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漫画、アニメその他諸々の感想がメインのブログです。現在は「ここだけの話」シリーズについての感想を中心に運営しております。毎日15時の更新は終了し、現在は再び不定期更新に戻っております。
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最終日。

 帰国便は14時20分発なので午前中いっぱいは楽しめる。空模様は不穏だったがやれることはいくらでもある。
 昨日より少し早い時間に朝食を食べ終えてとっととチェックアウトしてしまい、ホテルの人に呼んでもらったタクシーで空港地下鉄台北駅へと向かう。
 初日に30分待たされたあのタクシープールに降り立つと、もう帰らなければならないのかという思いで全身が満ちる。しかし帰らなければならないからこそ、残りの時間を悔いなく使うべきである。
 そのためにもまずはインタウンチェックインカウンターで中華航空に荷物の預け入れをしてしまう。
 スーツケースを預けてしまう。このあと買い出しをするのでそのあと預け入れるのでもよかったが、離陸3時間前がタイムリミットなのでもしギリギリアウトということになると泣くに泣けない。
 概ね欲しいものは揃ったし、どうせそんなには買えないのでストレスを軽くする道を選択。
 ちなみに台北駅で預け入れが出来るのは今回の中華航空を初めとする台湾系航空会社ばかりなので、この便利さを覚えてしまうとどうしてもそれを念頭に航空会社を選ぶことになるのである。
 さらにちなみに。日本でも京都駅などで同じ試みをしていたことがあったと記憶しているが、2001年のテロ事件きっかけでやめて以来復活していない。まぁ、日本の場合成田はともかく関空でやろうとすると京都新大阪から荷を関空特急はるか号に積んでということになるわけだが、これが経由する阪和線の遅延率が高かったのでさもありなんと思ったものである。
 南海は遅延率が低いのでそちらだけでもなんばから利用出来るようにしたらよかったのかも知れないが、まぁ、いずれにしても台北~桃園空港間と違って有料特急の車両に積むことになるだろうから無料でサービスするというのは厳しいだろう。
 閑話休題。
 さて。身軽になったところで午前中のハイライト、希望廣場で開催される農市へと向かいたいところだったが開場は10時から。
 今回オタ向けの本屋にしか行けていないので一般向け書店である誠品書店のうち24時間営業している支店がある松山文創園区へと向かった。
 最寄りは地下鉄板南線の国父紀念館駅。台北駅から乗り換えなしの5駅な上、希望廣場のある善導寺駅とも同じ路線なので何かと都合がいい。
 まもなく完成する台北ドームの最寄り駅でもあった。
 記念撮影用に顔出しパネルが設置されたのミニグラウンド(なんとロッカールーム付き!)、壁面いっぱいに「看棒球,搭捷運!(地下鉄に乗って野球を観よう!)」のポスター。なるほどここが台北の新しい野球の都になるのだな、と感慨深くなった。
 地上に出ると、目の前にいきなりドーム球場が聳えていた。外壁にはガラス張りの部分が多く、あまり見たことのないタイプだ。ちらりと覗く丸っこい屋根だけがここを野球場だと主張しているようだった。
 予期せずにいいものが見られたと思ったら、それを埋め合わせるかのように雨が降ってきた。南国台北とは言え冬はそれなりに寒い。希望廣場と違ってこっちはそれなりに駅からの距離がある。雨に打たれてうっかり風邪でも引いてしまうと出入国が面倒なことになる。
 最悪の事態だけは避けたいので泣く泣く断念して希望廣場へ。駅出口からは横断歩道以外は屋根のある部分がほとんどなので無事濡れずに到着。
 まだ10時にはなっていなかったがどうせ早めに開けているだろうと思って行ってみると案の定もうフルオープンしていた。
 ただし、記憶よりも面積が減じており、いささか小ぢんまりしていた。減った部分はきっちり駐車場に変わっていたのでこの辺りの変化も観光客減少の影響なのかも知れない。
 ともあれ、夢にまで見た農市である。
 今回のメインターゲットは茶葉と珈琲豆。いつもはこれらに加えて蜂蜜も買うところだが、もうスーツケースを預けてしまったのでこれはどれだけ売られていても見送るしかない。
 ぐるっと一周まわって見ての印象では売り物はしいたけ、葉物野菜、柑橘系果物、米が多かった。しいたけはどうだったか定かでないがそれ以外は確実に持って帰れない。そしてスーツケースを先に預けたことを後悔するくらいには蜂蜜が売られていた。
 ともあれ。珈琲豆は1カ所、烏龍茶は4カ所ほど取り扱いがあったのでとりあえず豆を先に買い、あとはもう一度値段や種類を確認しなおしてからこれぞと思った店で茶葉を買う。
 たとえ気に入っても農市は個人レベルの業者ばかりなので出会ったものはもう2度とは買えない。いざ産地まで買いに行くとなると台北から往復に丸一日かかるような場所にあるのがほとんどであるし、送ってもらおうにも台湾国内でならば取り寄せ可能でも国際通販していることは皆無だからだ。
 むしろ、だからこそ我々夫婦はこの農市を愛してやまない。この便利な時代に一期一会という言葉をこれほど噛み締められる場所はない。
 実はもう1カ所、花博農市というものもあるのだが残念ながら時間と体力気力の関係からパスせざるを得ない。
 少なくない成果を手に空港地下鉄台北駅へと戻り、まだ少しだけ時間が取れたので関空からの運転を想定して20分だけマッサージを受ける。『摩力充電站』という実に素敵な店名のそこは視覚障害を持つ方の施術が受けられるのだが、これが実に上手で。体内の奥深く密かに潜んでいた頭痛の種がスウッと退治されていくようだった。
 心身ともに軽くなり、地下鉄に乗り込む。発車5分前の快速列車は既に座席がほぼほぼ埋まっており、嫁さん分をようやく確保して私は立っていると。地元っぽい方から話しかけられた。新北がどうこうというのだけは聞き取れたがそれ以上は無理だったので必死に記憶の淵を掻き回しながらようやく「對不起、我是日本人。我不知道(すみません、私は日本人です。わかりません)」とだけ返した。念を入れて英語でも同様のことを告げようとしたところ、途端「え?」という顔をされて「スミマセン」と片言の謝罪をされた。別に謝っていただくほどのことはなく、かえって申し訳ないという思いすらある。
 かつて、毎年台湾旅行をしていた頃はそのたびに毎回毎回地元民と間違われて道を聞かれてきたものがまさかこの2泊3日という短い滞在でも遭遇するとは思わなかった。
 あとは特筆すべき何事もなく、桃園空港に到着。
 40時間ぶりくらいに再会した改札をくぐりチェックインカウンターの行列を横目にとっとと保安検査場へ。
 土曜日にしては空いている、くらいの待ち時間でクリアするとまずは昼食。搭乗後に機内食が出るのをわかっていても、桃園空港のフードコートで台湾料理を食べたくなってしまう。これもまた、かつて何度も繰り返してきた習慣。嫁さんは香港のチェーン店らしい萬芳冰室へ、私は昨日の昼に食べ損ねた小南門へと向かう。昨日うっかり羊を選んで食べ損ねた魯肉飯定食にここでようやくありつけた。
 さぁ、これで悔いはないか。ノー!もしくは不是!
 残り時間を生かしての買い物タイムは空港最後のお楽しみ。まずは自分用土産として日本に持ち込める自販機のお茶をと思ったらこれがことごとく緑茶だったことにくずおれそうになった。
 まぁ、これはこれでということで1本買ったが出鼻を挫かれたのは間違いのないところ。結局このあと土産物店を数々まわってみたが欲しいと思うものには出会えなかった。
 ただ、休憩用ソファの横にマジンガーZの立像を見つけた。人の背丈ほどのそれは以前からここにあったのかも知れない。偶然なのか意図的なのかはわからない。しかし、今ここに被災地輪島とつながりがあるものが展示されているということに台湾らしさを感じた。
 これが結局一番の空港土産となった。



