昭和生まれの平成懐古話第9回「トラウマアニメシリーズその2『機動戦艦ナデシコ』」
ぶっちゃけると第一印象は『うる星やつら+ガンダム+αというテイストのアニメ』でした。入口は。ああ、可愛い女の子とメカなアニメなのか、と。まぁ、実際可愛かったですし。見てみようか、くらいの気持ちで見始めました。
ところが。あっさり人が死ぬなど展開がハード、SF設定がしっかりしている、ラブコメ展開が意外とぬるくない、大人がちゃんとかっこいい、しっかり焦点を当てるに値する練り込まれた脇役キャラ、劇中アニメ『ゲキ・ガンガー3』に専門チームが編成されていて70年代アニメのノリをこれでもかこれでもかとガッツリ再現、意外なところに意外なパロディ、等々、見れば見る程あれ?おや?ほほう…と引き込まれる強烈な作品でした。
『木星蜥蜴』という名のエイリアンだったはずの敵が実は、という展開になるころには完全にトリコでした。何と言うか、うまいんですよね、色々。予想は裏切り期待は裏切らない、というか。
テレビで26話を見終え、1998年夏に公開された劇場版まできっちり追っかけて、重い重いシビアでシリアスな設定と展開と、そこに差し込まれる隠し味のようなコメディとに完全にしてやられた挙句、「え?コレで終わり?」という突き放されたような居心地の悪さが心に残ったラスト。まさにナデシコは私にとってトラウマアニメという名称にふさわしい存在です。
一方、本編で色々詰め込んだ反動なのか、CDドラマなどでは徹底したお遊びも披露してくれてます。とっくに終わったあとの2000年に発売された『お洒落倶楽部』と『続・お洒落倶楽部』は特に。
こんなありさまなんで、セガサターンで発売されたゲームも買いました。2つとも。今まではこういうメディアミックス作品にあまり良い思い出がなかったので買わずに来たんですけども、このゲームもファンアイテムとしてなら文句無し、そうでなくても恋愛シミュレーションでありつつ戦闘もそこそこ楽しめるという作りを割と堪能しました。
あ。一番好きなキャラですか?勿論ルリルリですが何か?不幸な生い立ちとそこから立ち直っていく姿、その過程で無表情さが徐々に表情豊かになっていくところなんかはもうたまりません。ルリルリが心を開いていく一方で、開いた相手がおさまるところにおさまっちゃって、初恋は実らないんだなぁ…なんて切なくさせられたりしたのも良い思い出です。あと、私自身が苦労性なのでジュン君の立ち位置が他人事とは思えなくて、劇場版でちょっとだけ報われたのが嬉しかったなぁ。
とまぁ、いつもながらつらつらと書き連ねてしまいましたが、未見の方に興味を持っていただけたら嬉しいですね。今回しっかり伏せたところを、実際にご覧になって膝を打っていただけたら、もう望外の喜びです。
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