忍者ブログ
漫画、アニメその他諸々の感想がメインのブログです。現在は「ここだけの話」シリーズについての感想を中心に運営しております。毎日15時の更新は終了し、現在は再び不定期更新に戻っております。
[1] [2] [3] [4] [5] [6]
※標題のお話はこちら(pixiv版)、もしくはこちら(ジャンプルーキー版)からお読みいただけます。


・『10月と言えばハロウィン!』『ハロウィンといえば そう!コスプレ!』『ごく自然に衣装着用をお願いできるボーナスイベントが近づいているのだが』キミ、のべつまくなくご要望している印象だったけど、あれでもセーブしてたのか。
・うっかりと警官コスのさわちゃん先輩に逮捕される青年を幻視しましたがそういう小芝居は彼的にはどうなんでしょうね。より効果的に衣装の威力を発揮させるものとしての小芝居はありなのか、それとも好きなのはあくまでも衣装なのか。初期の頃なら小芝居を醒めた目で見てる印象でしたけども。
・今年はセーラー服にバリエーションを持たせる方向で来ましたかそうですか。
・そんな相変わらずどうかしている青年を見つめるさわちゃん先輩の眼差しが不穏。
・結果、初めて見るようなおむずかり顔に。まぁ、無理もないですな。青年はしっかりと反省するように。
・結局彼は今も大事にする大事にするって言いながら肝心の部分から逃げ回っていたあの頃とあんまり変わっておらんのですよね。ええ。
・「ごめんね?俺なんかした?」まぁ、悪気なくやってるし悪いことだと思ってないからわからんわけです。一緒にお出かけしている最中に、彼女ほったらかしにして他の女性見るなんて一番やっちゃいかんことじゃないですか。
・「なにしたかわかってないのに謝ってくるのはもっとやだ‥‥」「それは‥‥はい ごもっともです‥‥」そろそろ自分がいかに甘やかされてきたか気づけるかな?
・これは日常茶飯事だったら、そりゃあまどかさんも「私のことなんて本気で好きじゃないんだな」って思うわけですよね、ええ。
・洗剤買って帰るのを2人そろって忘れるのはめっちゃ生活感あって好きです。
・「あっ」「待ってだめっ」「私怒ってるんだか‥‥」からの唇強奪。ああ、コイツこうやって今まで許されてきたんだなというのがよくわかりますね、ええ。それは誤学習というやつだぞ青年。
・それはそれとしてここのさわちゃん先輩はとーってもエロかわいくて眼福でございました。
・やすやすと為すがままにされてしまったことと、それがちょっと嬉しかったことが悔しい顔をなさっておられる。
・「かくなる上はそうたくんをあっち向かせるしか」「いたたたたた首折れる首折れる」一度くらいパキッといっちゃってもいいんじゃないかな?世に曰く、痛くなければ覚えませぬ。
・「つまりどういうこと?さわさんは俺の顔が見たくないの?」「‥‥というより私のこと見てないのそうたくんのほうじゃん」「え!?」「それだけはなくない???」この期に及んでまだこんなことを。お前ホントサイテーだぞ。
・「‥‥ならなんで私といるときたまにうわのそらなの」「よくひとりでなにかもの考えしてるなと思ったら」「今日はとうとう高校生の女の子たちじっと見てたし」「そうたくんはバレてないと思ってるかもしれないけど」「バレなければいいとかいう問題でもないよね」「なにより」「そういうのさすがに鈍い私も傷つくよ」ああ、やっと。やっとぶちまけてくれた。読んでいて大いにスッとしました。
・これだからモテ続けてきたヤツはよぉ‥‥と思ってしまうのは非モテのヒガミだとしても。篠崎聡太という男はどっかズレてるんですよね。これは大事にしてる云々の時にも感じたんですが、彼は非常に自己完結型の生き物です。なんでもソツなくこなしてしまうから基本的に他人の助けを要してこなかったんでしょうな。
・「そ」「そんなつもりは‥‥」悪気がなくても、いや、悪気がないからこそ傷つくこともあるのだ青年。学べ学べ。
・改めるなら今やぞ青年。ラストチャンスと心得よ。
・「いいよ大丈夫」「そうたくんは私のことなんかほっといて高校生の女の子たちでも見てなよ」「ほんとは女子高生さんが好きなくせに」「でも未成年に手を出したら捕まっちゃうから」「だから代わりに私にセーラー服着せたがるんでしょ」ブチまけてるブチまけてる。ああ、これが積年の想いだぞ青年。重く重く受け止めてくれ。
・青年の言い訳タイム開始。それに対し「そんなのほいほい信じる様なちょろい私だと思ったら大間違いだから」と返されるわけですが。こう返しちゃう時点でちょろいと白状してるんですがその辺が大層カワイイわけですね、ええ。
・「それって」「記憶の中とか未来にいる私のほうが」「そうたくん的にはたった今目の前にいる私より大事ってこと?」はい、これでストライクバッターアウト。スリーアウトになる前になんとかするんじゃぞ青年。
・私も創作する側の人間なので妄想癖空想癖ありますが、TPOってものがありますわな。
・「ごめん俺どうかしてた」別れる前に警告してくれる優しい彼女に感謝しなされよ。
・「私もちょっといじわる言った」「ごめんね」ああ、優しいけどちょろい。
・「私といるときは今の私のこと見ててほしいです」まぁ、これに尽きます。急には改められないとしても、せめてフィードバックをしなさいな。
・妄想を白状させられる青年。恥いる心があって何より。
・こういうやりとりから結局いちゃいちゃにつながるあたりは実にラブラブで結構なことです。
・性癖に理解ある彼女のありがたみを痛感したらしいですけど、またやりそうな気もしておりますよ。


 作者ご本人のあとがきはこちらからどうぞ。

拍手[1回]

PR
※標題のお話はこちら(pixiv版)からお読みいただけます。


ご優待の話
・でかあああああい。説明不要というより問答無用という感じのデカさですな。まぁ、そりゃあ青年もしげしげと眺めてしまうわけで。
・「あんまりまじまじと見ないで!!」「はずかしいでしょ!!」こういうところも同棲で明らかになっていく点ですね。ああ、コイツ意外とデリカシーないんだな、とわかるわけです。
・「はずかしいもなにもそれ俺が買ったやつじゃん」「株主優待みたいなもんだと思えば‥‥」お前は何を言っているんだ。
・「ゆ‥‥」「ゆうべいっぱいご優待したもん!!」それを着けて!ご優待なさったと!しかもいっぱい!
・「それはつまり買えば買うほどご優待が得られるという‥‥」気づいちゃった、知っちゃった。あーあ。
・「なんでこういう話題になったとたんおばかになるの」さわちゃん先輩はご存じないことですが、コイツ昔っからシレッと興味ない顔して内心こんなことばっかり考えてたんですよ。つまりはこれが正体なんです。


あざとい話
・属性をこれでもかと詰め込まれて恥じらうさわちゃん先輩。恥じらい2連発。1番の恥じらいポイントはどこなんでしょうか。ツインテール?
・そして覚醒する青年。
・「俺正直今までこういうあざとい系って何がいいんだろうと思ってた」「これからは心を入れ替えてやっていくわ‥‥」うむ良い心がけじゃのう。ではまず服の話で金太郎の前掛けが関の山とか言ってたことを訂正謝罪しようか。


捕食の話
・「そーたくん」「ハッピーバレンタイン」「あ」バレンタインでドギマギしたり勘違いしたりしたのも今は昔。青年雛鳥みたいになってますな。
・「そうやって当たり前に待ち構えられるのもなんだかなぁ‥‥」さわちゃん先輩におかれましてはあの頃の純朴っぽかった青年が懐かしいのかも知れませんが残念ながら万物は流転するものですゆえ。将来お子さんができたら話の種にでもしてやってくだされ。
・「!!!」捕食。
・「やると思った!!やると思った!!ばかーッ!!!」予測可能回避不可能。
・「たすけて」もう助からないゾ。


