?」その反応と言葉の内容とに、二重に意表をつかれ、思わずほうけた顔になる。「見てみたいかって聞いてるの」「……正直興味は、あるな。うん」「ほほぅ」ニヤニヤという音が聞こえて来そうないたずらっぽい笑顔に心底を見透かされたようでうっかり目をそらしてしまう。 それが和美のニヤニヤを余計に助長することになるのだが。「茜浜さん、見せてもらってもいいかしら?」「もちろんです」「部長は今日何時くらいまで大丈夫ですか?」「別に何時まででも」聞きながら、シチュエーションが違ったら若干ドキッとするセリフかもな、と思ったりする。「で、あんたたちはどうする?」和美はこの場にいた残りの2人にも声を掛ける。「あ。俺、この後はバイトッス」「同じく」オタクをするにも金がかかるから。嫁のためにはありとあらゆる手段で!と気勢をあげて彼等は勤労青少年の顔つきになる。「じゃあ計3人ね」「いや、俺まだ行くかどうか答えてないけど」「行くんでしょ?」「はい、行きます」我ながら無駄な抵抗だったな、と苦笑する。「今が2時半で…あと3話ね。ちょうどいいわ。化を全部見たら行きましょう」「じゃ、休憩は終わりってことで続きに行きましょうか。東瀬くん、お願い」「はいはい。了解です」幸彦は手元のリモコンを再度構えた。カーテンが閉まってから、再生ボタンを押す。 漫研の夏恒例行事、視聴覚室を占領してのアニメ鑑賞マラソンは『化物語』の第十二話が終わり、間もなく十三話が始まろうとしていた。初日のこの日はコミケ終了の翌々日ということもあってか、事前に参加表明をしていた何名かの姿がない。結果、3年生で部長の美都、2年生では幸彦と和美、1年生は誠と明の計5人しかいない。 そう言えば去年も初日は集まりが悪かったな、と幸彦は去年の夏を振り返る。まだあの時は茜浜は入部してなくて、凸凹コンビも勿論入学前だからいなくて。 女子と一緒に、というか他人と見るにはいささか気まずいオープニングだからか、目は画面を追いつつもそんなことを考えていた。 しかし、本編が始まるとさすがに画面に集中する。主人公が小学生浮遊霊にセクハラするシーンにぶち当たっても、微塵も揺らがぬ程に。 ☆「あの十二話があったから、エンディングテーマをフルで聞いた時はビックリしたなぁ」「勇気を出して告白する歌だと思ったら…ね」全話見終えて、校舎を後にした時には時刻は4時半を回っていた。まだまだ夏の陽射しは強烈なまま。そこに蝉の鳴き声が追い討ちをかけてくる。立っているだけで汗が流れるほどで、むしろ歩いている方が少しでも身の回りの空気が動く分、涼しい。 美都はショートカットな上に無表情気味なので涼しげだが、肩までかかる長さの和美は余計に暑そうに見えた。 埋め立て地特有のだだっ広い歩道に3人並んで歩く。このあたりは、その横を人や自転車が通り抜けたりしても、避ける必要がないくらいに広い。それでも幸彦は車道側を歩く。隣に和美、一番内側に美都。「で、さらにあのあとの展開がまた切なくてなぁ…」「あたしは羽川派だから、余計にあの展開キツかった」「ああ、羽川派なんだ」「うん。確かにガハラさんとのカップリングはお似合いだとは思うんだけど、あの報われなさは…」「まぁ、切ない展開だったけどさぁ。阿良々木暦はあの場合どうしたら良かったのかって考えると、俺は何も言えなくなる」まさか二股なんてあの2人相手に通用しないだろうし、とまでは言わない。そういう言葉を口にする行為が『迂闊』の名に値する事はちゃんと学んでいる。「その辺は思い入れするキャラの違いかもねー」「いっそ、同人で描いてみたらどうだ?自分なりの羽川エンド」「いや、羽川エンドってことはひたぎクラブ前に羽川とくっつくパターンでしょ?いやいやいや」ないわー、という顔で手を左右に振る。