 謝謝台湾、再見台湾。

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2日目。
 フルで使えるのはこの日が唯一。幸いにして昨日15,000歩近く歩いたダメージはほぼ無く。朝から出かけるのに何の支障もなかった。
 ホテルの朝食バイキングをきっちりといただいてからまずは早朝からやっている雙連朝市へ。行天宮駅まで歩き、民権西路駅で下車。少しばかり南下すると朝市が見えてくる。大変活気があり、ぶらぶら歩くだけでも楽しくなる。しかし、残念ながら冬場なので果物が少ない。豊富なのは柑橘系だがこれはわざわざ台湾で買って食べなくとも、ということで食指が動かない。
 嫁さんが傘を持ってこなかったので、朝市の雑貨屋で買って帰ろうかと思って除いたところ。想定より遥かに高くなっていた。毎年のように来ていたころは折りたたみ傘がとても安く、なのにとても頑丈で良質だったため毎年のように1本買って帰っていたのだが。見ると記憶にないような値段がついている。レート上の問題ではなく、99元くらいで売っていたはずの傘が底値でも399元くらいになっていた。
 これなら日本で買ったほうが安いなということで断念。また、かつては1つ2つあった烏龍茶を取り扱う露店もなくなっていたので戦果なく撤退。
 台北最大の問屋街である迪化街まで1.5キロくらいなので歩いて向かう。最寄りの駅からでも1キロくらいは歩かねばならないのでそれなら一々地下鉄に乗るより歩いたほうがずっと早い。
 車社会にどっぷり漬かりきった人間なので若干不安もあったが、ほぼノーダメージで歩き切った。
 まもなく旧正月、中華文化圏的に言えば春節ということで一帯は賑やかに飾り付けられていて大変華やいだ雰囲気だった。
 それは大変良いことなのだが、やはり店の数は減っているようで。ぽつぽつと存在する空き店舗がとても目についた。
 私がヒイキにしていたお店は生き残っていて目当てのドライフルーツは無事手に入りそうだったが一方でお茶を取り扱っている店がない。これまでは「本業じゃないけど一緒にどうですか?」みたいなノリでレジ横に置いてあったところも珍しくなかったのだが。
 一通り歩いてから『永楽市場』という看板が掲げられた大きな建物の中で休憩場所を探す。中は屋内市場になっており、4階まであるらしいのだが今回は買い物目的ではないので1階のみを回る。
 かつては『永楽布業商場』『永楽布市場』という看板だったくらいで布地関係が主流だったが今は食材など飲食物関係が多い印象。どこか落ち着いて休める場所はないかとうろついてみたところカウンター式の珈琲店を発見したのでそこに腰を据える。
 豊富なメニューの中から嫁さんは黒糖カフェラテを、私がバニラカフェラテを選択。これが冷えた身体にしみじみと美味い。コーヒーとミルクの向こうに仄かに、だが確実に存在するバニラの香りが心地いい。
 フラッと入った場所でこういう味に出会えるのだからやはり台北はいい街だ。
 心身ともに暖まったところで永楽市場を出て買い物に戻る。六安堂と漢林蔘薬行というお店でパイナップル、イチゴ、マンゴー、そしてお店特製ののど飴も購入した。
 主目的を果たせて一安心だが、しかし、やはりお茶は手に入らなかった。このあと大本命のお店に行くのでそこですべて買えばいいのだが、そこは老舗だけあってお値段もそれなりにしてしまう。気軽に飲めてちゃんと美味しいというレベルのものを事前にある程度揃えておきたかったのである。
 どうやら事のついでに買おうとすると無理らしいというがわかってきたので、専業店へ向かうことにした。そこでメインストリートから少し外れたところにある茶樂樓というお店へ足を運んだ。
 店内はなぜかほうじ茶の香りで満ち満ちていて一瞬ギョッとしたが別に店を間違えたわけではなかった。
 ここは店主が日本人なので試飲をさせていただきながらざっくばらんに色んなお話を聞くことが出来た。
 お茶を扱う店が減っていることについては店主の方曰く「日本人観光客が来ないからね。お土産にお茶を買うのは日本人くらいだから。西洋の人は烏龍茶飲まないし」ということらしい。
 なるほど、ゆえにこの店でも台湾人向けに仕入れたと思しき宇治小山園のお茶が棚ひとつを埋めているし、店内には烏龍茶ではなくほうじ茶の香りが漂っていたわけである。
 我々は台湾をこよなく愛するがゆえに無理に無理を重ねてシーズン外に訪れたものの、これは到底一般的な旅行形態にはなりえない。台湾ドルがもう少し安くなり、その上で航空運賃も今少し下がらないとかつての様に大量の日本人観光客が戻って来るとは思えない。それについては台湾側、もしくは日本側が努力してもどうにもならない面があるので世界情勢が好転するのを祈るばかりである。
 あまり明るくない話題が尽きたところで購入したお茶を抱えて店を出る。
 このあとは前回大量購入して帰国した台湾ドーナツの店へと向かったが、狭い店の前に羊腸状に形成された行列を見て断念。ざっと数えて30人以上いたのでこれはもうやむを得ない。次回に期待ということにする。
 じゃあ休憩を兼ねて昼食でもという話になり、地下街をぶらぶらと歩いて眺めて食べたいところが見つからなければ台北駅で探そうということになった。
 しかし。まだ若干昼食には早いため、食事が出来そうな店はあまり開いていない。
 道中、ゲーセンがあったり天井から吊り下げられたFateの広告を見かけたり落書きコーナーで雪風と出会ったり。そうそう、ここオタ街だったわと思い出し、漫画専門店『瘋』に立ち寄ってみる。版権取得して翻訳された漫画や日本からそのまま輸入された雑誌などに加えてグッズ類もずらっと取り揃えられているのは記憶そのままの光景だ。
 台湾と日本とではゾーニングが違うため思わぬものにR18指定がかかっていたりするのだが。新刊コーナーに並ぶ『帝都聖杯奇譚』の4巻にシールが貼られているのを見た嫁さんが「ということは2巻を買えば以蔵さんの横にR18表示された公式本が手に入る」などと言いだしたため夫婦そろって捜索開始。
 出版社が分かっているので捜索自体は簡単だったが、残念ながら1巻しか見つからなかったので断念。手ぶらで店を出るのも惜しかったので同人誌即売会のカタログを購入。
 さて今度こそ食事をと思ったものの。地下街の出口案内に『台灣漫画基地』という文字列を見つけて再び寄り道決定。
 目指す店は階段を上がって5分ほど歩いたところにあった。店内には日本の漫画はほぼゼロで、並んでいるのは台湾産のものばかり。なので帝都聖杯奇譚は置いていなかったが、代わりと言っては申し訳ないが『異人茶跡』という台湾茶の黎明期を描いた漫画の、私の手元になかった3~5巻が手に入ったのは僥倖と言うほかない。やはり寄り道はしてみるものだ。



 さて。店を出るといよいよ昼飯を真剣に算段しなければいけない頃合いになってきた。
 地下街へと戻る道すがらにちょうどQスクエアというショッピングモールが目に入り、そこの地下のフードコートで食べていこうという結論に至った。
 嫁さんは『小南門』という台湾料理店、私は『蜀羊』という羊肉料理の店を選択。前者は日本人にも知る人が少なからずいる老舗で私も当初はそこにする予定だったのだが。羊肉料理というのと店名に蜀の字が使われメニューに三國志の武将の名前が入っていることに惹かれての選択。
 基隆の夜市で魯肉飯によく似た羊肉飯というものを食べたことがあり、その味付けを想像していたのだが、食べてびっくりカレー味だった。そうわかって食べれば問題なく味わえるのだが、最初は本当に驚いた。
 さて。腹も満ちたところで買い出しモードに戻る。徒歩で峰圃茶荘というお店へと向かった。
 ここは台北有数の老舗。私の祖父が大戦中日本からフィリピンへの移動中、台湾の基隆港に立ち寄ったそうだが、その際いつ緊急出港するかわからないから遠出禁止だったのにも関わらず抜け出して台北市内まで茶の買い出しに行ったそうで。
 それ、もしかしたらこの峰圃茶荘さんだったかも知れないなぁ、と。ここに来るたびいつも祖父の話を思い出してしまう。
 椅子を勧められ注文票を渡されてまずは内容をチェック。
 元々高級な茶葉を扱うお店なのであるが支払った金額以上のものばかり。味も香りも申し分ない。重量制限ギリギリまで買って帰りたい。しかしいつもと違って手持ち資金との兼ね合いで悩む羽目になる。記憶より値上がりしている上、円安も考慮するとなれば気軽には手を出せない。
 チェックしていくうちにこの店の隠れた名物マイタケチップスが注文票に載っていないことに気が付く。店内を見回しても見当たらず、どうやら扱いをやめてしまったらしい。自家用以外にも友人へのお土産用として考えていただけにいささか困ったことになった。
 いつもより増えた悩みの種と格闘することしばし。試飲をさせていただきながらああだこうだと夫婦間の協議を重ねた結果最高級1箱、高級2箱、ティーバッグ2箱、パイナップルケーキ4箱を注文。紙袋1つで収まる程度の量だが、これでも予算的には精一杯。以前は持ちきれないほど購入し、ホテルの部屋まで配送してもらったことすらあったというのに。
 それでも、これと迪化街の分とを合わせてかなりの重量になったのでいったんホテルに戻って身軽になる。
 今日は既に1万歩以上歩いているのだがまだまだ二人とも元気が残っていたので、続いてはかつての定番買い物先だったスーパーマーケットへと足を向ける。ホテル近くの『全聯』はこじんまりとしていてあまり探し甲斐がなく、もっと大きな店舗を求めてGoogleマップに望みを託す。
 台湾にはかつて『頂好(wellcome)』というチェーン店があったのだがこれも今は名前も経営母体も変わってしまったらしく、名前で検索しても出てこない。なおも検索してみると『家楽福(カルフール)』という店が徒歩圏内にあった。
 美食で知られた錦州街をぶらぶら歩いて到着。
 地下への階段を降りるとまさに思い描いていた台湾のスーパーマーケットの姿がそこにはあった。「頂好と似てるなぁ」なんて話していたのだが、後で調べてみたらどうやら頂好をカルフールが買収したらしい。そりゃ似ているわけだ。
 しかし、売り場の配置は似ていても売り物まで同じというわけではなく。かつて台湾のスーパーならどこでも見かけたバラマキ土産好適品が見つからない。
 ああ、こんなところにも影響が出ている。うろうろと探し回った挙句どうにかこうにか箱菓子を見つけたがこれが個包装されていなかったため配布の際には往生した。
 あとは友人へのお土産として蜂蜜を購入し、それ以外にもホテルで飲食する用のおやつ菓子や自家用土産としてお安い烏龍茶ティーバッグを購入し、店を出る。
 と、いいだけ買い物をしたはずなのだがカルフールでも見つからなかったものがいくつかある。まず台湾製ヘチマ成分の入った洗顔フォーム。あと、せっかくホテルの部屋にバスタブがあるのだから使い切りタイプの入浴剤も欲しい。
 そんなわけでお次はドラッグストアを目指すわけだが。とりあえず入浴剤については台湾マツキヨや日薬本舗に行けば確実にあるだろうが、それらの店は当然日本からの輸入品しかない。だったら日本から持ち込めばよかったじゃないかという話になってしまう。せっかくなので入浴剤も台湾オリジナルのものが欲しい。
 という理由から『屈臣氏(ワトソンズ)』というドラッグストアへ。
 目当ての台湾オリジナルの入浴剤、確かにあったがよりにもよって吉野櫻と言う名前で「東京の吉野櫻の成分を使用しています」と書いてあってもう降参するしかなかった。
 なおヘチマの洗顔フォームは置いていなかった。4年前に来た時もドラッグストアにはなかったので『光南大批發』というディスカウントチェーンの店で見つけたのを思い出し、明日余裕があれば行ってみるかという話になった。
 以前ならばこの日のうちに自分一人ででも買いに行っていたところだが、アラフィフになった今では流石に洗顔フォーム1つのためにそこまでやる気力がなかった。
 再び大荷物を抱えてホテルに戻り、スーツケースを開けて整理を進める。2人いるというのはありがたいもので、結構な大荷物だったはずがあっさりとしまい込まれていく。
 おかげで想定より早く終わってしまい、時計を見ても夕食にはまだ少し早い頃合い。
 温泉がいいかマッサージを受けようかという提案を出し合っていくうち、ふっと思いついた。『帝都聖杯奇譚』の2巻、置いてそうな店に心あたりがあるぞ、と。
 アニメイトととらのあなである。そう。台北には両方存在しているのだ。しかもありがたいことに両店は隣同士とまでではないが、ほど近い場所にあってハシゴするのも苦にならない。
 問題はホテルから両店のある西門エリアまで地下鉄で行こうとすると乗り換えがちょいとばかり面倒である。しかし夕方の混雑する時間帯にタクシーを使うのもなぁと思い、ふと台北公車隊というアプリでルートを調べてみたところホテル最寄りの行天宮バス停から目的エリアの近くまで行くバス路線があった。
 台湾は公共交通の安い国なので初乗り15元(=75円)と今のレートでも一切の気兼ねなく乗れる。じゃあこれで行ってみるかと軽い気持ちでチャレンジしてみたところ。
 バスは台北市内の渋滞を縫うように走るためか急発進急停車を繰り返して走る。また、舗装が痛んだ部分を通過するたびプラスチックの硬い椅子を通じて振動が骨身に響く。酔うところまではいかなかったが、なるほど嫁さんが気乗りしない顔をしていたわけだ。
 地下鉄よりも早く安く、そしてタクシーと比べてもさして遜色ない時間で到着できたとは言えこれでは気軽に使えない。
 ダメージを回復させつつ歩を進めればバス停からとらのあなへは5分とかからずに到着。店はビルの2階にあるので受付のおっちゃんたちに軽くジェスチャーをしてから階段を上がる。