名誉な話
・くしゃみから「だんをとろう」までの流れるような動きは流石の一語。
ここだけ落書き10のお湯の話でも思ったんですが冷えと温もりについてのこういうムーブは寒さ厳しい土地の生まれ育ちだからなのかな、と。
・「そこに居られると俺なにもできないんですけど‥‥」「そんなことはない」「なんとあのさわちゃんをあたためている」自分で「あのさわちゃん」って言っちゃうのすごくかわいい。
・青年の匂いと温もりと声に包まれて寝るのが至福なんでしょうな。ごちそうさまです。


ハッピーバースデーさわちゃん3.8
・いろいろとかわいいお姿を拝見してきましたがやっぱり満面の笑みが一番ですね。
・そして何かを企み後ろ手に隠している青年。ホワイトデーはありましたし逆もありましたけど青年からさわちゃん先輩に誕生日プレゼント贈るのはこれが初めてですな。こうなる前にはあげたことがあるのか、ちょっと気になりました。


拍手[1回]

※標題のお話はこちら(pixiv版)、もしくはこちら(ジャンプルーキー版)からお読みいただけます。


・また身体が鳴ってる……おいたわしやさわちゃん先輩。見るからにつらそうで、楽器だとかふざけていられないご様子。
・しかし青年の申し出には遠慮するという不可思議。そりゃまぁ、そんな反応されたら前回の件に思いが至りますよね。ええ。
・妖怪ホック外し降臨。そういう姿も似合うな青年!怪奇外ヅラ仮面よりはよほど清々しいかも知れない。まるっきりド変態だけど。
・そして涙目のさわちゃん先輩が大変可憐です。実際にはなかなかどうして青年では実現させられない絵面だと思いますのでしっかり目に焼き付けておきたいと思います。
・『心外だな そんなに信用ないか?』ハハッ。ナイスジョーク!
・『俺はこれでも社会人としてそれなりのふるまいを‥‥』『できてないですね!!』現実を突きつけられて非常にイイ顔してんなぁ。しかしあのキスマ事件、結局上書きしたんでしょうか。誤解って書いてあるから未遂っぽいですが。
・めっこし凹んでますな青年。
・「そんなに私の肩甲骨が寄せたかったの‥‥?」だとしたらなかなかフェティッシュな趣味をしていることになりますが。
・種明かしタイム。しっかしここの「こう‥‥」「ね」が、非常に好みです。なんというか、がっつりと有体に言えばエロくて大変よろしゅうございます。
・「これ飛ばしたらリカバリーできないんだよ〜」割とピンチな事態だと思うんですがなんでそんな呑気なんですか。
・「俺の社会的評価は脅かされてなかったんだ‥‥」前回野上さんから突きつけられたものを無視してはいけないぞ青年。
・「うち帰って着替えたらいっぱいほぐしましょうね」ほぐす前後で不埒な真似に及ばぬと約束できるか青年。というかボタン飛ばすとこ見せてくださいとか真顔で言いかねない、というのが私の彼に対する現在の評価となっております。


 作者ご本人のあとがきはこちらからどうぞ。

拍手[1回]

※標題のお話はこちら(pixiv版)、もしくはこちら(ジャンプルーキー版)からお読みいただけます。


・「えーん およそ人体から鳴るべきではない音がするよう」自由自在に音階を操れるようになると晴れて『楽器』というあだ名が進呈されます(経験談)
・「同じ時間デスクワークしてるはずなのに」「そうたくんは肩こりとかないの?」体質とかもありますからねぇ。肩や首を温めるだけでマシになったりする場合は冷えが主原因だったりとか。
・まぁ、これを書いている当の本人が肩こり由来の頭痛に叩き起こされたりしているのでなんかすごくタイムリーというかなんというか。いや、万年肩こりの人間にタイムリーもなにもあったもんじゃありませんけど。
・「なんだよう!」今なおこういうノリは変わってなくて嬉しいしホッとします。
・「肩甲骨寄せてほしい」人にやってもらうという方法があったか!私はベンチプレスみたいな感じで動かして自力でやってます。職場でやると珍奇な動物を見る目で見られますがそれを気にしている余裕もないのでやむを得ません。
・この『ぐぅぅぅぅぅ〜 ぱっ』『ぐぅぅぅぅぅ〜 ぱっ』の手慣れた感。いいですねぇ。こういう何気ないやりとり‥‥いや、ここ私が肩こり持ちだから普通に流してるけど職場でこれやるのは普通かな?いやまぁとにかくすごく好きです。
・かぱかぱするのかわいい。
・「ホック‥‥ はずれちゃった‥‥」「トイレ行って直してくるね‥‥!」言わなくていいんですよ言わなくて。
・「わ〜」「犯行現場見ちゃった〜」「そうたセンパイ 今日も元気にサイテーですね♡」おお、久しぶりの野上さん。これは嬉しいサプライズ。お変わりなさそうな笑顔で何よりです。
・「肩ほぐすのに乗じて彼女のブラのホック外すとかなに?」「しかも服の上から?どんな職人芸?」「もしかして女の敵ですか?」本当に相変わらずな野上さん。国定忠治よろしくニッコリ笑って人を斬る。自分を振った男に対する当たり方としてはまだ穏当?
・「状況としてはそう見えたかもしれないけど百パー誤解だから!」「特殊なプレイはご自宅でどうぞ」今回は誤解かもしれないけど、青年は職場でキスマつけようとした前科があるからなぁ。反論の余地はないかと。
・当のさわちゃん先輩ご本人にもそう思われるかどうかは日頃の行い次第ですかねぇ。ご本人今それどころじゃなさげですが。


 作者ご本人のあとがきはこちらからどうぞ。

拍手[1回]

※標題のお話はこちら(pixiv版)からお読みいただけます。

 個々のものにコメント等していたのを感想書いたと勘違いしてうっかり抜けておりました。申し訳ありません。

 サンタの話
・なぜサンタコスをすると人はおじいちゃん要素の方に寄せてしまうのか。嬉しいのはそっちのじゃないでしょ、と思ってみてもいざ自分がそういうお話を書くとなったら女性キャラに毎回「ワシじゃよ」とか言わせていたので本当に謎。
・「かわいいしうれしいけど風邪ひいたらやだよ 俺」それ。本当それ。そういうことをするときはちゃんとお部屋をガンガンに温めておきましょうね。脱ぎたくなるくらいに。
・プレゼント、せめて肩たたき拳とか耳かき券とかもっと安全なもので。
・「こんな危ないもの俺に握らせちゃいけません!!」青年は自分が根っこのところでどうしようもないダメなやつだという自覚があるんですよね、ええ。本当にそこは立派。
・喜んでもらえると思ったのにってしょぼってしているさわちゃん先輩がかわいそうかわいいなのできちんと責任取って慰めてあげてほしいものです。まぁ、言われるまでもないでしょうけども。


 ほっぺの話
・ほっぺふくふくするのは幸せの証だぞ青年。喜べ。
・『責任ある立場として』職 権 濫 用。
・なんて素敵なキス待ち顔。幸せを限界まで詰め込みました、みたいな顔。
・条件反射するくらい回数を重ねたんですね分かります。
・まだかな~がかわいすぎて手足が痺れる。


 差し入れの話
・久々にお酒がらみで嬉しい。記憶失くすからって飲まなくなっているようですが、酔っ払い暴君さわちゃん先輩は無敵で素敵なのでまたお願いします。
・一升瓶抱えてもなおこんなに可愛らしい女性がいるという奇跡。
・青年が介抱しながら自分と出会う前のさわちゃん先輩に思いを致すのがとても良いです。忘れるためにお酒を飲んでいたころはどうしていたのか。それは当の本人も忘れてしまったこと。確かめようもなく、しかし想像には難くないこと。優しくしたくなる日っていうのは、こういう時ですね。