「単に切ないってだけ。物語としては納得してても、まだどうしても心がついていかないと言うか…。えっと。すいません。部長は誰派ですか?」「メメ派」「ああ、そうですか…」話題を振った事を、一瞬だけ後悔した。「忍野メメと阿良々木暦の関係性は弟子と師匠であり、歳の離れた友人であり、そしてパートナーでもある。そこが実に興味深い」あくまで静かに、だが滔々と語る美都。「そういう意味でしたか」 所謂腐的な意味にとっていたため、拍子抜けする幸彦。「そうよ。もちろん、腐女子的なアプローチもしていなくはないのだけれど」「いやいやいや、そっちはちょっと」「そう」「ええっと、話を戻してもいいですか?」ごくわずかだが残念そうな表情を見せる美都に、和美が若干食い気味に許可を求めた。「何の話だっけ」「戻すと言うか、さっきの続きで聞こうと思ってたんだけど。羽川エンドの前提として先に羽川翼のほうが告白するとして、その場合普通に阿良々木暦と付き合ってたかな?」「どうかなぁ。阿良々木暦っていうキャラクターは羽川翼を神格化してた部分があると、俺は思ってるんだけど、まぁ、率直に言ってそういう相手とは付き合えない気がするなぁ」「そういうもんなの?」「少なくとも阿良々木暦っていうキャラはそうだと解釈してる。一応『そういう対象じゃない』って言い切るシーンもあったし。んで、これはもう間違ってる解釈かも知れないと思って敢えて言うんだけども」「何?」「神格化した存在が自分のところまでおりてきてくれるっていうのは嬉しい反面、やめてくれっていう気持ちもあるんじゃないかなぁ」「本編ではいい笑顔で『誇っていいんだな』とか言ってたけど」「もちろん、それも嘘じゃないだろう。でも、どこかで下から崇めて喜んでる部分があった気がするんだよなぁ」「もうその辺は完全に受け手側によって解釈が分かれるレベルのお話ね」うんうんとうなずいてから「ちなみに私は別の理由で付き合わなかったと思うわ」と、切り出した。「おお、傾聴傾聴」「だって、阿良々木暦にとって羽川翼は戦場ヶ原ひたぎに出会う前の時点では校内唯一の友人だったんでしょう。彼女にしてしまったら友人が存在しなくなるじゃない。阿良々木暦っていうキャラクターは、多分羽川翼の友人というポジションに心地よさを感じていたと思うの」「ほほう」「どう?」「実に面白いと思う…っと、もうすぐ駅だけど、電車には乗らないのか?」話に集中していて気付くのが遅れたが、視界にはとっくに鉄道の高架橋が見えていた。「乗らない」「じゃ、バスには乗るのか?」「乗ってもいいけど、今日は乗らないで行きたい」ガハラさんよろしく現地につくまでは秘密主義のようで、あんまり情報量が増えない。もしかしたら盛り上がっていたところで話をぶった切った事が機嫌を損ねたのかも知れない、ということにはこの時思い至らなかった。 そうこうするうちに、いつも乗り降りしている最寄り駅を通り過ぎる。これまでより歩道に人が増えているため、3列横隊を解除して1列縦隊に隊列変更する。当然先頭は道案内役の和美で、中間に美都、殿(しんがり)が幸彦というパーティ構成となった。 駅ビルを過ぎて、道すがら右手には巨大展示場、左手にはシティホテル群がそれぞれ強い存在感を示している。 しかし、和美はそのまま直進する。「ほら、もうすぐ見えてくる」歩道橋の向こうにある施設は、1つしか無い。「ここって、アレだ。野球場、だよな?」「そうよ。海風と鴎のスタジアムよ」このあたりは埋め立て地であるためか、他ではあまり見られなくなりつつある震災の爪痕を歩道のあちこちに残しており、さらには夕暮れ時ということもあって若干歩きづらい。「ここに、あたしの宝物があるの」「へぇ~」感心するようなそうでないような、曖昧な感嘆。