 自動ドアを開けて店内に入れば正面にいきなりFateの同人誌が面出しで並んでいる。これは間違いなくとらのあなである。しかも同人誌がオール日本語なので一見するとここがどこだかわからなくなりそうだった。
 何を見ても興味深い光景なので可能であれば店内の様子を撮影したいところだったが当然ダメなのでそこかしこを記憶に焼き付けながら商業誌コーナーへ。
 台湾角川エリアはすぐに見つかり1巻と4巻はあったが2巻3巻はなかった。土佐組人気だな、などと内心ボヤきつつもせっかく来たのだから日本直輸入同人誌や台湾オリジナルの同人誌を見てまわり、せっかくなので暖簾の向こうの18禁コーナーまで覗かせてもらった。一言で言うとすれば「見覚えのあるやつが大変多かったです」というところだろうか。
 見覚えのない台湾オリジナルの同人誌には一次創作も二次創作もあったがBL率が高くてちょっと手が出せなかった。異人茶跡との最初の出会いが同人版だったことを思うと深く分け入って探索してみたくもあったが、当初の目的を果たせていないのでオリジナルのステッカーだけ買って撤退。



 次回の渡台時にはこれをスーツケースに貼る予定にしている。今からその日が楽しみでならない。
 さて、続いてはアニメイトであるがここはらしんばんと店舗が一体になっていてその分混雑も激しい。



地下に広がる奥行きのある店内は書籍もグッズも充実している上に撮影コーナーらしきものまであり、若者がひしめいていた。その人波をかきわけるように進んで台湾角川エリアに『帝都聖杯奇譚』が無いことを確認するとすぐにも撤退せざるを得ないほどだった。
 結局らしんばんエリアには足を踏み入れることすら出来なかった。どうもこの日は台北市内でゲーム関係のイベントが行われていたようで、この賑わいはどうやらその影響によるものらしいがいやはや景気のいいことだ。台北地下街のひっそり具合とは雲泥の差である。
 まぁ、成果には乏しかったがいい時間つぶしにはなった。エネルギーを消費したので食欲も増進されている。というわけで本日のディナー、台北最後の夜は台北駅2階のフードコートでいただく。
 豊富な選択肢にも迷うことなく台南擔仔麺を選択。台湾旅行の際には必ず1度はここで食べている。今回もその吉例を守ることができて何よりだ。
 ただ、この店名には申し訳ないことに擔仔麺を頼んだことはない。いつもいただくのは虱目魚(サバヒー)という白身魚の蒸し物定食である。
 虱目魚は白身だがしっかりとした旨味があり、独特の風味もあって台湾に来ると必ず食べている好物だ。臭みというかクセがあるので針生姜とわさび醤油でいただくのだが、一口食べるだけで白飯が進む進む。
 あっという間に平らげてしまい、嫁さんが食べ終わるのを待ちながら幸せな余韻に浸った。

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私は帰ってきた!アナベル・ガトーよりも長い4年のブランクを耐えて忍んでようやく今、台湾桃園空港に降り立つことが出来たのだ!と、飛行機が着陸した瞬間心の奥底で絶叫していた。

 思い返せばようやく渡航できるようになった昨年の夏は費用が恐ろしく高くてどうにもならなかった。その後、少しずつ少しずつ値段が落ち着いてきたものの。まだ高いまだ高いと言っているうちに短い秋も終わってしまった。
 そうするうちにどうにかこうにか予算内のものを見つけて予約をかけた。そのために有給休暇を2日も取らねばならなかったが、安い代償である。

 ただし、久々なので色々と忘れてしまっている。そのため準備からして色々と手間取ってしまった。
 ようやく前日を迎えて、さて荷造りをしようかとスーツケースを引っ張り出したら聞きなれぬ異音がした。ひっくり返して見ると車輪部分のプラスチックが劣化してボロボロになっていて脳内が一瞬真っ白になった。
 え?これで台湾行けるんか?と困惑している暇もなく。嫁さんともども検証してみた結果「無理」ということになり。急ぎ近所でスーツケースを売っている店を検索すると、かつて取り扱いのあったところはいずれも無くなっており。それなりに離れたイオンまで行かないと買えないぞ、ということが判明した。「どうせ行きはそんなに荷物ないんだし、いっそ明日関空で買うか?」と思ってみたがどうやら関空にも無さそうだとなって急ぎ車を出した。
 前日であったのが不幸中の幸い、なんとか入手することは出来たが手痛い緊急出費だった。
 思わぬアクシデントを無事に切り抜けての出発当日。寝坊することも致命的な渋滞に出くわすこともなく我が愛車は無事関西国際空港第一駐車場へと到着した。
 色々と事前情報が耳に入っていたのでとっととチェックインを済ませようと思ったが、まだカウンターが開いていない。
 仕方ないので時間つぶしがてら一旦休憩しようと思ったが国際線用の4階には喫茶店も何もなく。やむなく2階まで降りていく。
 ぐるっと回ってみてもあまり気乗りがしなかったので交代で荷物番をしつつトイレに行き、自販機でホットコーヒーでも買って飲もうかとしてハタと気づいた。
 スマホが見当たらない。さっきまで手にしていたというのに。ウェストポーチにもズボンやコートのポケットにも見当たらない。旅程表もEチケットも全てスマホの中なので見つからなければ最悪飛行機に乗れない。顔面蒼白になりながら移動経路を全て辿りなおしたりもしたがやはり落ちてはおらず。もしやと思ってスポーツバッグの中身を全て取り出してみたところ、奥底からようやく発見できた。勿論そんなところに入れた記憶など微塵もないのだが、あった以上些細なことはどうでもいい。
 しかし、我が事ながら先が思いやられる。まぁ、おかげで1円も使わずいい時間つぶしになったのも確かなのだが。
 時計を見れば受付時間を過ぎていたので今回搭乗する中華航空のカウンターへと向かう。手続き開始したばかりだというのに既に長蛇の列が出来上がっている。やれやれと思いつつその最後尾につこうとすると係員から「オンラインチェックインはお済みですか?」と訊かれた。まだですと答えるとそういう人間向け窓口の列へと誘導される。
 これがひとつだけなので進みが悪い。おかげで待っている間何度も不安に駆られて荷物の再確認を繰り返す羽目になった。
 逆に保安検査場は事前に聞いていた噂の様な行列もなくあっさりと抜けられた。
 出国審査は大昔に指紋登録してあるのでこれも待機ゼロ人の自動ゲートをするっと抜ける。
 ホッとしたのも束の間、その先の動線が変わっていて大いに戸惑うこととなる。かつてとは違い免税店の前を抜けないと辿り着けなくなっており、頑張って人混みをくぐり抜けて搭乗口を目指す。ゲームならクソ設計もいいところだが現実問題空港の収益向上という視点からすると間違っているとも言い難い。
 ここまでのアクシデントですっかり体力気力を削られてしまったが、搭乗口近辺に空いた椅子を見つけて確保すればもう大丈夫。さて、あとは搭乗までの時間をどうつぶすかだが、当然格安チケットなのでラウンジなどは使えない。とりあえず飲み物を買おうと思ったところコンビニが見当たらないし自販機も見つけられなかった。とりあえず日本食レストランのようなところで持ち帰り用として販売していたペットボトル飲料だけは仕入れられた。
 これは食前薬を飲むために買ったはずなのだが、喉の渇きに耐えかねてうっかり飲み切ってしまった。もう1本買おうにも300円という空港価格なので気が乗らない。何しろ諸々の費用で財布がすっかり薄っぺらくなっており減らせる支出は少しでも減らしていきたい。という事情から食前薬を機内で食後に飲む羽目になった。本当にグダグダである。
 搭乗開始時間となり、機内へと吸い込まれていくと記憶よりも設備がグッと新しくなっていた上に座席間隔も広くて非常に快適だった。今回乗る機体をずっとエアバスA330だと思っていたのが実際はボーイング777 300ERで、新しい機体の分サービス向上しているんだろうなどと話しているうちに機体の扉が閉じられて離陸準備が始まる。
 うっかりと先日知ってしまった不吉な替え歌が脳裏をよぎったりしながらも無事離陸して一路台湾桃園空港へのフライトが始まった。
 飛行姿勢が安定するとまず機内食タイムである。メニューはまさかのカレーライス。中華航空のイメージからは完全に想定外だったが、ちゃんと美味かったので何の文句もない。流石医食同源を掲げる会社である。
 食後はいつもならパソコンを取り出して文章打つなどするのだが、今日は久々であるしアクシデントで心身ともに疲弊しているしで流石に休養を優先して寝に入った。
 それまでの疲労もあってか着陸態勢に入るとのアナウンスが入るまでガッツリと寝ていた。特筆すべきこともなく無事着陸し、無事台湾の土を踏むことが出来た。内心密かに打ち震えていたのは前述のとおりである。 
 荷物のピックアップが終わったので通例どおり地下1階のフードコートで休憩。
 今までであれば併設されているセブンイレブンにてペットボトル飲料や細々したおやつ類、そして我が家のフェイバリットペーパーであるアップルデイリー紙を購入するところなのだが、セブンイレブンが移転してしまってそれが出来ない。なおアップルデイリー紙は残念ながら2021年に廃刊となってしまっているのでたとえセブンイレブンが移転していなくても購入はできなかったのだが。
 台湾のICカード悠遊カードは2年間使用が無かったらリセットされる仕様だったはずだが確認してみるときっちり残っていた。ありがたくそのまま使用させてもらうことにして、空港地下鉄で台北駅へと出発した。
 地下鉄と言いながら地下なのは空港と台北駅周辺のみなので40分の車中、本来であれば車窓を眺められるところ、生憎と雨天のためあまり見るべき車窓もなく。ただただ時間が過ぎるのを待つだけという鉄道好きの看板を取り上げられかねない過ごし方をしてしまった。
 良くも悪くも何事もないまま定刻どおり、台北駅に到着。
 ホームを上がって改札を抜けた先にはタクシー乗り場があるので行ってみると、一台も停まっていない。その分人の列が出来上がっている。まぁ、数組程度なので待つかという結論になり。しかし待てども待てどもタクシーが来ない。やっと来たと思ったらおなじみの黄色い車体ではなく一見して一般車両としか思えないものばかり。しかし、係員のおばちゃんがテキパキとさばいてお客を乗せていく。
 ウーバータクシー的なシステムっぽいぞと思って待つうち、我々の番が回ってきた。見慣れた黄色い方だった。
 雨でどこもかしこも渋滞している台北市内の道を猛然とかっ飛ばしてくれて、無事メトロホテルに到着。
 「お待ちしてました」となかなか流ちょうな日本語で話しかけられた上、我々の名前までしっかり呼ばれたのでどうやら本日の予約組ラストらしい。空港での休憩やらタクシー待ちやらでだいぶ時間を食ってしまったのでさもありなんと言ったところか。
 カードキーを渡されて入った部屋は値段から想像していたのよりも余程上等な部屋だった。一番ありがたかったのは行程表にはバスタブなしと書かれていたのにしっかりあったことだ。
 休憩して動けるようになったのでまずは腹ごしらえ。
 何しろ私は4年ぶり、妻は5年ぶりである。当然のこと、あれこれと行きたい店は思いつくが、時間も胃袋も有限。短いシンキングタイムの後に2人で出した結論は幸いにして同じだった。
 いざ、思い出多き饒河街夜市へと足を向ける。
 最寄りであるMRT中和新蘆線の行天宮駅へはホテルから歩いて5分程度。そこから一駅先の松江南京駅で松山新店線に乗り換え、終点の松山駅で下車。
 ここは台湾なので松山と書いても「まつやま」ではなく「ソンシャン」なのだが、字が同じという縁で愛媛県のほうの松山から坊ちゃんカラクリ時計のレプリカが寄贈されたりしている。こういうノリの良さが日本と台湾の友好関係を強固なものにしていると私などは思うのである。
 小雨のパラつく中ではあったが、帽子をかぶればしのげる程度だったので気にせず進む。
 夜市の象徴とも言うべき巨大な松山慈祐宮は健在だし名物胡椒餅屋も大行列だったが、夜市全体で見ると店数が減少していて台北においてもコロナの爪痕がいかに深いものであったかを思い知らされた。
 楽しみにしていた四神湯という漢方スープを出す店も、私が大好きなサバヒーという魚を多彩な調理方法で食べさせてくれる海鮮料理店も無くなっていてすっかり肩透かしと言うほかはない。
 これならばいっそこのまま宿に戻って台湾オリジナルのコンビニ弁当で夕飯にしようかとすら思ったが。
 夜市を抜けた先に鵝肉の看板を見つけた。鵝肉、すなわちアヒル料理の店である。これまで専門店で食べたことがなく、ちょうどいいということでこの店に決まった。
 狭い店内だが幸いにも空席はあった。なかったのは材料のほうで、せっかくなのでガッツリ食べてやろうと思ったのにメインとなる肉の部分は売り切れ。
 やむなく内臓のスープと脚を白飯と一緒に注文。しかし、やむなく頼んだこの脚がどうにも美味かった。おそらく塩だけの味付けだと思われるが、加減が絶妙で食べても食べても飽きが来ない。惜しむらくは可食部分が少ないことくらいで、歯を傷めないように慎重になりながらも次々と骨にしていく。
 スープもたっぷりの針生姜がいい仕事をしていて内臓独特の臭みが一切なく、箸もレンゲも勢いが止まらない。あっさりした味つけなのだが、これに味変用の調味料をつけるとご飯がどんどん進む。
 嫁さんは飯を頼まずビーフン入りスープにしていたが、これも大変良かったようで、夫婦揃って美味いと発するだけの機械になったかのように夢中で食べた。
「明日も来たいくらいだな」という言葉が冗談に聞こえないくらいには美味かった。
 ホテルへの帰途、コンビニで買い物をし、懐かしい飲料や食品との再会を果たす。ペットボトルの烏龍茶各種は本場なので当然としても、豆乳や飲むヨーグルトも台湾の物のほうが私好みであり、渡航できない間もどうにかして入手できないものかと苦心惨憺していたがここでようやく口にすることが出来た。
 思い出は時の流れによって美化されがちなものだが、ホテルで味わった豆乳は記憶にたがわぬ飾りっ気のない美味さだった。