 湯舟の話
・あふれるお湯に「そうたくん太った?」の先制パンチ。疑われる前に疑え、やられる前にやれ。彼氏彼女であっても太った瘦せたはシビアな問題なのだ。
・「そういう自分こそこの腰回りは油断してるんじゃないの」「私悪くないもん たべものがおいしすぎるせいだもん」どこまでもどこまでもウソがつけない人だなぁ。2人で食べるとより美味しいんでしょう。いやまぁ付き合う前からずっと2人で食べてましたけど。
・「なーんだ俺 さわさんまた料理うまくなったなって思ってた」「素材の味か あれ」「私のこともほめていいよ」素材の味を生かすも殺すも腕次第。美味しいものを美味しくするためにはきちんとした仕事がなされなければいけません。まぁ、こんなこと青年は言われるまでもなくわかっていて言ってるんでしょうけどもね。ツッケンドンでツンデレなのは本性だから仕方ないですね、ええ。

拍手[1回]

※標題のお話はこちら(pixiv版)、もしくはこちら(ジャンプルーキー版)からお読みいただけます。

・「ありがと」「篠崎くん」あれ?もしかしてこの呼び方初出ですか?と思ったらちゃんと7話で出てきてますね。しかし満面の笑みでこの呼び方だと脳がバグるというかなんというか。あれ?今回過去編かな?などと思ってしまいました。
・そして背後のザワつきと青年の表情ですぐに理解しました。え?何この呼び方?って俺なんかした?という書いていないモノローグまで見えるかのようです。
・「あのさ篠崎」「不仲?」「違うわ!!」でも普通はそう思うよね、うん。
・心配そうに声かけてくれてるんで依田くんいい人なのは間違いないんだが会話のキャッチボールがいつも剛球。
・「ちが‥‥」「ちがう‥‥とおもう‥‥」「なんで自信なくなっていくんだよ」とりあえず否定しておかないとメンタルがきついんだろうなぁ。わかります。
・「最近瀬川さんにしたことといえば?」「ぷ、プロポーズ‥‥?」「マジで⁉︎やっと⁉︎⁉︎」やっとって。やっと‥‥?え?いや、まぁ長年近くで見てきた依田くんからするとそうなのかも知れないけど、付き合いだしてまだ1年も経ってないしなぁ。
・指輪‥‥そういや我が家は指輪買おうとしたらいらないって断られたので今年で結婚18年目ですが婚約も結婚も一度もつけたことがなく。そのため古い友人からは『脳内嫁』扱いされたこともありますが。嫁さんが欲しがらなかった理由がまさに失くすのが怖いからでしたなぁ。
・『じゃああの呼び方はなんだ‥‥?』『入社以来あの人に篠崎くんなんて呼ばれてた時期ないんだが⁉︎』そういやそうだなと思って読み返したところ上述の7話しか見当たりませんでしたね。それどころか青年、後輩の野上さんにも初手からそうたセンパイって言われてた模様。
・「俺うまいことは言えないけど」「話は聞けるから‥‥」本当いい奴だな。
・「既婚者の先輩と見込んで訊くんだけど」「お前んとこのプロポーズってどんなんだった?」「どうした急に篠崎恋バナとか世界で一番嫌いそうなのに」「そうだよ よそのカップルの恋愛事情なんか毛ほども興味ねーよ」せやろな、としか言いようがないほどわかりみが深い。
・「ただ‥‥」「あの人とうまくやってくためなら」「藁でもなんでもすがってやるってだけの話」この心理、痛いほどわかる。私の乏しい経験からですが、相方がいる男同士の恋バナは概ね戦訓報告会及び検討会。
・回想シーン、ちょっとプロポーズからは程遠い感じのスタートですね。
・「5分で支度しな!」ラピュタのドーラ婆さんよりはよほど有情。まぁ、あっちと違って寝起きだからね。
・「今日卒論出し損ねたら留年だってわかってんの⁉︎」これやると内定取り消しになったりしますな。あと追加でもう1年分の学費と生活費がのしかかります。
・そしてこれがかつての芙美子女史、現在の依田夫人ですか。あー、うん。諸々とても腑に落ちる。
・「はぁ~~助かった~‼」「ありがとな芙美子~!」こういう時わりかし当の本人のほうが呑気ですね。ええ。
・「ちなみに貴様単位のほうは足りてるんだろうな」「それは大丈夫!」「教務掛の人が不安がっていっしょに数えてくれたから!」学内でも有名だったんだな依田くん。
・教務課じゃなくて教務掛ってことは依田くん国立大学のご出身でしたか。
・好きでもなんでもないけど知らないところで死なれたら後悔するから結婚する、ですか。家族愛とかそういうタイプの愛情ですかねぇ‥‥いや、違うな。
・「だから私のこと側に置いといて」女傑だ。器がでかいんですな。
・「籍入れとかねーと緊急時に連絡もこないしその後の決定権もないだろうがよ」「その権利を寄越せって言ってんの」一応我が家は恋愛結婚ですが、それでも嫁さんが入院して手術するとなった時に諸々の書類を記入しながら芙美子夫人と同じ理由で「ああ、結婚しておいて良かったな」と思ったもんです。なので半分だけですがその気持ち、痛いほどわかります。
・なお、我が家の場合は両者の共通認識として「お互い他に選択肢は無い」というのがあります。
・プロポーズにイエスの返事?言葉での反応がどうであろうが指輪受け取ってる時点でイエス以外にないでしょうに。青年がそのまま血迷ったこと言い出さず直後に気が付いてよかったです。
・結果、さわちゃん先輩特有の謎理論という結論に至る青年。まぁ、おそらくそうでしょう。しかし、過去の謎理論あれこれを列挙してみると面白そうですな。その辺はまたいずれ折を見て。
・飲みに誘われてホイホイとついてくるあたり警戒心のカケラもないさわちゃん先輩。
・目そらし!目そらし!かわいいなぁもう!
・「つくづくうそのつけないひとだなぁ」なのにうそつこうとするんですよねぇ。そこが実に愚かわいい。
・他人であることを嚙みしめておく。ああ、うん。なるほどなるほど。
・やらかしを一切合切覚えてなかったことを「マジで最低ですよね」とか追い打ちかける青年が相変わらずでホッとします。
・わざわざ名札隠して自分の名前訊くあたり、間違えられ続けたことを深く静かにムカついていたんですな。
・「私ひとの名前覚えるのが苦手でさあ」「そうたくんでいい?」もしここで青年がダメって言ってたら歴史が変わっていた可能性があるんですねぇ。
・「もう少ししたら私も篠崎さんになるんだと思ったら」「今のうちに呼んどきたいなって‥‥」乙女な理由ですな。
・そして話題はもうひとつの呼び方、青年の先輩呼びへ。これは私も知りたかった奴です。
・「お手本みたいな寝言だな!」お前誰も見てない時までそんなイイ切れ味のツッコミを。
・名前を知らなかったから先輩としか呼びようがなかったというのは苦笑が漏れてしまう理由ですな。
・「じゃあいい機会だから私のことしばらく瀬川さんって呼びなよ」「いやだよ」なんのために1年同棲するか忘れてそう。
・「お互い急に名字呼びになったら」「ケンカでもしたのかって変な気遣われるよ」今日既にザワついていましたし。
・「俺はやっぱ下の名前で呼んでほしい」「さわさんが俺の名前呼んでくれるの」「‥‥すっげー好きなので」なんですかこの絶妙な匙加減のツンデレは。そら撃ち抜かれますよね、ええ。
・「‥‥そうたくん」「うん」「へへ」「やっぱりこっちのがいいや」とてもしっくりきますね。ホッとします。
・依田くんは青年イジってる時が一番輝いている気がする。
・お礼をその場で製造できるのは強いな青年。
・「推しには認識されたくない」「っていうから」わかるわかります。私も本来は笠地蔵かごんぎつねのように影からひっそりと応援したい人間なんですが。うっかり火力が強すぎてちょっと色々。一昨年などは応援するチームのホーム球場に1年間名前が掲載され続けるなどしてしまいましたし。炎が我が身を焼く前に火加減を覚えたいと思います。


 作者ご本人のあとがきはこちらからどうぞ。

拍手[1回]

