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 勢いだけで書いたのが丸わかりのつたなさですが供養の意味で載っけてみます。レギュレーションは…まぁ多分大丈夫でしょう。

 鋼の錬金術師、ロイ×リザネタです。


   彼と彼女の事情

 アメストリア国軍東方司令部。
 ヒューズからの電話が不審な切れ方をした直後から、ウロウロと落ち着き無く室内をうろつくロイ・マスタング。その所作を心配するでも無くあきれるでも無く、淡々と見守るリザ・ホークアイ。
 公衆電話からかかってきたものを、こちらからかけ直す術も無く、もう一度かかってくる事を不安と共に待つことしかできない。
「イシュヴァールの英雄が聞いてあきれる…」
小一時間ほどして自嘲気味な呟きを漏らした直後。
「中央から至急電です」
フュリー曹長が駆け込んできた。
「読みたまえ」
悪い予感を抱きつつ、努めて冷静に告げる。
「はい。………」
「どうした?」
絶句するフュリーに、やや不審げな視線を向ける。
「こ、これは…」
「悪い知らせか?かまわん。読みたまえ」
「はい。ヒューズ准将の………ヒューズ准将の軍葬を執り行うため、急ぎ中央へ戻りこれに出席されたし、とのことです」
「分かった」
押し殺した声の響きに圧されて立ちすくむヒュリー他の面々を、リザが下がらせた。
「大佐はお疲れです。皆、下がって休みなさい」
「ハッ」
最後の一人が部屋を出、ドアを閉めたところで、ロイはその場に座り込んだ。
「大佐」
「ありがとう。皆にこんな姿は見せられんからな」
引き攣れるように口元をゆがめた。
「中尉、笑ってくれて良い。私は友人の訃報一つに耐えられん男だ。英雄の名にはふさわしくない」
「大佐」
身を案じてしゃがみ込んだリザに、ロイは抱きついた。戸惑いながらも、それを支えるリザ。
「中尉、すなまいが、しばらくこうしていてくれないか」
「大佐」
「頼む…」
リザは、返答の代わりにそっと頭をなぜた。声を押し殺して肩を震わせるその姿を見やるまなざしは、”鷹の眼”ではなかった。
 今は、どんな言葉も傷を増やしてしまうだけに思えて。励ましも慰めも同情も、ともに泣く事すら許されないように思えて。己が無力を呪いながら、ただ膝の上で幼児のような姿をさらけ出している上官を、精一杯の優しさでなぜた。
 鳥の羽音も虫のつぶさも無く、闇の支配する静寂(しじま)の中で、ただそうすることしかできず、また、ただそうすることこそ己の使命であると任じて。
 そうしてどのくらいが過ぎたか。
「中尉」
顔を伏せたまま、声だけは普段のまま。
「はい、大佐」
「ありがとう。これで又一つ、君に頭が上がらなくなってしまったな」
どんな表情をしているのだろう。見たい、知りたいと言う衝動を抑えて、
「大佐に命を預けた身ですから」
ですから。「お命じのまま、何でもいたします」とは、言わない。否、言えない。
親友の死がこじ開けた心の隙間に付け入るようで。そうすることが、この男を弱めてしまいそうで。
「私はこれから何度『ヒューズがいれば』と嘆く事になるのだろうな」
「そう、ですね」
きっと。おそらく。必ず。この人は、埋められない隙間を、また一つ作ってしまった。
「中尉」
「はい」
「君がいてくれてよかった」
答えられない。
「君がいてくれなければ、どうなっていたか。感謝する」
すがりつくような姿勢のまま、顔だけを上げた。
「すっかり甘えてしまったな」
顔を伏せる直前の、凍り付いた表情とは別人のような、はにかんだ笑み。その笑みに、リザは「救われた」と思った。自分も、この人も。
「もう一つ、甘えていいだろうか」
わずかな逡巡の後、ロイはそれを口にした。
「何なりと」
獣欲ではなく、好奇心でもなく。生きるためにそうする事が必要だと。孤独を埋め、気力を奮わせるために。そう分かったから、己を求められてリザは拒まなかった。
 上官であることは、関係なかった。今、ロイ・マスタングには自分が必要であり、自分にはロイ・マスタングが必要である。それが全てだった。否、わずかだが、個人的な感情の差し挟まる余地があったことを自分で認めながら、リザは全てをロイに委ねた。
 おぼろげで怪しげだが、知識はある。これから己の身の上に何が起きるのかはわかっていた。我が身がそうなろうとは想像だにしなかったが。
 ソファに身を横たえ、されるがままになる。
 すがりつくように抱きしめてくるロイの姿は子供のようですらある。それを「かわいい」と思ってしまった。だから、満身の愛しさを以て抱き返し、受け入れる。
 プレイボーイを以て鳴るロイ・マスタングはそれにふさわしい技巧を弄する事も無く、ただひたすらリザ・ホークアイを求めた。貫かれる甘い痛み。心中に広がる喜悦。自らにそのような部分があったことに驚き戸惑いながら、ロイのもので己の内を満たされた時、生まれて初めて己が女性である事を何かに感謝した。

         ◇

 夜明け前。
 事が済んで。ほんのしばしの余韻のあとで、軍服を着直すと瞬く間に平素の二人に戻った。こうしてみると、とても情事のあととは思えない。今回の事は、これまでの二人の紐帯にまた一つ新たな絆が加わったに過ぎないのかも知れない。
 平素の落ち着きを取り戻し、常以上の覇気をみなぎらせた上官に、リザは言った。
「大佐は前を、そして上をご覧になってください。後ろは私がお守りします」
「うむ」
軍帽をかぶり直して、扉のノブに手をかける。
「いくぞ中尉、中央へ。ヒューズの件、必ず解明する」
「はい」
やはりこの人は、こうでなくては。
 鷹の眼は、鋭い光を湛えて上官の背中に向けられた。己が全てを懸けて守るべきその場所に。これまでよりもややいとおしげな眼差しで。

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今さらですが非公開に変更
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読書、創作活動(文章のみ)、野球観戦、旅行、食べ歩き
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三十路オタです。そろそろ三十路の残りのほうが少なくなってきました。そんな年齢なので言う事やる事古くさくてすいません。

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