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泣いても笑っても今日が帰国日である。今日は行くことを決めている場所が1ヶ所だけあった。
 二二八和平紀念公園である。
 二二八とは何かと言えば。1947年2月28日に国民党政府の政策に反対する人々が蜂起し武力鎮圧された事件のことを指す。その後台湾は戒厳令が布かれ国民党政府による恐怖政治に長く苦しむこととなった。
 戒厳令は1987年まで続き、最終的に言論の自由が保障されるようになるまでには李登輝総統時代の1992年までかかった。
 その二二八事件の犠牲者を悼み、またその悲惨な後世に記録を残すために作られたこの公園と二二八事件で弾圧者の立場にあった蒋介石を称える中正紀念堂がともにあるところに台湾の複雑さが表れている。
 今まで訪れたことのなかったこの公園に、今回は足を向けた。
 一般的な公園としての機能ももちろんあるので、太極拳らしきなにかをやっている一団に遭遇したりもする。
 紀念鐘や平和のモニュメントに祈りを捧げ、事件の記録が残された追思廊へとたどり着いた。ここには事件の経緯が展示されているほか、亡くなった人の顔写真も掲示されている。その掲示の前にお供え物として持ってきた日本酒を置き、手を合わせる。
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 公園内には事件に関する資料館もあるのだが、時間が早いのでまだ開いていない。
 実になんとも中途半端ではあるが、大事をとって早めに出発するのでやむを得ない。今回は光華商場にも行っていないし、色々と不完全燃焼気味のところはあるが一時は旅行そのものを断念しなければならないかも知れなかったので来られただけでも良しとしたい。

 ホテルに戻ってチェックアウトし、徒歩でMRT桃園線の台北駅へ。ここでインタウンチェックインして荷物を預ける。機械のトラブルで若干時間は取られたものの買い込んだあれこれですっかり重たくなったスーツケースは無事運ばれていった。
 この便利さを覚えてしまうと、もう元のやり方には戻れない。
 あとは残った自由時間をどう使うかなのだが、迷った挙句に昨日のドーナツ屋へと向かった。どうにもこうにもあのドーナツの味が忘れられず、炎天下にもかかわらず8つも買い込んでしまう。
 その場で食べたほかは機内や帰宅後にも食べてみたが、冷めてもしっとり食感で十分に楽しませてもらった。

 結局その後は寄り道せず、早めに空港入り。一直線に保安検査場を通過したその先にあるフードコートで昼食をとる。帰国時はここにある台湾料理の青葉で名残の台湾ご飯を食べるのが私の習慣となっている。
 今年は豚足づいていて、これで3回目か4回目になる。豚足という言葉から連想される脂っこさはなく、スイスイと入っていくので見かけるたびについつい頼んでしまうのである。
 
 食べ終えて一休みしてから免税店へ。ブランド品とか宝飾品とかそういうものには皆目興味がない我々のお目当てはKAVALANウィスキーである。
 免税とはいえ流石に最高級のものは買えないのだが、今年はちょっと頑張って2番目に安いものにした。最近日本でも出回るようになったとはいえ、おいそれと買える値段ではないのでこうして入手したものを大事に大事に飲むのである。
 他には特に欲しいものもなかったのだが、通りすがった免税のおもちゃ売り場に任天堂Switchが売っているのはともかく、ファミコンミニことニンテンドークラシックミニまで置いてあったのはどうしたものか。かくいう私もつい先日1年半も待たされてようやく入手したばかりなのだが、まさかここで遭遇するとは思わなかった。
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 毎年帰国時に桃園空港で色々なものに遭遇してきたが、衝撃度で言えば今年が一番かも知れない。それこそKAVALAN入手の喜びもどこかへ行ってしまいそうだった。
 買い物が済んでしまえばあとは帰国便の出発を待つばかり。例年帰国便は遅れるのが通例になっていたのだが、今年は幸か不幸かオンタイムであった。

 関空着陸時も、飛行機を降りてからも待たされることなく、過去にないほど実にスムーズだった。
 おかげで時間に余裕ができて、どこかの温泉に寄り道をすることも十分可能だったが、まっすぐ家に帰ろうとことで意見が一致した。それこそ風呂や夜食どころかコーヒーの1杯も飲まずに家路に着いた。

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明日は帰国日であり、フルに使えるのは今日が最後。
 ではあるが、本日の予定は完全白紙。昨日を休養日にあてたことで気力体力ともに十分ではあるもののそれをどう使っていいのかわからない。ちなみに先般地震の被害があった花蓮を訪れるという計画は列車の切符が取れないことであっさりと頓挫している。
 この日はあまり天気が良くなさそうであり、屋外系のネタは避けようということになった。
 ならばということで今日は台湾のローカル線に乗ることにした。

 ローカル線と一口に言っても六家線や集集線や内湾線、深澳線に平渓線とある(沙崙線は乗車済み)。
 時刻表を見つつ「一番近いところにしとこうか」という無難な結論に至る。というわけで今回は平渓線完乗の旅に決定。余力があれば深澳線もついでに乗っておくし、余力がなくとも帰りには侯[石同]で下車して猫村に立ち寄ることも合わせて決定した。