※標題のお話はこちら(pixiv版)、もしくはこちら(ジャンプルーキー版)からお読みいただけます。


・建築は帝王の趣味、という言葉もありますが家具配置やら間取りやらを考えるのは楽しいものです。しかし青年がベッドについてこだわりを見せると「ああ、コイツまたなんかエロいこと企んでるな」と思ってしまいます。
・「なんかさ」「こうやってふたりで選んだ家具に囲まれて」「未来の私たちが暮らしていくんだって思ったら」「ちょっとずつリアリティ」「そうたくんとの暮らしが」「今この瞬間と地続きになっていく感じするね」妄想ではない、現実の延長線上の未来。一生に一度しかない貴重なワクワク感。たっぷり味わっていただきたいものです。そしていつかその未来が日常になったときに振り返ってふと笑みが零れると素敵だなって思いますね。
・あと、ここの「ちょっとずつリアリティ」というのがなにかのタイトルに使えそうだなって思いました。
・また隠れてこそこそやってるのか青年。しれっとカッコつけマンなのは変わらないようで何よりです。どうせあとで「実はこんなところもあるんですけど」って披露して「そうたくんすごーい」って言ってもらいたかったんだろうなぁ。
・「隠れてるとこまで知ってるんならそのまま見ないふりしといてもらえません!?」ダメです。無理です。君が惚れたのはそういう人だ。観念したまえ。
・離席中にうっかり秘密のフォルダとか見られなくてよかったな青年。‥‥いや、まだわからんか。
・目をそらしながら言い訳をかます青年。そんなものはもはや通用しないさわちゃん先輩。じっ‥‥‥が飾っておきたいくらい可愛いですね。
・「私がいっぱいわがまま言ったせい?」「そうたくんはイヤイヤ付き合ってくれてるだけ‥‥?」追い詰め方が上手になってるなぁ。
・増えるブックマークの数は想像の数。さわちゃん先輩良いことおっしゃる。未来と可能性に思いを致した数。出来れば引っ越し完了した後でも消さずに取っておきたいくらいでしょうね。
・「俺の解像度高すぎません?」「私ちょっとそうたくんをわかってきたかも」まぁ、今までと違って『答え合わせ』が出来ますからね。正解が積み上がっていくと急激に精度が上がるものです。
・「引っ越し準備たのしいね♡」何重にもたのしい要素があって何よりです。こんなもの事務的にやったら苦痛以外の何者でもないですからね。
・「はいはい」「飲み切ったら次行きますよ」人前だから敗北宣言出来ない青年。こういう逃げ方も上手になっていくのか、逆にどんどん下手になっていくのか。その辺も楽しみです。
・我が家はこういう時間もなくとりあえず嫁さんが飛び込んできた感じなので実に羨ましい限りです。

 作者ご本人のあとがきはこちらからどうぞ。

拍手[1回]

最終日。

 帰国便は14時20分発なので午前中いっぱいは楽しめる。空模様は不穏だったがやれることはいくらでもある。
 昨日より少し早い時間に朝食を食べ終えてとっととチェックアウトしてしまい、ホテルの人に呼んでもらったタクシーで空港地下鉄台北駅へと向かう。
 初日に30分待たされたあのタクシープールに降り立つと、もう帰らなければならないのかという思いで全身が満ちる。しかし帰らなければならないからこそ、残りの時間を悔いなく使うべきである。
 そのためにもまずはインタウンチェックインカウンターで中華航空に荷物の預け入れをしてしまう。
 スーツケースを預けてしまう。このあと買い出しをするのでそのあと預け入れるのでもよかったが、離陸3時間前がタイムリミットなのでもしギリギリアウトということになると泣くに泣けない。
 概ね欲しいものは揃ったし、どうせそんなには買えないのでストレスを軽くする道を選択。
 ちなみに台北駅で預け入れが出来るのは今回の中華航空を初めとする台湾系航空会社ばかりなので、この便利さを覚えてしまうとどうしてもそれを念頭に航空会社を選ぶことになるのである。
 さらにちなみに。日本でも京都駅などで同じ試みをしていたことがあったと記憶しているが、2001年のテロ事件きっかけでやめて以来復活していない。まぁ、日本の場合成田はともかく関空でやろうとすると京都新大阪から荷を関空特急はるか号に積んでということになるわけだが、これが経由する阪和線の遅延率が高かったのでさもありなんと思ったものである。
 南海は遅延率が低いのでそちらだけでもなんばから利用出来るようにしたらよかったのかも知れないが、まぁ、いずれにしても台北~桃園空港間と違って有料特急の車両に積むことになるだろうから無料でサービスするというのは厳しいだろう。
 閑話休題。
 さて。身軽になったところで午前中のハイライト、希望廣場で開催される農市へと向かいたいところだったが開場は10時から。
 今回オタ向けの本屋にしか行けていないので一般向け書店である誠品書店のうち24時間営業している支店がある松山文創園区へと向かった。
 最寄りは地下鉄板南線の国父紀念館駅。台北駅から乗り換えなしの5駅な上、希望廣場のある善導寺駅とも同じ路線なので何かと都合がいい。
 まもなく完成する台北ドームの最寄り駅でもあった。
 記念撮影用に顔出しパネルが設置されたのミニグラウンド(なんとロッカールーム付き!)、壁面いっぱいに「看棒球,搭捷運!(地下鉄に乗って野球を観よう!)」のポスター。なるほどここが台北の新しい野球の都になるのだな、と感慨深くなった。
 地上に出ると、目の前にいきなりドーム球場が聳えていた。外壁にはガラス張りの部分が多く、あまり見たことのないタイプだ。ちらりと覗く丸っこい屋根だけがここを野球場だと主張しているようだった。
 予期せずにいいものが見られたと思ったら、それを埋め合わせるかのように雨が降ってきた。南国台北とは言え冬はそれなりに寒い。希望廣場と違ってこっちはそれなりに駅からの距離がある。雨に打たれてうっかり風邪でも引いてしまうと出入国が面倒なことになる。
 最悪の事態だけは避けたいので泣く泣く断念して希望廣場へ。駅出口からは横断歩道以外は屋根のある部分がほとんどなので無事濡れずに到着。
 まだ10時にはなっていなかったがどうせ早めに開けているだろうと思って行ってみると案の定もうフルオープンしていた。
 ただし、記憶よりも面積が減じており、いささか小ぢんまりしていた。減った部分はきっちり駐車場に変わっていたのでこの辺りの変化も観光客減少の影響なのかも知れない。
 ともあれ、夢にまで見た農市である。
 今回のメインターゲットは茶葉と珈琲豆。いつもはこれらに加えて蜂蜜も買うところだが、もうスーツケースを預けてしまったのでこれはどれだけ売られていても見送るしかない。
 ぐるっと一周まわって見ての印象では売り物はしいたけ、葉物野菜、柑橘系果物、米が多かった。しいたけはどうだったか定かでないがそれ以外は確実に持って帰れない。そしてスーツケースを先に預けたことを後悔するくらいには蜂蜜が売られていた。
 ともあれ。珈琲豆は1カ所、烏龍茶は4カ所ほど取り扱いがあったのでとりあえず豆を先に買い、あとはもう一度値段や種類を確認しなおしてからこれぞと思った店で茶葉を買う。
 たとえ気に入っても農市は個人レベルの業者ばかりなので出会ったものはもう2度とは買えない。いざ産地まで買いに行くとなると台北から往復に丸一日かかるような場所にあるのがほとんどであるし、送ってもらおうにも台湾国内でならば取り寄せ可能でも国際通販していることは皆無だからだ。
 むしろ、だからこそ我々夫婦はこの農市を愛してやまない。この便利な時代に一期一会という言葉をこれほど噛み締められる場所はない。
 実はもう1カ所、花博農市というものもあるのだが残念ながら時間と体力気力の関係からパスせざるを得ない。
 少なくない成果を手に空港地下鉄台北駅へと戻り、まだ少しだけ時間が取れたので関空からの運転を想定して20分だけマッサージを受ける。『摩力充電站』という実に素敵な店名のそこは視覚障害を持つ方の施術が受けられるのだが、これが実に上手で。体内の奥深く密かに潜んでいた頭痛の種がスウッと退治されていくようだった。
 心身ともに軽くなり、地下鉄に乗り込む。発車5分前の快速列車は既に座席がほぼほぼ埋まっており、嫁さん分をようやく確保して私は立っていると。地元っぽい方から話しかけられた。新北がどうこうというのだけは聞き取れたがそれ以上は無理だったので必死に記憶の淵を掻き回しながらようやく「對不起、我是日本人。我不知道(すみません、私は日本人です。わかりません)」とだけ返した。念を入れて英語でも同様のことを告げようとしたところ、途端「え?」という顔をされて「スミマセン」と片言の謝罪をされた。別に謝っていただくほどのことはなく、かえって申し訳ないという思いすらある。
 かつて、毎年台湾旅行をしていた頃はそのたびに毎回毎回地元民と間違われて道を聞かれてきたものがまさかこの2泊3日という短い滞在でも遭遇するとは思わなかった。
 あとは特筆すべき何事もなく、桃園空港に到着。
 40時間ぶりくらいに再会した改札をくぐりチェックインカウンターの行列を横目にとっとと保安検査場へ。
 土曜日にしては空いている、くらいの待ち時間でクリアするとまずは昼食。搭乗後に機内食が出るのをわかっていても、桃園空港のフードコートで台湾料理を食べたくなってしまう。これもまた、かつて何度も繰り返してきた習慣。嫁さんは香港のチェーン店らしい萬芳冰室へ、私は昨日の昼に食べ損ねた小南門へと向かう。昨日うっかり羊を選んで食べ損ねた魯肉飯定食にここでようやくありつけた。
 さぁ、これで悔いはないか。ノー!もしくは不是!
 残り時間を生かしての買い物タイムは空港最後のお楽しみ。まずは自分用土産として日本に持ち込める自販機のお茶をと思ったらこれがことごとく緑茶だったことにくずおれそうになった。
 まぁ、これはこれでということで1本買ったが出鼻を挫かれたのは間違いのないところ。結局このあと土産物店を数々まわってみたが欲しいと思うものには出会えなかった。
 ただ、休憩用ソファの横にマジンガーZの立像を見つけた。人の背丈ほどのそれは以前からここにあったのかも知れない。偶然なのか意図的なのかはわからない。しかし、今ここに被災地輪島とつながりがあるものが展示されているということに台湾らしさを感じた。
 これが結局一番の空港土産となった。