「嫌なら別にいいのよ?」「別に嫌じゃない。野球自体は、昔割と見てたし。せっかく来たんだから、久々に見てみたい」素っ気なく言われてしまうと、幸彦は自分でもビックリするくらい早口で返した。「部長はどうしますか?」「私も異存はないわ」「じゃあ3枚用意してきますから、ここで待っててください」言うなり、肩まである髪をゆらして駆け出して行く和美。混雑しているのに、巧みにすり抜けていくからかそのスピードはほとんど落ちない。「なんか、意外ですね」「あら、そう?」「部長は意外じゃないんですか?」「どこかなんて想像もできなかったんだもの。意外という言葉には当たらないわ」「ああ、なるほど」静かにそう言われてしまうと、どう言葉を継いでいいのか分からず、幸彦はやや気まずく沈黙する。 美都はそれを見ると、カバンから本を取り出して、ページをめくる。 手持ち無沙汰な幸彦は特にすることも無いので、何とはなしに周囲を見渡してみると、自分の知っている球場の光景とはだいぶ異なることに気がついた。屋台だか出店だかがたくさん出ているのはまぁいいとして。関係者入口みたいなところの真ん前にはなぜか舞台がしつらえられていて、その上で歌ったり踊ったりしている一団がいる。右手には2階建てとおぼしき建物があって、どうやらグッズショップらしいのだがなぜか『ミュージアム』と書いてあるのが謎だった。「そう言や、野球場に来るのなんて、何年ぶりだろう」誰に言うでもなく、ぽつりとつぶやく。思い返せば、昔はそこそこ見ていた方だったはずだ。ただ、徐々に興味が漫画やアニメにシフトして行き、そちらに意識が向かなくなったというだけのことで、それはある種自然なことだと思っていた。「宝物、ねぇ…」今ひとつ意味を掴みかね、口の中だけでそっと言葉にしたとき、和美が切符売り場から駆けて来るのが見えた。「お待たせ!」美都は素早く本をしまい「お疲れさま。茜浜さん、いくら?」とたずねる。「いいんです。これ、実はタダ券使ったんです」言いながら、内野自由席のチケットを見せる。「お父さんがファンクラブに入ってて、特典でもらえるんです。でもお父さんは『俺は内野じゃ見ないから』ってあたしにくれて。で、もらったものの、あたしもずっと使う機会がなくて財布の中でほったらかしにしてたんです。だから気にしないでください」「でも、それに甘えるのも悪いから、なんかおごるよ」「言ったね?」幸彦の提案に、和美の瞳がキラリと光ったような気がした。そしてそれは、気のせいではなかった。 ☆ 入場口から階段を上って上って、ひたすら上って一番上まで。ようやくたどり着いた席からは、スコアボードがちょうど真っ正面に見えた。ライトスタンドやその近くの内野席はみっちりと満員だったが、この辺は若干のゆとりがある。3人分くらいの空きはすぐに見つかり、無事に腰をおろすことができた。 美都、和美の順に座り、両手に食べ物を大量に抱えた幸彦が通路側に陣取った。ここに上がって来るまで、和美は3つの店で食べ物を買いこんだにも関わらず、なおも「野球観戦って、お腹が空くのよねぇ」と言っていたので追加のご用命がくだることに備えた為だ。 まずは袋からあれこれと取り出して各人希望のものを配る。「あ。あたしそのカツサンドね」「はいはい。部長はどれでしたっけ?」「コーヒーとパエリアを」幸彦は2人に手渡した後、自分のカレーライスを取り出す。 ひととおり行き渡ると、改めて眼下に広がる光景を見渡す余裕ができる。緑色のグラウンドでは、ホームチームの選手達が練習をしている。それがサークルライン照明によって浮かび上がると、日常から切り離された空間のようで幻想的ですらある。「確かにいい眺めではあるな」「そうね。