 台北駅で平渓線深澳線の1日乗車券を購入。これが80元で、瑞芳までの乗車券を別途購入。こっちは區間車料金で49元。
 
 台北駅を9時25分に発車した列車はのんびり走って乗換駅の瑞芳には10時23分着。平渓線直通の菁桐行きは11時2分発なのでちょっと駅前をブラブラする。
 
 ほんのちょっと歩いただけなのだが、駅前に猫を何匹か見かける。猫村の侯[石同]ほどではないがここも猫に染まり始めているのだろうが。

 駅に戻るとホームにずらり並んだ人の列に出くわす。こういう時は端っこに行くのが良い。その甲斐あって無事座れた。三貂嶺から線路は分かれていよいよ平渓線に入っていく。
 入っていくというか、宜蘭線はここまで寄り添ってきた基隆河と分かれていくのに対し平渓線は並走を続けるのでここだけを見ていると平渓線のほうが本線であるかのような錯覚に陥る。
 山道を分け入っていく旅人のような足取りで列車は平渓線最初の駅である大華のホームにたどり着く。ここには「十分瀑布(滝)に行く人は線路を歩かないで!」という注意書きがあった。
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 車窓から見える道が不安をそそる細道ばかりなので気持ちはわかるが線路を歩く行為は大変危険である。
 大華駅を出て数分、右手に遊歩道が見えてくる。十分風景区と呼ばれる景勝地に入ったようだ。そのまま十分老街の町並みを突っ切って十分駅に到着する。ここで行き違いを兼ねてしばし停車。
 空が雨模様でなければせっかくのフリーきっぷを駆使して改札を抜け、何か買ってこようかとも思ったのだが。列車が平渓線に入った頃から降り出した雨は分け入るほどにその強さを増していく。停車しているホームが改札から離れていることもあって、下車することがどうにもためらわれた。
 多くの人はそんな雨など物ともせずにどんどん降りて行ったのだが。この空模様ではランタンも打ち上げられないだろうし滝に行くのも一苦労ではあろうがそれはそれで旅の思い出になるのだろう。

 というわけで、乗客の多くが下車したおかげで乗客全員が着席してなお空席ができる程度の乗車率になる。
 十分を出てしまうと、再び人跡乏しい山際を張り付くように走る。四国の予土線を思い出すような河と緑の車窓が続く。元々この路線は台湾屈指の菁桐炭鉱から石炭を運ぶ運炭線だったそうだが、確かにここには石炭貨車が似合いそうだ。
 並走する車道にも自動車の姿をあまり見ない。実に長閑な平渓線であるが、空だけがどうにもあまり長閑ではない。
 雨粒に妨げられてあまり景色を楽しめないまま終点菁桐に到着する。これでとりあえず平渓線は完乗となった。
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 折り返しの列車が出るまで15分しかないため昼食をとるというわけにもいかず。せめて駅のスタンプでも押して帰ろうとしたが見当たらない。駅の隣にある土産物屋に何やらたくさん置いてあったが、残念ながら菁桐車站と書かれたものはなく、押さずに車両に戻った。
 深澳線直通八斗子行きと変わった車両は小止みになってきた雨の中12時15分定刻どおりに発車する。
 山中をゆったりと駆け戻り、侯[石同]駅で下車。ここは今やGoogleMapにも載るようになった猫が主役の村である。
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 思う存分猫を愛でるその前に駅前食堂で昼食をとる。陽春麺なる見慣れぬ名前の料理がメニューに載っていたので頼んでみると、これがシンプルな味わいながら実に美味い。あまりに美味いので他でも食べられないものかと調べてみると割と有名な料理らしく、これまで12年何を見てきたのだろうかと少しばかりショックを受ける。
 それはさておき猫である。幸い雨も止み、かと言ってギラつく暑さでもなく。のんびり猫を求めてさまよい歩くのには最適な日和となった。
 木陰、植木鉢の隙間、歩道の脇、土産物屋の台の上、段ボールの中、草むら。そこにもここにも猫がいる。寝ているもの、座っているもの、くつろいでいるもの、散歩しているもの。あるがままのその姿を見ているだけでしあわせになれる。やはり猫は素晴らしい。

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 村の中を端々までひたすら猫を求めて丹念に歩き回り、だいぶ汗をかいたので猫のいる喫茶店で一休み。ここでも店の看板猫がテーブルの上に乗ってくださるという熱烈歓迎を受けた。テーブルに乗るだけでこちらに媚を売ったりせず気ままに過ごすところがまた良いのである。
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 濃密な猫成分を充填して台北に戻る。
 いざ夕飯というその前に。今回の旅の前に脆皮鮮[女乃]甜甜圏なる店のドーナツが良いという情報を得ていたのだがここまで買う機会を得ずに最終日になってしまっていた。このままでは結局最後まで行かずに終わるだろうと判断し、思い切って先に買いにいくことにした。
 小さい店らしく、わかりにくそうだということで結構な覚悟を固めての出発だったが台北駅の地下街から北側に向かって歩いていくと割とすぐ近くのところに店は見つかった。
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 長くはないものの列ができており、客は皆結構な量を買い込んでいく。そんなに美味いのならば我々も大量買いしてみようかと思ったが夕飯が食べられなくなってしまうのでグッとこらえて4つで我慢。せっかく揚げたてだったので通りの脇で食べてみる。サクサクではなくもちもちの食感。軽い甘さは後を引く。小さいながらも行列店なのが頷ける味だった。
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 もう一度並んでこれを夕食代わりにしてもいいのではないかと真剣に話し合ったが、明日帰国途中にもう一度買いに来るということでなんとか踏みとどまった。

 では肝心の夕食は何にするのか。
 今回の旅では台湾料理は結構食べたし、かと言って和食に飢えるというほどでもない。フレンチやイタリアンも美味い店が増えたらしいが、あまり惹かれない。
 こういう時はフードコートで目に付いたものをパッと食べてしまおうといつもの台北駅2階へ向かった。
 日本でもおなじみ鶏三和の親子丼がちょっと気になったが、何かが違う。うろうろしているうちに「これだ!」となったのが海南鶏飯。
 今年の台湾最後の夕食はまさかのシンガポール料理となった。2人前セットで300元は実にお値打ちである。
 これが安かろう悪かろうならば悲しいオチになるのだが、本場物を何度となく食べてきた家人が太鼓判を押すハイレベルな味だった。シンプルな蒸し鶏にチリとジンジャーの2種類のソースが組み合わさって舌を飽きさせない。
 鉄道、猫、美食と実に言うことのない幸せな1日はこうして締めくくられた。

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前日が思いの外盛り沢山なお買い物デーだったので本日は本格的に休養日とすることに決めていた。
 ドアノブにDon’t disturbをぶら下げ買い込んでいたパンや果物で朝食とし、まったりと過ごす。
 食べ終えると、家人は洗濯をしたいということで荷物を抱えてコインランドリーへと向かっていった。ならばということで私もお土産用のパイナップルケーキを買い出しに行くことにした。
 というわけで。何度目かの移転により台北駅の西側に置かれることになった高速バスターミナルから基隆行きに乗る。
 30分程の乗車で港町基隆に到着した。
 港前の広場で毎年恒例の1枚を撮影してから、強い日差しを帽子で誤魔化しつつ目当ての李鵠餅店へと向かう。
 いつもの身振り手振りにてパイナップルケーキと、ここでしか見たことがないストロベリーケーキを30ずつ購入。毎年買っているおかげでおなじみになったピンクの大袋に詰めてもらってバス乗り場へと引き返す。
 部屋に戻ると先に家人は戻っていて、もう昼だが食事をどうするかという話になった。

 シーザーパークのレストランで食べてもいいし、どこか外へ食べに行ってもいい。「何が食べたい?」という話になって我々の脳裏に浮かんだのは台北駅にあった姫路駅の駅弁屋『まねき』だった。
 駅弁を買ってきて部屋で食べるのもいいのだが。どうせならやはり列車内で食べたい。
 「じゃあ折角だから」ということで出かけることにした。
 どこへ行くのか。あんまり近すぎても弁当を食べるのには向かない。
 在来線なら新竹、新幹線なら台中が良いだろうということになったが、在来線は直近の特急も急行も満席。
 じゃあ台中まで行ってデザートに現地の美味しいものを食べて帰ってこようという結論に至った。
 とはいうものの。台中はまだ行ったことがなかった。厳密に言うと通過のみで降りたことがなかった。なので土地勘がほぼない。
 ガイドブックをめくって調べてみると宮原眼科という店が目に止まった。ここはもともと眼科だった建物をリノベーションしたアイス屋さん。
 ネットの情報ではどうにもやたら並ぶらしいということだが、その場合は第四信用合作社という系列店(ここも信用金庫をリノベした店)に行くことで決定。
 売り場に行くと長蛇の列が作られていたが、券売機ではスムーズに買えた。ただし、直近の列車は指定席が満席だったのでグリーン車で行くことになってしまったが。
 待ち時間が短いので取り急ぎまねきの店舗に行くと岡山名物豚肉蒲焼便當(弁当)なるものが目立つところに置かれていた。お値段は1つ160元。
 不意打ちに弱い我々は1も2もなくこれに決定。
 13時11分、列車が台北を発車すると早速フタを開けてちょっと遅めの昼食を開始した。程よい濃さのタレに肉もご飯もどんどん進む。付け合わせの卵焼き、インゲン、ジャガイモ、紅ショウガと組み合わせて食べるとさらに良い。列車が桃園に着くまでには弁当は綺麗さっぱりカラになっていた。
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 グリーン車のサービスでもらったコーヒーを飲んで食後のシメとした。
 14時15分、定刻どおり高鉄台中駅着。
 ここから台鉄新烏日駅へは徒歩移動。20分の待ち合わせで新竹行き區間車(各駅停車)に乗る。
 日曜日とはいえ結構な混み具合。14時45分、台鉄台中駅着。