 謝謝台湾、再見台湾。

拍手[0回]

2日目。
 フルで使えるのはこの日が唯一。幸いにして昨日15,000歩近く歩いたダメージはほぼ無く。朝から出かけるのに何の支障もなかった。
 ホテルの朝食バイキングをきっちりといただいてからまずは早朝からやっている雙連朝市へ。行天宮駅まで歩き、民権西路駅で下車。少しばかり南下すると朝市が見えてくる。大変活気があり、ぶらぶら歩くだけでも楽しくなる。しかし、残念ながら冬場なので果物が少ない。豊富なのは柑橘系だがこれはわざわざ台湾で買って食べなくとも、ということで食指が動かない。
 嫁さんが傘を持ってこなかったので、朝市の雑貨屋で買って帰ろうかと思って除いたところ。想定より遥かに高くなっていた。毎年のように来ていたころは折りたたみ傘がとても安く、なのにとても頑丈で良質だったため毎年のように1本買って帰っていたのだが。見ると記憶にないような値段がついている。レート上の問題ではなく、99元くらいで売っていたはずの傘が底値でも399元くらいになっていた。
 これなら日本で買ったほうが安いなということで断念。また、かつては1つ2つあった烏龍茶を取り扱う露店もなくなっていたので戦果なく撤退。
 台北最大の問屋街である迪化街まで1.5キロくらいなので歩いて向かう。最寄りの駅からでも1キロくらいは歩かねばならないのでそれなら一々地下鉄に乗るより歩いたほうがずっと早い。
 車社会にどっぷり漬かりきった人間なので若干不安もあったが、ほぼノーダメージで歩き切った。
 まもなく旧正月、中華文化圏的に言えば春節ということで一帯は賑やかに飾り付けられていて大変華やいだ雰囲気だった。
 それは大変良いことなのだが、やはり店の数は減っているようで。ぽつぽつと存在する空き店舗がとても目についた。
 私がヒイキにしていたお店は生き残っていて目当てのドライフルーツは無事手に入りそうだったが一方でお茶を取り扱っている店がない。これまでは「本業じゃないけど一緒にどうですか?」みたいなノリでレジ横に置いてあったところも珍しくなかったのだが。
 一通り歩いてから『永楽市場』という看板が掲げられた大きな建物の中で休憩場所を探す。中は屋内市場になっており、4階まであるらしいのだが今回は買い物目的ではないので1階のみを回る。
 かつては『永楽布業商場』『永楽布市場』という看板だったくらいで布地関係が主流だったが今は食材など飲食物関係が多い印象。どこか落ち着いて休める場所はないかとうろついてみたところカウンター式の珈琲店を発見したのでそこに腰を据える。
 豊富なメニューの中から嫁さんは黒糖カフェラテを、私がバニラカフェラテを選択。これが冷えた身体にしみじみと美味い。コーヒーとミルクの向こうに仄かに、だが確実に存在するバニラの香りが心地いい。
 フラッと入った場所でこういう味に出会えるのだからやはり台北はいい街だ。
 心身ともに暖まったところで永楽市場を出て買い物に戻る。六安堂と漢林蔘薬行というお店でパイナップル、イチゴ、マンゴー、そしてお店特製ののど飴も購入した。
 主目的を果たせて一安心だが、しかし、やはりお茶は手に入らなかった。このあと大本命のお店に行くのでそこですべて買えばいいのだが、そこは老舗だけあってお値段もそれなりにしてしまう。気軽に飲めてちゃんと美味しいというレベルのものを事前にある程度揃えておきたかったのである。
 どうやら事のついでに買おうとすると無理らしいというがわかってきたので、専業店へ向かうことにした。そこでメインストリートから少し外れたところにある茶樂樓というお店へ足を運んだ。
 店内はなぜかほうじ茶の香りで満ち満ちていて一瞬ギョッとしたが別に店を間違えたわけではなかった。
 ここは店主が日本人なので試飲をさせていただきながらざっくばらんに色んなお話を聞くことが出来た。
 お茶を扱う店が減っていることについては店主の方曰く「日本人観光客が来ないからね。お土産にお茶を買うのは日本人くらいだから。西洋の人は烏龍茶飲まないし」ということらしい。
 なるほど、ゆえにこの店でも台湾人向けに仕入れたと思しき宇治小山園のお茶が棚ひとつを埋めているし、店内には烏龍茶ではなくほうじ茶の香りが漂っていたわけである。
 我々は台湾をこよなく愛するがゆえに無理に無理を重ねてシーズン外に訪れたものの、これは到底一般的な旅行形態にはなりえない。台湾ドルがもう少し安くなり、その上で航空運賃も今少し下がらないとかつての様に大量の日本人観光客が戻って来るとは思えない。それについては台湾側、もしくは日本側が努力してもどうにもならない面があるので世界情勢が好転するのを祈るばかりである。
 あまり明るくない話題が尽きたところで購入したお茶を抱えて店を出る。
 このあとは前回大量購入して帰国した台湾ドーナツの店へと向かったが、狭い店の前に羊腸状に形成された行列を見て断念。ざっと数えて30人以上いたのでこれはもうやむを得ない。次回に期待ということにする。
 じゃあ休憩を兼ねて昼食でもという話になり、地下街をぶらぶらと歩いて眺めて食べたいところが見つからなければ台北駅で探そうということになった。
 しかし。まだ若干昼食には早いため、食事が出来そうな店はあまり開いていない。
 道中、ゲーセンがあったり天井から吊り下げられたFateの広告を見かけたり落書きコーナーで雪風と出会ったり。そうそう、ここオタ街だったわと思い出し、漫画専門店『瘋』に立ち寄ってみる。版権取得して翻訳された漫画や日本からそのまま輸入された雑誌などに加えてグッズ類もずらっと取り揃えられているのは記憶そのままの光景だ。
 台湾と日本とではゾーニングが違うため思わぬものにR18指定がかかっていたりするのだが。新刊コーナーに並ぶ『帝都聖杯奇譚』の4巻にシールが貼られているのを見た嫁さんが「ということは2巻を買えば以蔵さんの横にR18表示された公式本が手に入る」などと言いだしたため夫婦そろって捜索開始。
 出版社が分かっているので捜索自体は簡単だったが、残念ながら1巻しか見つからなかったので断念。手ぶらで店を出るのも惜しかったので同人誌即売会のカタログを購入。
 さて今度こそ食事をと思ったものの。地下街の出口案内に『台灣漫画基地』という文字列を見つけて再び寄り道決定。
 目指す店は階段を上がって5分ほど歩いたところにあった。店内には日本の漫画はほぼゼロで、並んでいるのは台湾産のものばかり。なので帝都聖杯奇譚は置いていなかったが、代わりと言っては申し訳ないが『異人茶跡』という台湾茶の黎明期を描いた漫画の、私の手元になかった3~5巻が手に入ったのは僥倖と言うほかない。やはり寄り道はしてみるものだ。