ちょっと新鮮」2人がそういうと、和美はやや照れくさそうに「別に、そんなに熱心なファンって訳じゃないの。受験の年にちょうどチーム自体もごたごたしちゃってたりしてて、今はちょっと離れてる感じかな」と言い、少しの間を空けてから言葉を継いだ。「でも、今日あのシーンを見て思い出したの」「知ってる?このチーム、何年か前に無くなりかけたことがあるの」「えーと。アレか。合併騒動だかなにか」小学生の頃の話なので、幸彦は若干あやふやな記憶を掘り起こすことになった。「そう。うちはお父さんが熱心なファンでね。小さい頃からここによく連れてこられたの。あのニュースが流れた時は、もう大変だったわ。お父さんが家で大騒ぎしちゃって」和美が若干目を細めた。「あの時は、最初関西のチーム同士が合併するって話だったのに、そのあとチーム数がどうとかで、このチームが九州のチームと合併して移転だとか、1リーグ制に変更とか、言葉の意味はそのころのあたしにはよく分からなかったんだけど、私、そのとき生まれて初めて見たの。お父さんが、と言うより、大の大人が大声で泣くところを」そう言う和美の瞳も若干潤んでいたように、幸彦には見えた。「あたしはそのとき、お父さん泣かないでって一生懸命に言う事しかできなかったんだけど、色々あって結局ここのチームは残ったの」「残って、その次の年にチームが優勝してね。どうやってチケットをとったのか日本シリーズにも家族みんなでここに来て、そのときに、和美、お前のおかげだって、お父さんが言ったの。おかしいよね。あたし、別に何にもしてないのにね」「でも、この場所でお父さんに肩車されながらそう言われたら、なんだかこの眺めがとっても大切なものに思えて来て」「以来、この場所とこの景色はあたしの宝物なのだ」 ☆ 帰り道。球場前の歩道橋を越えると、ようやく人ごみもまばらになってきた。3人は長蛇の列になっていたバスをあきらめて、駅を目指して歩いている。「どうだった?」「いや、面白かったよ。ホントに。まぁ、なんだかんだ言っても、いい印象で帰れるのはやっぱりホームのチームが勝ったってのが大きいと思う。ホームだから、球場全体で喜ぶ感じになっててさ、なんか、ああ、こういうのいいなって思えたよ」幸彦が珍しく大真面目な顔で言うものだから、和美は思わず噴き出しかけた。「そうね。今度はもっと近くで見てみようかしら」「え?部長、野球に興味が?」「野球に、というか、あの選手達に。ああいう肉体のモーションを脳裏に刻んでおくことは創作活動にもきっとプラスになるわ」若干、げんなりした顔になる幸彦と和美と。特に『肉体』というフレーズで何かを悟ってしまったために。「まぁ、そういうジャンルで描いてる人達もいるみたいですけどねぇ」ちょうど終わったばかりのコミケのカタログに、そんなジャンルのページがあったことを思い出してしまう。つくづく、人間はいらない記憶を選択して消去できない不便な生き物である。「特に、私達の席から一番遠くに居た選手、あの人面白かったわ。まるでそこにボールが来るのが分かってるみたいに走り出して、当たり前みたいにジャンプしてボールを掴むところ、それこそまるでアニメか特撮みたいだった」言いつつ、眼鏡をクイッと直す。 センターを守っていた選手は野球という競技に詳しくない者ですら感嘆させるようなプレーを再三再四に渡って披露していた。フェンス際の大飛球も内外野の中間点ぎりぎりにふらふらと落ちそうな打球も明らかにレフトの守備範囲だろうという打球も、そうするのが当然であるかのようにグラブにおさめていた。「あの人、確か打つ前に走り出してた事あったよな」「何年ぶりとか言ってた割にはよく見てるじゃない」「よく見てると言うか、目が引きつけられたんだよな。