 いつの間にか人口で台湾第二の都市になっていた台中(それまでは高雄)に12年目にして初の訪問。
 ちなみに現在の高架化された台中駅舎は3代目で先代の駅舎は大正6年完成の赤レンガ造り。現在は国定古跡にしていされているため取り壊されることなく3代目の横に変わらず鎮座している。
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 その2代目台中駅から歩いて5分ほど行くとこれまたレンガ造りの大きな建物が見えて来る。これが宮原眼科。
 思っていたより遥かに大きい。個人経営の病院というイメージからはかけ離れた規模である。店内はイートインと物販に分かれており、物販はまだしもイートインは事前情報どおりの大行列。店の外に延々と伸びていた。
 ということでこちらも事前の計画どおりさらに5分ほど歩いた先にある第四信用合作社に移動する。
 こちらにも行列ができていたが、宮原眼科よりは遥かに短く冷房の効いた店内に並べたのでならばいいかということになった。
 並んでいる最中に店員さんが注文を取りに来る。我々が言語不如意の日本人と知ると日本語がわかる方に交代してくれて、無事注文完了。
 非常に凝ったトッピングなので注文してからも列の進みは遅い。しかし多彩なアイスの種類を見ているだけで結構飽きがこない。

 ようやく我々の番が回ってきたのでアイスを受け取り席についた。
 それにしてもでかいアイスだ。もちろん単に大きいだけでなく味も実に良かった。グドくない爽やかな甘さは長蛇の列にも納得できるレベルだ。
 その上トッピング各種もワッフルコーンもカサ増しの賑やかしではなく単体で食べても十分美味い。
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 ただ、美味いのはいいのだが冷たいものを涼しい店内で食べているとあちこちやられそうになる。こうなることを予期して注文しておいたホットの紅茶が胃に嬉しい。

 せっかく来たのだから他にも1カ所2カ所廻ってから帰っても良かったのだが。
 この日だけなのかいつもそうなのかはわからなかったが台中市街地はどこもかしこも賑わっていて、うろつくにもちょっとためらわれるレベルの混雑ぶり。
 無計画に来たこともあって疲労が蓄積する前に帰ることにした。
 帰りは台鉄でそのまま台北まで乗って帰ろうと目論んだものの、狙った列車がことごとく満席。彰化から海線経由で、というルートまで試したもののこれすらいっぱいという。自願無座(立席乗車)という裏技にチャレンジしようかとも思ったが、2時間半の立ち詰めは流石にきつい。
 仕方ないので来た時と同じ新烏日からの高鉄ルートで戻ることにする。
 台中から乗った區間車は積み残しが出る混雑っぷりで車内はラッシュ並みの押し合いへし合いだったが、乗車時間10分なので致命的なダメージにはならずに済んだ。

 高鉄台中駅で券売機をあたってみると来た時同様指定席が満席であり、帰りもグリーン車をおさえる羽目になった。これで「贅沢にも往復グリーン車で台北から台中までアイスを食べに来ただけ」ということになった。
 ひたすら混雑混雑だった台中が別次元の出来事であるかのようにゆったりした空間でうたた寝などしつつ17時54分、台北駅着。
 時間帯的には夕食の頃合いである。なんだか食べてばかりだが一旦ホテルに戻ると出るのが面倒になるのでこのまま食べてしまえということになった。
 少しでも空腹になるように地下街をうろついてから台北駅2階のフードコートへ。
 私はここで待望の虱目魚定食に豚足を追加して注文。
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 台北市内には虱目魚を食べられる店はあちこちにあるのだが、ワサビ醤油でいただけるとなると私はここと饒河街夜市入口にある海鮮料理店くらいしか知らない。
 脂ののった白身にワサビ醤油を合わせ、白飯の上にのっけて食べるのは至福の一語だった。

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この日は休養日にしようとおもっていたのだが、寝て起きたら期待以上に体力が回復していた。
 ならば農市へ行こう。
 拙ブログを長年お読みいただいている方にはおなじみの存在であるこの農市。わかりやすく言えば産直市場である。台北市内では主に土日に開かれているのだが、台湾各地から割と出物が集まってくる。特に烏龍茶と珈琲は試飲をしてから買えることが多く、我々の楽しみのひとつである。
 
 まずは遠い方の花博農民市集へと向かった。MRT淡水信義線圓山駅で下車すると、改札を抜けてすぐのところに会場がある。というか、駅に近づくと車窓からでっかい看板が見える。
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 ここで目に付いたものを次々と購入していくとキリがないので必ず先に全ての売り場をチェックする事にしている。
 この時買いたくても買えないものとしては持って帰れない上に量の多すぎるものと冷凍のもの。例えばここで売っている台湾バナナは大抵一房にみっしり10本以上付いていて、滞在期間中に食べきれないほどの量なのだが、もしこれを日本に持ってかえろうとすれば検疫を受けなければならない。非常に手間である。
 そこで自然とターゲットは烏龍茶と珈琲になる。何軒か出店がある中で今回は台南の南山茶園というところで試飲させてもらう事にした。味が良いのは勿論のこと、澄んだ空気に育った茶葉の香りに魅了された。
 お互いにあまり得意でない(控えめな表現)英語を駆使して精一杯の意思疎通を行った結果、黄金桂花茶を1缶と3種の茶葉をブレンドしたもの150g入りを3袋購入。各々の茶葉だけならば同等のものはそれなりに出回っているのかもしれないが、オリジナルブレンドとなると今この場で買うことしかできない。本来であればもっと買いたかったくらいである。
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 この後、阿里山珈琲のドリップパックセットも購入。これも試飲させてもらって気に入ったものだ。
 
 そして。台湾南部の名産地玉井のマンゴーがワゴンいっぱいに並んで売られている。マンゴー自体は台北市内のスーパーでもお手頃価格にて入手可能なのだが、玉井からの産直である。これは欲しい。
 それこそこれが日本まで持って帰れるのであれば10でも20でも購入するのだが、あいにくと先述のとおり果物は要検疫物品なので台湾で食べてしまうしかない。
 となれば。他にもいろいろ買って食べることを考慮して1つだけ購入。この夜早速食べてみて「どうして2つにしておかなかったのか」と後悔したほどにはうまかった。
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 これで手仕舞いにしようと思っていたところ、落花生をその場で煎って売っているところに通りがかり香ばしい匂いに誘われて購入。その場で一口入れてみると素朴で軽い味わいだった。

 以上で撤収し、戦利品をホテルに置きに戻る。
 ここで疲労困憊していたら本日ここまでにするつもりだったがまだまだ活動可能なので続いてもう一つの農市、希望廣場(広場)へと向かう。
 こちらは暑くさえなければ徒歩圏内の近さなのだが、台北市内のこの日の最高気温は33度と日本ほどではないにしてもやはり要警戒。
 おかしな事を書いている自覚はあるが、私の住んでいる地域より3~5度も低いのでこう書かざるを得ないのである。
 MRT板南線で一駅隣の善道寺にて下車。記憶では1番出口が最寄りだったが、6番出口に「希望廣場農夫市集」と貼り付けた後もわかりやすく追加された表記があったのでここから上がってみる。
 結果、やはり1番出口が最寄りだった。
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 それはさておき。
 花博よりこちらのほうが会場が広い。おまけにミニフードコートみたいなものもある。条件としては良いのだが、しかし残念ながら烏龍茶はあまり扱いがない。こちらで多いのは果物と野菜。
 野菜はもうさすがにどうしようもない。まさかホテルの厨房を借りるわけにもいかないだろう。もしかしたら市中には持ち込んだものを調理してくれる店もあるかも知れないが、それを探したり頼んだりする語学力もない。「お前は大学で何をやっていたのか」という声が聞こえてきそうだが、17年も使わなければこんなものである。
 ここの場合、果物もマンゴー、グァバ、ドラゴンフルーツといった南国系のものばかりでなく桃やブドウ、梨という日本でもおなじみのものが目につく。
 その中でも特にブドウには惹かれたものの、やはり一房が大きすぎて食べきる自信がないのでその場で絞っていると思しきジュースを購入。
 暑さと疲労のせいもあっただろうが、爽やかな甘さのおかげで一気に飲みきった。
 
 結局ここで購入したのは竹山台灣珈琲(本当は台湾では王偏ではなく口偏表記)のドリップバッグのみ。ちなみに10袋入って400元。安い値段ではないが、味と希少性を考えれば高くもない。

 ちょうど昼飯時だったので併設されたミニフードコートでいただくことにする。葱餅(葱の揚げパイ)、四神湯(薬膳スープ)、肉圓(台灣風肉まん)等々。ちなみに秋刀魚の塩焼きも売っていたのだが、流石にここでそれを食べる気にはならなかった。

 荷物を部屋に置いて一息つくと、今度は疲労抜きも兼ねていつもの温泉へ行こうということになった。
 目指すは台北駅から一番近い行義路温泉。MRT淡水信義線石牌駅からバスで10分ほどの行義路三バス停で下車。
 降りてびっくり。いつも通っていた道が工事中で通れない。道路工事というレベルではなく、舗装を引っぺがして1からやり直している。なんたることだ。
 張り紙を読んでみると行義路二か行義路四のバス停から歩いていけるようなのでとりあえず四のほうに向かった。
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 これがまた結構な急坂である。山道と言っても過言ではない。その上狭い。車が行き交うたびに立ち止まって安全を確保しなければならない。
 ようやく登り切って、今度は脇の小道を下りる。すこしは楽ができるかと思ったが、日陰がないのであまり変わらない。本当にこっちであっているのかという不安に駆られながらも地図を頼りに歩いて歩いてようやく川湯温泉に到着した。

 こんな状況であるにもかかわらず風呂は混雑していた。入湯料200元というのは台湾の物価からすると決して安くないのであるが、泉質が非常に濃厚でその価値を地元でも認められているということだろう。
 歩いてにじみ出た汗をさっと流して湯につかると、打撲の傷にじんわりと沁みていくのがわかる。
 メインの浴槽は湯温が高いのでほどほどであがり、ぬる湯でクールダウン。あつ湯ぬる湯を交互に楽しむことしばし。今回飲み物を持参し忘れたので無理せず限界一歩手前くらいで撤収。
 上がってからしばらくしてもなお、拭いても拭いても汗が出る状態。川を渡ってくる風を浴びて茹だった身体を冷まさないと服も着られない。

 ようやく落ち着いたのはどれほど経ってからだったか。出入口の前にあるベンチで家人と合流して帰り道の相談をする。
 正直言って来た道を戻るのは避けたかったが、かと言って行義路二のバス停へ行くルートがそれよりマシという保証もない。
 スマホを駆使して地図を見てみるが決定打になり得る情報は出てこなかった。