 さて。店を出るといよいよ昼飯を真剣に算段しなければいけない頃合いになってきた。
 地下街へと戻る道すがらにちょうどQスクエアというショッピングモールが目に入り、そこの地下のフードコートで食べていこうという結論に至った。
 嫁さんは『小南門』という台湾料理店、私は『蜀羊』という羊肉料理の店を選択。前者は日本人にも知る人が少なからずいる老舗で私も当初はそこにする予定だったのだが。羊肉料理というのと店名に蜀の字が使われメニューに三國志の武将の名前が入っていることに惹かれての選択。
 基隆の夜市で魯肉飯によく似た羊肉飯というものを食べたことがあり、その味付けを想像していたのだが、食べてびっくりカレー味だった。そうわかって食べれば問題なく味わえるのだが、最初は本当に驚いた。
 さて。腹も満ちたところで買い出しモードに戻る。徒歩で峰圃茶荘というお店へと向かった。
 ここは台北有数の老舗。私の祖父が大戦中日本からフィリピンへの移動中、台湾の基隆港に立ち寄ったそうだが、その際いつ緊急出港するかわからないから遠出禁止だったのにも関わらず抜け出して台北市内まで茶の買い出しに行ったそうで。
 それ、もしかしたらこの峰圃茶荘さんだったかも知れないなぁ、と。ここに来るたびいつも祖父の話を思い出してしまう。
 椅子を勧められ注文票を渡されてまずは内容をチェック。
 元々高級な茶葉を扱うお店なのであるが支払った金額以上のものばかり。味も香りも申し分ない。重量制限ギリギリまで買って帰りたい。しかしいつもと違って手持ち資金との兼ね合いで悩む羽目になる。記憶より値上がりしている上、円安も考慮するとなれば気軽には手を出せない。
 チェックしていくうちにこの店の隠れた名物マイタケチップスが注文票に載っていないことに気が付く。店内を見回しても見当たらず、どうやら扱いをやめてしまったらしい。自家用以外にも友人へのお土産用として考えていただけにいささか困ったことになった。
 いつもより増えた悩みの種と格闘することしばし。試飲をさせていただきながらああだこうだと夫婦間の協議を重ねた結果最高級1箱、高級2箱、ティーバッグ2箱、パイナップルケーキ4箱を注文。紙袋1つで収まる程度の量だが、これでも予算的には精一杯。以前は持ちきれないほど購入し、ホテルの部屋まで配送してもらったことすらあったというのに。
 それでも、これと迪化街の分とを合わせてかなりの重量になったのでいったんホテルに戻って身軽になる。
 今日は既に1万歩以上歩いているのだがまだまだ二人とも元気が残っていたので、続いてはかつての定番買い物先だったスーパーマーケットへと足を向ける。ホテル近くの『全聯』はこじんまりとしていてあまり探し甲斐がなく、もっと大きな店舗を求めてGoogleマップに望みを託す。
 台湾にはかつて『頂好(wellcome)』というチェーン店があったのだがこれも今は名前も経営母体も変わってしまったらしく、名前で検索しても出てこない。なおも検索してみると『家楽福(カルフール)』という店が徒歩圏内にあった。
 美食で知られた錦州街をぶらぶら歩いて到着。
 地下への階段を降りるとまさに思い描いていた台湾のスーパーマーケットの姿がそこにはあった。「頂好と似てるなぁ」なんて話していたのだが、後で調べてみたらどうやら頂好をカルフールが買収したらしい。そりゃ似ているわけだ。
 しかし、売り場の配置は似ていても売り物まで同じというわけではなく。かつて台湾のスーパーならどこでも見かけたバラマキ土産好適品が見つからない。
 ああ、こんなところにも影響が出ている。うろうろと探し回った挙句どうにかこうにか箱菓子を見つけたがこれが個包装されていなかったため配布の際には往生した。
 あとは友人へのお土産として蜂蜜を購入し、それ以外にもホテルで飲食する用のおやつ菓子や自家用土産としてお安い烏龍茶ティーバッグを購入し、店を出る。
 と、いいだけ買い物をしたはずなのだがカルフールでも見つからなかったものがいくつかある。まず台湾製ヘチマ成分の入った洗顔フォーム。あと、せっかくホテルの部屋にバスタブがあるのだから使い切りタイプの入浴剤も欲しい。
 そんなわけでお次はドラッグストアを目指すわけだが。とりあえず入浴剤については台湾マツキヨや日薬本舗に行けば確実にあるだろうが、それらの店は当然日本からの輸入品しかない。だったら日本から持ち込めばよかったじゃないかという話になってしまう。せっかくなので入浴剤も台湾オリジナルのものが欲しい。
 という理由から『屈臣氏(ワトソンズ)』というドラッグストアへ。
 目当ての台湾オリジナルの入浴剤、確かにあったがよりにもよって吉野櫻と言う名前で「東京の吉野櫻の成分を使用しています」と書いてあってもう降参するしかなかった。
 なおヘチマの洗顔フォームは置いていなかった。4年前に来た時もドラッグストアにはなかったので『光南大批發』というディスカウントチェーンの店で見つけたのを思い出し、明日余裕があれば行ってみるかという話になった。
 以前ならばこの日のうちに自分一人ででも買いに行っていたところだが、アラフィフになった今では流石に洗顔フォーム1つのためにそこまでやる気力がなかった。
 再び大荷物を抱えてホテルに戻り、スーツケースを開けて整理を進める。2人いるというのはありがたいもので、結構な大荷物だったはずがあっさりとしまい込まれていく。
 おかげで想定より早く終わってしまい、時計を見ても夕食にはまだ少し早い頃合い。
 温泉がいいかマッサージを受けようかという提案を出し合っていくうち、ふっと思いついた。『帝都聖杯奇譚』の2巻、置いてそうな店に心あたりがあるぞ、と。
 アニメイトととらのあなである。そう。台北には両方存在しているのだ。しかもありがたいことに両店は隣同士とまでではないが、ほど近い場所にあってハシゴするのも苦にならない。
 問題はホテルから両店のある西門エリアまで地下鉄で行こうとすると乗り換えがちょいとばかり面倒である。しかし夕方の混雑する時間帯にタクシーを使うのもなぁと思い、ふと台北公車隊というアプリでルートを調べてみたところホテル最寄りの行天宮バス停から目的エリアの近くまで行くバス路線があった。
 台湾は公共交通の安い国なので初乗り15元(=75円)と今のレートでも一切の気兼ねなく乗れる。じゃあこれで行ってみるかと軽い気持ちでチャレンジしてみたところ。
 バスは台北市内の渋滞を縫うように走るためか急発進急停車を繰り返して走る。また、舗装が痛んだ部分を通過するたびプラスチックの硬い椅子を通じて振動が骨身に響く。酔うところまではいかなかったが、なるほど嫁さんが気乗りしない顔をしていたわけだ。
 地下鉄よりも早く安く、そしてタクシーと比べてもさして遜色ない時間で到着できたとは言えこれでは気軽に使えない。
 ダメージを回復させつつ歩を進めればバス停からとらのあなへは5分とかからずに到着。店はビルの2階にあるので受付のおっちゃんたちに軽くジェスチャーをしてから階段を上がる。