あんまりにも面白過ぎて」そのプレーのあまりの見事さに、一度ならず相手チームのファンからも賞賛の拍手を受けていたほどだ。ほぼ成り行きとは言えホームチーム側に肩入れして見ていた幸彦からして見れば、それなりに心身を震わせられる経験ができた。「ま、ピッチャーでもなくバッターでもなく外野手が一番インパクトがあったってのもあの席ならではだったかもな」「プレーそのものだったらまだいいのだけど、『応援が一番面白かった』なんて言われることだって珍しくないから」「ま、確かにアレはインパクトあったな」人の声が100メートル以上離れたところから押し寄せてきたことは強烈な印象として刻まれていた。耳に残るというより、脳に残る光景だった。「それを言うなら、試合内容とは直接関係ないけど、食べ物もなかなかうまかったな」「でしょう。でもいいチョイスしたわよ。あたしの知る限りで、ここで売ってるカレーライスの中じゃあれが一番おいしかったはず」と、ここまで言ったところで、今までとは微妙に違う視線に気付く。 幸彦は熱を入れて語っていた和美を戸惑いとともに見やりつつ、やや言いづらそうに、たずねた。「あー、茜浜。お前、さっき、そんなに熱心なファンじゃないとか言ってたよな、確か」「………だって、ヒかない?」やや気まずそうに。おっかなびっくりな視線で、幸彦の表情をうかがう。「別にヒかねぇよ。少なくとも、女子なのに女性キャラの萌えについて熱く語る方がよっぽどだと思うぞ」「そんなん漫研の女子みんなやってるじゃない」「だから、どっちもヒくようなことじゃない。俺にとっては、だけど」 2つめの歩道橋を過ぎると、鉄道の高架橋が見えてくる。「でも、最近ちょっと離れ気味だったってのはホント。だからチケットだって残ってた訳だし」こういうのは誰とでもいいってもんじゃないし、と口の中だけで小さく小さくつぶやいてから、幸彦に目線を向ける。「そうそう。東瀬くん?」「ん?なんだ?」「あなたの宝物も、もし良かったら教えてくれる?」「……俺は至ってつまらん人間なので特に何もないんだけど」一旦言葉を切って、空を見上げる。「そうだな。今日のことが、きっと何年かしたら宝物になってるような気がするよ」 終わり つづきはこちら [0回]
偽物語の第八話の予告が つれづれ 2012年02月22日 予想外すぎる人選で噴きました。 まぁ、私がここでしたり顔でネタバラシをするのも台無しですので、こちらをぜひご覧下さい。 昨今のとあるモノの傾向について一家言あり、物申しているところはなかなかカッコ良かったです。 あと、カットの方もかなり愉快でした。素敵オチ。最近すっかりしおらしくなっちゃったあの方が久々に荒くれたところを拝見して嬉しかった私がおります。 つづきはこちら [0回]
偽物語第七話「かれんビー其ノ漆話」を見たあとの感想 つれづれ 2012年02月22日 この文章は視聴後数日後にほぼ記憶だけを頼りに書いているものですので、明らかな誤謬等あると思いますので、あらかじめご承知おき下さい。 あと、「オマエやっぱり書いちゃったのか、これの感想」と自分で自分にツッコんでおきます。 さて。 今回は『かれんビー其ノ漆話』と銘打ってはありますが、この回は『ひたぎクラブ其ノ四』(もちろん其ノ参は化の十二話です)、だった気がしてなりません。それこそ、オープニングが『二言目』でもよかったくらいに。 それは、今回はガハラさんがどうしても踏み出しきれなかった一歩を踏み出すためにはどうしても必要だったお話だったと思うからです。貝木との関係性について、阿良々木君の前で暴露されてもしっかり踏みとどまり、自ら引導を渡したところは今までとは方向性の違う強さの現れでした。