 結局ダメならダメでいいからという結論になって地図にある温泉歩道とやらへ向かう。結論から言えば、これが当たりだった。細道ながらも整備された歩道は歩きやすく、眺めも良かった。

 バス停に着いて程なくやってきたバスで石牌駅まで戻り、あとはMRTに乗って台北駅経由でホテルの部屋へ。

 温泉の効果か体力気力もすっかり回復したので、この際買い出し出来るものは今日のうちに全部買っておこうということになり今度は歩いて老舗茶葉店の峰圃茶荘へ向かった。
 今回、毎年流暢な日本語で我々を迎えてくれた老人の姿はなく、別の方に説明されながら試飲する。この時「あの、いつものあの老人は?」とは怖くて聞けなかった。
 味と香りがいつも通りだったことに安心しつつ、凍頂やら阿里山やらの茶葉を大量に買い込み、さらにはここのオリジナル商品まいたけチップスも大量買い。

 続いて乾物や漢方薬の問屋街である迪化街にも向かった。明日は定休日で営業していないとの情報を得て、最後の気力を振り絞ることにしたのである。少し前までは結構不便なエリアだったのだが、今では台北地下街経由で行くと地上を歩くのが1キロ程度で済むので負担も軽くなった。
 ここにある黄永生及び六安堂という店が我々のお気に入りで、ドライマンゴーやパイン、そしてストロベリーは必ず購入するものリストに入っている。
 また。毎年乾物のおまけとしてここで喉アメをもらっていたのだが、これが滅法効くのでどこかで売っていないか探していたところ、そもそもの供給元である六安堂で袋詰めされて乾物と一緒に売っていた。なんという灯台下暗し。

 時はちょうど夕暮れ時。夕飯にしようということで次なる目的地は寧夏路夜市となった。

 その途上に足ツボマッサージのお店があり、足だけなら大丈夫だろうということで入ってみたのだが。
 しかし。足湯中にサービスで首、肩、背中をマッサージされた。首や肩はまだしも背中は押されると肋骨に響くので事前に丁重にお断りした。したのだが、うまく伝わっておらず遠慮したと思われたのか背中をグイグイ押されて痛みが走る。
 痛がる私を見て、施術者がようやく手を止めた。
 ちょっとしたアクシデントはあったもののやはり技術は本物で、終了後に靴を履くとその効果のほどが実感できる。靴ひもをギュッと締め直さないと脱げてしまいそうになる程、むくみが取れている。

 しかしこのアバラの状態では狭い通路を押し合いへし合いしつつ店を選ぶのはやはり無理であり。
 物珍しいガチョウ料理を食べただけで夜市のメインストリートからは撤収。その代わりに夜市エリア内にある鬍鬚張魯肉飯へ入店した。ここは台湾庶民の味魯肉飯をメインにしたチェーンの定食屋である。日本で言えばやよい軒かまいどおおきに食堂と言ったところだろうか。ちなみにやよい軒もまいどおおきに食堂も台湾に出店してたりする。
 
 チェーン店ではあるものの、その味は決して悪いものではない。ふたり揃って豚足定食を食べてご満悦で店を出る。

 歩いて雙連駅まで行き、MRTで台北駅に戻る。2階でKAVALANウィスキーの小瓶を買って部屋で飲む。今年は茶よりもマンゴーよりも楽しみになっていたKAVALANウィスキー。開封して香りを嗅ぐだけで心が弾んだ。
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 つまみは金門島で買い込んだビーフジャーキー。強い味付けが実にいい仕事をしてくれて、小瓶はあっという間に空になってしまった。

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朝、ホテルの前に停まっていたタクシーを拾って台北松山空港へと向かう。日本人客ということで国際線ターミナルで降ろされてしまったが、国内線ターミナルとさほど離れているわけでもないので苦もなく歩く。

 今回ここにいるのは他でもない。念願叶って金門島へと行けることになったためだ。利用するのは華信(マンダリン)航空という中華航空の子会社。
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 便利なものでチケットは日本にいる間にネット予約で簡単に抑えることができた。新婚旅行の時、まだ新幹線が開通していなかったので台北から台南に行くのに飛行機を使ったのだが、台湾の国内線を予約するのにどこでどうしたらいいかわからず大変苦労したものだ。
 それを思うと隔世の感がある。

 ただ。機材が小型機なので実にどうにも生々しい。窓からチラリと下を覗くと、久々にゾッとした。うっかり先日遊園地で窓のない遊具にて上空高くまで上げられるなどという体験をしてしまったためか。あの生々しい感覚が蘇ってきてどうにも座りが悪かった。
 それでも蒼海に浮かぶ澎湖島などを見ていると次第に心が落ち着いていく。着陸する頃には心のざわつきもすっかりおさまってくれた。

 金門島初上陸。台湾は現在でも正式には中華民国といい、その実効支配する領土は台湾省と福建省とに分けられる。ここ金門島は福建省に属するし福建省政府も置かれている(ただし現在省としての機能は凍結中)。自動車のナンバープレートにも福建省と書かれている。
 中華人民共和国の廈門市や泉州市とは2~3キロしか離れておらず、国共内戦台湾ラウンドにおいては最前線となった島でもある。
 今回はその攻防戦の跡地を中心に巡る旅となる。
 バスの本数や行きたい場所の問題を検討して出た結論としてはタクシーをチャーターするしかないのだがその交渉をタクシーとまともにできるだけの語学力がない。
 観光案内所に行って相談してみたものの、直接交渉してくれとのこと。

 仕方なく当たって砕けろとばかり作成したメモを見せながらたどたどしくお願いしてみたところ「3小時(3時間)1200元」との答えが返ってきた。
 勿論異論のあろうはずもなく。まずは八二三戦史館へと向かってもらったのだが、タクシーの運転手さんは我々がそういうものに興味関心を持つと知った為か、その前に途上にある成功坑道を案内してくれた。以前巡ったことのある足尾銅山や生野銀山よりも余程狭苦しい洞窟陣地の中を慎重に歩く。
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 実際に使用されたものと思しき大砲や機関銃、戦車なども兵士の銅像付きで展示されている。単なる過去の遺物としてではなく、ここに配備された一兵士の気分で銃眼から外を眺めると、長閑なはずの砂浜も敵の上陸地点として映り、グッと身の引き締まる思いがした。 
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 外に出ると眼下に広がるのは長閑な砂浜と穏やかな海。勿論そこには身を切るような緊張感など欠片もない。
 戦時中の空気がそのままパッケージ保存されたかのような光景に触れると、今現在車窓から見えている観光地化した姿の方に違和感を覚えてしまう。
 湖畔にたたずむ平和そのもののリゾートホテルの横を抜けて行くと八二三戦史館に到着する。
 しかし。あのホテルこそは戦いがすでに過去のものとなったことを何よりも雄弁に示しているだろう。おそらく、敵として戦っていた中華人民共和国の人々も宿泊するはずだ。それが平和というものなのだろう。
 閑話休題。
 さて。そもそもこの「八二三」とは何かとというところからお話しさせていただきたい。正確には八二三砲戦といい、1958年8月23日、中国人民解放軍がここ金門島及び隣の小金門島に対して行った砲撃を端緒とする一連の戦いのことを指す。
 全島で総計47万発の砲弾が撃ち込まれたものの台湾軍の粘り強い反撃により金門島は守り抜かれた。
 八二三砲戦に付随する戦いとして九二海戦(もしくは料羅湾海戦)という海上戦闘があるのだが、この時旧大日本帝國海軍所属の駆逐艦雪風改め中華民国海軍所属駆逐艦丹陽が活躍している。
 日本の元号で言えば昭和33年。東京タワーが竣工した年であり、もっと言えばプロ野球では長嶋茂雄が、鉄道界ではブルートレインあさかぜ号がデビューするなど太平洋戦争の傷跡もようやく癒えて新時代が幕を開けようとしていた頃。この島では全てが紅蓮と化しながらも戦っていたのである。
 その事実いうものをどう受け止めるべきなのか。
 その答えの一端なりとも見つかるだろうかと思い、また先述の丹陽の足跡に少しでも触れられればという気持ちから今回訪れてみたのだが。
 まず。九二海戦について触れている展示こそあったものの残念ながら丹陽に関する展示は一切なかった。この辺りは陸と海のセクショナリズムが関係しているのかいないのか。
 その分、という表現が正しいのかはわからないが、他の展示は充実していた。定番の年表や現場写真から始まって、宣伝のために大陸に投下されたビラや物品というちょっとニヤリとできるものから、島のどの地区に何発の砲弾が撃ち込まれたかを示した地図というゾッとするものまで幅広く揃っている。
 全てを見ての感想としては、たとえ泳いで渡れそうな距離しか離れていなかったとしても、陸続きでないことがこの島の命運を分けたと感じた。海というのは実に偉大だ。
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 続いてテキ山坑道という洞窟陣地へと行ってもらう。ここは八二三砲戦のあとに掘られた隠し水路で、小型の舟艇がそのまま海へと出撃できるような構造になっているとのこと。能天気で大変申し訳ないが画像を一目見たときからその秘密基地感に惹かれてしまい、どうにも行ってみたくてたまらなかったのである。
 途中、免税店や高粱酒の工場などの前を通るたび立ち寄るかどうかを確認されるが、今回は時間的にも体力的にも余裕が非常に限られた旅なのでパスせざるを得ない。次の機会があれば度数58という匂いを嗅ぐだけで酔っ払ってしまいそうな高粱酒にも触れてみたいとは思う。

 車は30分ほど走っただろうか。島を一気に横断して目指す坑道に到着した。
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 駐車場からちょっと歩くだけでも汗が噴き出すので、売店で水分補給をしてから中へと入る。今度はタクシーの運転手さんも一緒についてきた。
 固い岩盤の下り坂をゆっくり進んでいくとそこには確かに『秘密基地』があった。わずかな照明に照らされた水路の脇にある側道を慎重に歩く。
 「すごい」「すごいな」しか言葉が出ない。なにをどう言っても上手く表現できないような気がする。
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 幸か不幸かこの坑道が実戦で使われたことはないようだが、これが作られる必要性はこれまでに十分すぎるほど見てきたので大げさだか無用の長物だとかは微塵も思わない。