 自動ドアを開けて店内に入れば正面にいきなりFateの同人誌が面出しで並んでいる。これは間違いなくとらのあなである。しかも同人誌がオール日本語なので一見するとここがどこだかわからなくなりそうだった。
 何を見ても興味深い光景なので可能であれば店内の様子を撮影したいところだったが当然ダメなのでそこかしこを記憶に焼き付けながら商業誌コーナーへ。
 台湾角川エリアはすぐに見つかり1巻と4巻はあったが2巻3巻はなかった。土佐組人気だな、などと内心ボヤきつつもせっかく来たのだから日本直輸入同人誌や台湾オリジナルの同人誌を見てまわり、せっかくなので暖簾の向こうの18禁コーナーまで覗かせてもらった。一言で言うとすれば「見覚えのあるやつが大変多かったです」というところだろうか。
 見覚えのない台湾オリジナルの同人誌には一次創作も二次創作もあったがBL率が高くてちょっと手が出せなかった。異人茶跡との最初の出会いが同人版だったことを思うと深く分け入って探索してみたくもあったが、当初の目的を果たせていないのでオリジナルのステッカーだけ買って撤退。



 次回の渡台時にはこれをスーツケースに貼る予定にしている。今からその日が楽しみでならない。
 さて、続いてはアニメイトであるがここはらしんばんと店舗が一体になっていてその分混雑も激しい。



地下に広がる奥行きのある店内は書籍もグッズも充実している上に撮影コーナーらしきものまであり、若者がひしめいていた。その人波をかきわけるように進んで台湾角川エリアに『帝都聖杯奇譚』が無いことを確認するとすぐにも撤退せざるを得ないほどだった。
 結局らしんばんエリアには足を踏み入れることすら出来なかった。どうもこの日は台北市内でゲーム関係のイベントが行われていたようで、この賑わいはどうやらその影響によるものらしいがいやはや景気のいいことだ。台北地下街のひっそり具合とは雲泥の差である。
 まぁ、成果には乏しかったがいい時間つぶしにはなった。エネルギーを消費したので食欲も増進されている。というわけで本日のディナー、台北最後の夜は台北駅2階のフードコートでいただく。
 豊富な選択肢にも迷うことなく台南擔仔麺を選択。台湾旅行の際には必ず1度はここで食べている。今回もその吉例を守ることができて何よりだ。
 ただ、この店名には申し訳ないことに擔仔麺を頼んだことはない。いつもいただくのは虱目魚(サバヒー)という白身魚の蒸し物定食である。
 虱目魚は白身だがしっかりとした旨味があり、独特の風味もあって台湾に来ると必ず食べている好物だ。臭みというかクセがあるので針生姜とわさび醤油でいただくのだが、一口食べるだけで白飯が進む進む。
 あっという間に平らげてしまい、嫁さんが食べ終わるのを待ちながら幸せな余韻に浸った。

拍手[0回]

私は帰ってきた!アナベル・ガトーよりも長い4年のブランクを耐えて忍んでようやく今、台湾桃園空港に降り立つことが出来たのだ!と、飛行機が着陸した瞬間心の奥底で絶叫していた。

 思い返せばようやく渡航できるようになった昨年の夏は費用が恐ろしく高くてどうにもならなかった。その後、少しずつ少しずつ値段が落ち着いてきたものの。まだ高いまだ高いと言っているうちに短い秋も終わってしまった。
 そうするうちにどうにかこうにか予算内のものを見つけて予約をかけた。そのために有給休暇を2日も取らねばならなかったが、安い代償である。