あの時『だから連れて来たくなかった』と思ったのかどうか考察するだけでもじっくり楽しめそうです。 でも、対決が終わったあとの消耗しつくしたところは『当初の予定どおりひとりで来てたらどうするつもりだったんだろう。阿良々木君に救援要請したのかな』といらない気を廻してしまいました。 にしても「今夜は眠れなくなるかも知れない」というのがああいう意味だったとは…。もっとも、「優しくしなさい」なんて言われたらそれだけで十分眠れなくなりそうですが。 また。貝木との対決シーンですが、私は賛否で言うと賛でございます。これまでとは違って派手な戦闘にはならなかった挙句(むしろ派手な戦闘は前半部分で妹とやっていました)、貝木の退き方がやや肩透かし気味に感じられた方もおられるかも知れませんが、むしろあの退き方こそ、己を知り敵を知る者、そして本物ではないと自らを言う者の姿だったと思います。詐欺師は退場シーンまで詐欺的なんですね。 貝木が本物を知る偽物だったからこそ本物の怪異である吸血鬼を察知してあっけなく退いたのか、それとも他に別の思惑があるのか、原作未読なので続刊の展開をご存知の方からすれば分かりきった事を大仰に考察しているところは滑稽なのかも知れませんが、こういう作業そのものが結構楽しい私からすればこれで完全に原作の先を読まない覚悟をしてしましました。 今回こういう視点だったので、火憐との戦闘は手のかかる頑固な妹を説得するために苦労しているなぁ、という風に感じてました。バス停と同化したりとリアルではなくギャグ基調の演出も、その一環かなぁ、と。 なんにせよ、第八話以降に始まる「つきひフェニックス」も楽しみです。 こういう文章は割とすらすらと出てくるのに、なんで小説を書こうとすると…。やっぱり私の中の吸収→消化→内面化→表現の作業工程を担う部分のどこかがおかしいんでしょうか。 [0回]
出張と言えば つれづれ 2012年02月21日 出張先でオタ街周りをするのが定番でございます。まぁ、私の現在の職務管轄範囲はめったに出張しないんですけども。 今回出張する事になった先である仙台は私が小学2年から5年まで住んでいた土地でもございまして。本来でしたらその頃の思い出の地を巡る等しても良かったんでしょうけれども、京都から仙台、しかも小型機での移動のダメージが思いのほかでかかったのと、夕暮れ時に目つきの悪い見慣れぬおっさんが小学校近辺をうろつくのはあまりにも危険な行為なのでやめておきました。 で、代わりと言っては何ですが、オタ街周りしてまいりました。仙台は駅西口を出て、近い方からとらのあな、らしんばん、ゲーマーズ、メロンブックス、アニメイトとあるわけですが(他にもあったかも知れませんが、すいませんこれしか把握しておりません)、まずアニメイトへ。 仙台朝市という通りに面したビルの2階にありまして。私、北は札幌から南は鹿児島までアニメイトに行った経験を持つのですが、入るまでに魚の匂いがするアニメイトはここが初めてでした。 まぁ、元々買う予定の入っていた新刊が置いてあったら買っておこうか、くらいに考えていたんですが、なぜか『佰物語』を手にとっておりました。ついつい買ってしまいました。 100本の小ネタの切れ味が実に素敵なのでこれ書きながら聞いていますが、楽しいですねぇ。小気味のいい会話。素晴らしい。でもこれ、100本分の感想全部1つずつ書けって言われたらさすがにキツいですねぇ。 で、結局これの出費が予定外過ぎてまわっただけで終わってしまいましたが。 そもそも住んでいた頃にはこういう店もなかったので、記憶の中にわずかに残った光景に見慣れたオタ的存在がドーンと入っているのは何とも不思議な感覚ですなぁ。 [0回]