 ただし、久々なので色々と忘れてしまっている。そのため準備からして色々と手間取ってしまった。
 ようやく前日を迎えて、さて荷造りをしようかとスーツケースを引っ張り出したら聞きなれぬ異音がした。ひっくり返して見ると車輪部分のプラスチックが劣化してボロボロになっていて脳内が一瞬真っ白になった。
 え?これで台湾行けるんか?と困惑している暇もなく。嫁さんともども検証してみた結果「無理」ということになり。急ぎ近所でスーツケースを売っている店を検索すると、かつて取り扱いのあったところはいずれも無くなっており。それなりに離れたイオンまで行かないと買えないぞ、ということが判明した。「どうせ行きはそんなに荷物ないんだし、いっそ明日関空で買うか?」と思ってみたがどうやら関空にも無さそうだとなって急ぎ車を出した。
 前日であったのが不幸中の幸い、なんとか入手することは出来たが手痛い緊急出費だった。
 思わぬアクシデントを無事に切り抜けての出発当日。寝坊することも致命的な渋滞に出くわすこともなく我が愛車は無事関西国際空港第一駐車場へと到着した。
 色々と事前情報が耳に入っていたのでとっととチェックインを済ませようと思ったが、まだカウンターが開いていない。
 仕方ないので時間つぶしがてら一旦休憩しようと思ったが国際線用の4階には喫茶店も何もなく。やむなく2階まで降りていく。
 ぐるっと回ってみてもあまり気乗りがしなかったので交代で荷物番をしつつトイレに行き、自販機でホットコーヒーでも買って飲もうかとしてハタと気づいた。
 スマホが見当たらない。さっきまで手にしていたというのに。ウェストポーチにもズボンやコートのポケットにも見当たらない。旅程表もEチケットも全てスマホの中なので見つからなければ最悪飛行機に乗れない。顔面蒼白になりながら移動経路を全て辿りなおしたりもしたがやはり落ちてはおらず。もしやと思ってスポーツバッグの中身を全て取り出してみたところ、奥底からようやく発見できた。勿論そんなところに入れた記憶など微塵もないのだが、あった以上些細なことはどうでもいい。
 しかし、我が事ながら先が思いやられる。まぁ、おかげで1円も使わずいい時間つぶしになったのも確かなのだが。
 時計を見れば受付時間を過ぎていたので今回搭乗する中華航空のカウンターへと向かう。手続き開始したばかりだというのに既に長蛇の列が出来上がっている。やれやれと思いつつその最後尾につこうとすると係員から「オンラインチェックインはお済みですか?」と訊かれた。まだですと答えるとそういう人間向け窓口の列へと誘導される。
 これがひとつだけなので進みが悪い。おかげで待っている間何度も不安に駆られて荷物の再確認を繰り返す羽目になった。
 逆に保安検査場は事前に聞いていた噂の様な行列もなくあっさりと抜けられた。
 出国審査は大昔に指紋登録してあるのでこれも待機ゼロ人の自動ゲートをするっと抜ける。
 ホッとしたのも束の間、その先の動線が変わっていて大いに戸惑うこととなる。かつてとは違い免税店の前を抜けないと辿り着けなくなっており、頑張って人混みをくぐり抜けて搭乗口を目指す。ゲームならクソ設計もいいところだが現実問題空港の収益向上という視点からすると間違っているとも言い難い。
 ここまでのアクシデントですっかり体力気力を削られてしまったが、搭乗口近辺に空いた椅子を見つけて確保すればもう大丈夫。さて、あとは搭乗までの時間をどうつぶすかだが、当然格安チケットなのでラウンジなどは使えない。とりあえず飲み物を買おうと思ったところコンビニが見当たらないし自販機も見つけられなかった。とりあえず日本食レストランのようなところで持ち帰り用として販売していたペットボトル飲料だけは仕入れられた。
 これは食前薬を飲むために買ったはずなのだが、喉の渇きに耐えかねてうっかり飲み切ってしまった。もう1本買おうにも300円という空港価格なので気が乗らない。何しろ諸々の費用で財布がすっかり薄っぺらくなっており減らせる支出は少しでも減らしていきたい。という事情から食前薬を機内で食後に飲む羽目になった。本当にグダグダである。
 搭乗開始時間となり、機内へと吸い込まれていくと記憶よりも設備がグッと新しくなっていた上に座席間隔も広くて非常に快適だった。今回乗る機体をずっとエアバスA330だと思っていたのが実際はボーイング777 300ERで、新しい機体の分サービス向上しているんだろうなどと話しているうちに機体の扉が閉じられて離陸準備が始まる。
 うっかりと先日知ってしまった不吉な替え歌が脳裏をよぎったりしながらも無事離陸して一路台湾桃園空港へのフライトが始まった。
 飛行姿勢が安定するとまず機内食タイムである。メニューはまさかのカレーライス。中華航空のイメージからは完全に想定外だったが、ちゃんと美味かったので何の文句もない。流石医食同源を掲げる会社である。
 食後はいつもならパソコンを取り出して文章打つなどするのだが、今日は久々であるしアクシデントで心身ともに疲弊しているしで流石に休養を優先して寝に入った。
 それまでの疲労もあってか着陸態勢に入るとのアナウンスが入るまでガッツリと寝ていた。特筆すべきこともなく無事着陸し、無事台湾の土を踏むことが出来た。内心密かに打ち震えていたのは前述のとおりである。 
 荷物のピックアップが終わったので通例どおり地下1階のフードコートで休憩。
 今までであれば併設されているセブンイレブンにてペットボトル飲料や細々したおやつ類、そして我が家のフェイバリットペーパーであるアップルデイリー紙を購入するところなのだが、セブンイレブンが移転してしまってそれが出来ない。なおアップルデイリー紙は残念ながら2021年に廃刊となってしまっているのでたとえセブンイレブンが移転していなくても購入はできなかったのだが。
 台湾のICカード悠遊カードは2年間使用が無かったらリセットされる仕様だったはずだが確認してみるときっちり残っていた。ありがたくそのまま使用させてもらうことにして、空港地下鉄で台北駅へと出発した。
 地下鉄と言いながら地下なのは空港と台北駅周辺のみなので40分の車中、本来であれば車窓を眺められるところ、生憎と雨天のためあまり見るべき車窓もなく。ただただ時間が過ぎるのを待つだけという鉄道好きの看板を取り上げられかねない過ごし方をしてしまった。
 良くも悪くも何事もないまま定刻どおり、台北駅に到着。
 ホームを上がって改札を抜けた先にはタクシー乗り場があるので行ってみると、一台も停まっていない。その分人の列が出来上がっている。まぁ、数組程度なので待つかという結論になり。しかし待てども待てどもタクシーが来ない。やっと来たと思ったらおなじみの黄色い車体ではなく一見して一般車両としか思えないものばかり。しかし、係員のおばちゃんがテキパキとさばいてお客を乗せていく。
 ウーバータクシー的なシステムっぽいぞと思って待つうち、我々の番が回ってきた。見慣れた黄色い方だった。
 雨でどこもかしこも渋滞している台北市内の道を猛然とかっ飛ばしてくれて、無事メトロホテルに到着。
 「お待ちしてました」となかなか流ちょうな日本語で話しかけられた上、我々の名前までしっかり呼ばれたのでどうやら本日の予約組ラストらしい。空港での休憩やらタクシー待ちやらでだいぶ時間を食ってしまったのでさもありなんと言ったところか。
 カードキーを渡されて入った部屋は値段から想像していたのよりも余程上等な部屋だった。一番ありがたかったのは行程表にはバスタブなしと書かれていたのにしっかりあったことだ。
 休憩して動けるようになったのでまずは腹ごしらえ。
 何しろ私は4年ぶり、妻は5年ぶりである。当然のこと、あれこれと行きたい店は思いつくが、時間も胃袋も有限。短いシンキングタイムの後に2人で出した結論は幸いにして同じだった。
 いざ、思い出多き饒河街夜市へと足を向ける。
 最寄りであるMRT中和新蘆線の行天宮駅へはホテルから歩いて5分程度。そこから一駅先の松江南京駅で松山新店線に乗り換え、終点の松山駅で下車。
 ここは台湾なので松山と書いても「まつやま」ではなく「ソンシャン」なのだが、字が同じという縁で愛媛県のほうの松山から坊ちゃんカラクリ時計のレプリカが寄贈されたりしている。こういうノリの良さが日本と台湾の友好関係を強固なものにしていると私などは思うのである。
 小雨のパラつく中ではあったが、帽子をかぶればしのげる程度だったので気にせず進む。
 夜市の象徴とも言うべき巨大な松山慈祐宮は健在だし名物胡椒餅屋も大行列だったが、夜市全体で見ると店数が減少していて台北においてもコロナの爪痕がいかに深いものであったかを思い知らされた。
 楽しみにしていた四神湯という漢方スープを出す店も、私が大好きなサバヒーという魚を多彩な調理方法で食べさせてくれる海鮮料理店も無くなっていてすっかり肩透かしと言うほかはない。
 これならばいっそこのまま宿に戻って台湾オリジナルのコンビニ弁当で夕飯にしようかとすら思ったが。
 夜市を抜けた先に鵝肉の看板を見つけた。鵝肉、すなわちアヒル料理の店である。これまで専門店で食べたことがなく、ちょうどいいということでこの店に決まった。
 狭い店内だが幸いにも空席はあった。なかったのは材料のほうで、せっかくなのでガッツリ食べてやろうと思ったのにメインとなる肉の部分は売り切れ。
 やむなく内臓のスープと脚を白飯と一緒に注文。しかし、やむなく頼んだこの脚がどうにも美味かった。おそらく塩だけの味付けだと思われるが、加減が絶妙で食べても食べても飽きが来ない。惜しむらくは可食部分が少ないことくらいで、歯を傷めないように慎重になりながらも次々と骨にしていく。
 スープもたっぷりの針生姜がいい仕事をしていて内臓独特の臭みが一切なく、箸もレンゲも勢いが止まらない。あっさりした味つけなのだが、これに味変用の調味料をつけるとご飯がどんどん進む。
 嫁さんは飯を頼まずビーフン入りスープにしていたが、これも大変良かったようで、夫婦揃って美味いと発するだけの機械になったかのように夢中で食べた。
「明日も来たいくらいだな」という言葉が冗談に聞こえないくらいには美味かった。
 ホテルへの帰途、コンビニで買い物をし、懐かしい飲料や食品との再会を果たす。ペットボトルの烏龍茶各種は本場なので当然としても、豆乳や飲むヨーグルトも台湾の物のほうが私好みであり、渡航できない間もどうにかして入手できないものかと苦心惨憺していたがここでようやく口にすることが出来た。
 思い出は時の流れによって美化されがちなものだが、ホテルで味わった豆乳は記憶にたがわぬ飾りっ気のない美味さだった。

拍手[0回]



忍者ブログ [PR]
カレンダー
02 2024/03 04
S M T W T F S
1
3 4 5 6 7 8 9
10 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
アーカイブ
最新CM
[03/15 ふさ千明@管理人]
[03/15 未依の親]
[01/24 絶望的な武力介入をしてもいいですか?]
[01/23 ふさ千明@管理人]
[01/23 絶望的な武力介入をしてもいいですか?]
ブログ内検索
プロフィール
旧世代オタクなので言う事も発想も古いです。
HN:
ふさ千明
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1975/04/02
職業:
今さらですが非公開に変更
趣味:
読書、創作活動(文章のみ)、野球観戦、旅行、食べ歩き
自己紹介:
四十路オタです。そんな年齢なので言う事やる事古くさくてすいません。
艦これ提督ですがリポートをここにあげたりとかいう事はしておりません。攻略記事を書けるほど上手でもないので。
一次創作及び二次創作に関してはpixivで発表しております。興味をお持ちいただいた方は上部のリンクからお願いいたします。
拙ブログはリンクフリーですが、ご一報いただけるとありがたいです。
アクセス解析
バーコード