 地上に戻ってくると、タイムスリップでもしたかのような錯覚に陥る。芝生の広場には高射砲や上陸用舟艇等が展示されているが、露天展示の割には保存状態は悪くなくこの島を守った一員として大事にされていることが伝わってきた。
 さて。2カ所まわってみて台北へ帰る飛行機の時間までまだまだ時間はあるものの昼ごはんがまだということもあって、とりあえずフェリー乗り場である水頭碼頭で降ろしてもらう。
 ここからは隣の小金門島へと向かうフェリーと、「小三通」政策によって就航した中国大陸の廈門行きフェリーが発着している。我々はこのあと小金門島に渡るのでまず小さい方の乗り場へ向かい、時刻表を確認してから併設された食堂で遅めの昼食をとることにした。

 ここ金門島は石垣島と同じく離島ながら牛肉の産地。お土産売り場にもビーフジャーキーがずらりと並ぶほど。
 というわけで私は牛肉定食に台湾ソーセージ追加、家人はさっぱりとしたものを求めて牡蠣ラーメンを注文。
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 金門牛はいわゆる和牛的な箸で切れる脂身な美味さではなく赤身のしっかりした美味さだった。途中から薬味を足すなどして結構ボリューミーな分量を飽きずに完食できた。

 さて。食事と休憩が済んだところでいざ小金門島へ。ひとり60元の乗船料を払って乗り込む。
 20分ほどの短い船旅だが、見るべきものは多い。進行方向右手に見えるのが中国大陸。本当に近い。何しろ金門島と廈門市は最短で2キロ程度しか離れていない。この水道は日本の明石海峡よりもなお1キロ以上も狭い。

 日本で言えば石垣島と竹富島の関係に近いのだろうか。
 もちろんここにも金門島のような洞窟陣地や戦史館もあるのだが、フェリー乗り場から一番近い九宮坑道だけを覗いてトンボ帰りする。レンタサイクルで島一周とか出来ればよかったのだが、もはやそんな体力もない。
 坑道の一部がビジターセンターとして活用されているところなどは実にいい使われ方だと思った。
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 乗り場に戻って帰りのフェリーを待っている間、タクシーをチャーターして島を一周しないかとしつこく誘ってくる老婆がいたので暑さを我慢して外で待つことにした。にじみ出る汗を海風が荒っぽく乾かしていく。
 待つというほどのこともなく、船は入港してきた。スクーターが元気良く飛び出していき、そのあとから人波がどっと押し寄せる。
 その全てが帰りの船中でも景色を堪能するつもりだったが疲れから寝こけてしまい、気付くともう入港寸前だった。
 金門島に再上陸して時計を見ると残り時間が実に微妙。当初の予定では金門島の中心街金城鎮に立ち寄って買い物の一つでもと思っていたのだが、これだと立ち寄るだけになりかねない。ならばもう立ち寄らず空港に戻ろうということになった。
 港からはバスでも空港には戻れるのだが、面倒になってタクシーを拾う。道に広がる大陸からの観光客に行く手を阻まれながらも、それ以外は渋滞もなく快適なドライブで無事空港着。
 国内線でも飛行機に乗るのだからと早めに戻ってきたわけだが、チェックイン時に見事1時間のディレイを告げられる。

 ならばと土産物売り場でのんびりお買い物。貢糖というおこしのような菓子がある。これは台北でも買えるのだが、ここが本場なので1瓶買っておく。昼食で食べた肉の味が気に入ったのでビーフジャーキーも1袋購入。
 そして。ここではこの島に撃ち込まれた砲弾を材料に作られた包丁も売っていた。「毛沢東からの贈り物」とも称されるこの砲弾包丁は材料が材料だけに切れ味抜群と聞いており、私の好事家魂も騒ぐのだが日本には銃刀法というものがあり刃渡りの長いものは帰国時に没収される。
 一番小さい「フルーツナイフ」と書かれていたものでも悠々アウトな長さであり、断腸の思いで諦めることとなる。
 あとは地元紙の金門日報を観光案内所で無料配布していたのでもらって読んでみる。記事も広告も地元密着ばかりかと思えば米中(こちらの表記では美中)貿易戦争の記事が出ていたりもする。地理的に国際情勢に敏感にならざるを得ないのは国境の島ならではだろう。

 そんな感じで楽しく時間は過ぎていき、ちょっと早めくらいのタイミングで保安検査場を通過する。何しろ小さな空港なので立て込むと厄介そうだったので。

 搭乗口付近でベンチの空きを見つけ夕飯の算段などをしていると、華信航空から遅延のお詫びとしてお弁当とジュースが配布された。
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 良くも悪くもこれで夕飯については決まってしまった。
 他の乗客たちはその場で早速封を切り食べ始めていたが、我々はどうにも落ち着かないのでホテルに戻ってから食べることにした。

 遅延以外はトラブルもなく、無事飛行機は台北松山空港に戻ってきた。タクシー乗り場も空いていたので空腹を抱えて暑い中列に並ぶということもせずに済んだ。
 ホテルの部屋で開封した弁当はまだほのかに温かかった。

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結婚してから12年。新婚旅行で訪れて以来毎年毎年台湾旅行をしている。
 今年は12年で初めての事態が起きた。
 何かと言えば旅行1週間前に職場で転倒して右肋骨を打撲するけがをしてしまい、それが完治しない状態で出国しなければならなくなったのである。
 こうなると痛み止めを飲む関係からお酒も嗜めないし足つぼ以外のマッサージを受けるのも難しい。
 それでも一時は旅行自体が取りやめになるかも知れないと覚悟したのだから、そうならなかっただけでも良しとしなければならないだろう。

 この日の早朝。あの豪雨が嘘のような晴れ空のもと、自宅から高速で一路関空へ。
 駐車場を出たところで修学旅行生の一行と鉢合わせてしまい思わぬ迂回を強いられたもののあとは特段のトラブルもなくチケット発券とスーツケースの預け入れを完了。
 あとはWI-FIをレンタルして検査を通過するだけ、だったのだが。
 私はこの4月にパスポートを更新したばかりなので自動化ゲート使用のための指紋登録をやり直さなければならない。狭い通路にたむろする人、人、人をかき分けるように進んで入国管理局の事務所に出向くと、3人ほど先客がいた。また、係官が研修中の新人さんということもあって思いの外待たされたが、無事に登録は完了した。
 たったこれだけのことでもちょっとした疲れを覚えたのでサンマルクでコーヒーブレイク。私は痛み止めを飲むために固形物も胃に入れておく。

 店内、ざわざわとしてどことなく落ち着かないので飲み終えたらとっとと出る。目指すは保安検査場。去年までと比べて一部のレイアウトが変更になっていたが、その分審査そのものはスピードアップしていて想定よりも随分と早く通過することができた。

 あとは登録したばかりの指紋認証で自動化ゲートを通過して無事出国完了となる。
 それはよかったのだが、この出国後の所謂KIX AIRSIDE AVENUEというゾーンは飲食店の数が少なくどこも非常に混み合っているので、ゆっくりと時間を過ごせるのがラウンジしかない。だが我々はゴールドカードなど持っていないし航空券も一番安いエコノミーシートである。これではラウンジを利用することなど出来はしない。
 そこでちょっと休憩しただけで搭乗口まで行ってしまうことにした。
 我々の利用する13番搭乗口の周辺もそれなりに混雑はしていたものの、遥かにマシ。のんびりくつろぐというところまではいかないまでも、これからの旅の計画を話すくらいのことはできた。

 さてそろそろという頃合い、「空域混雑の為」なる理由で出発が遅れるというアナウンスがあった。これはおそらく被災地救援のために臨時で航空機が飛んでいる影響もあるのだろうと思うと何も言えない。

 少しの遅れは出たものの無事搭乗し、離陸となる。
 格安チケットなので4人並び席の真ん中に家人とふたり収まる。

 飛行機といえば必ずあるのが安全器具の使い方を説明した所謂セーフティービデオの上映なのだが。
 これがインド映画でも流し始めたのかと勘違いしてしまうような謎の演出をしており、動きと演出に気を取られて内容が全く頭に入ってこなかった。







 去年はこんな内容ではなかったはずだが。
 先日乗ったスターフライヤーといい、こういうのが流行っているのだろうか。
 機内食を食べ終えると、あとは本を読むか寝ておくかなのだが、今回は機内ビデオで『探偵はBARにいる3』をやっていたのでついつい見入ってしまった。
 当然短いフライトなので最後まで見終えることはできず、なんともすっきりしない状態で台湾桃園空港に到着。
 どうせイミグレは混雑していることであるし、喫茶店でもあれば先に休憩してから並びたいところだったが、あいにくとそういうものは存在せず。粛々と列に並ぶ。
 幸いにして進みは大変早く、10分ほどの待ち時間で私の番はやってきた。
 この時初めて「パスポート変わりました?」と聞かれていささか戸惑うもそれ以外は何事もなく無事通過。
 台湾ドルへの両替に外国人向けフリーWi-FiサービスiTaiwanの登録といつもの儀式を終えると地下のフードコートで休憩するのが我が家の習わしなのだが、今年は席が全て埋まっていて空きがなかった。
 やむなくスターバックスに入る。これまで台湾に来てまでスタバはなぁ、という思いから利用したことがなかったのだが、メニューを見ると阿里山烏龍茶や東方美人茶がある。となれば話は別だ。
 烏龍茶は品切れとのことで家人とふたり、ポットに入った東方美人茶をいただきながら今後の予定を相談する。加齢と共に体力的には下降線一方なのであまり無理をすることも出来ない。
 明日は初の台湾離島チャレンジとなる金門島行きを決行するので特に今日は体力の温存を図りたいところだ。
 セブンイレブンが異様な混み具合だったので飲み物の追加購入は断念してMRTのホームへ。空港から台北駅までは直達車(急行)で37分。市中に入ると渋滞に捕まってしまうバスと比べれば本当にあっという間だ。
 空港MRTの台北駅から滞在先のシーザーパークホテルはちょっとだけ離れているのだが、スーツケースを転がすのに苦になるほどの距離ではない。

 無事チェックインも完了して、ホテルの部屋でホッと一息。この12年、幾つかの例外を除いて大体ここを利用してきたのでやはり落ち着く。
 最低限の荷解きや確認をしながら相談した結果、この日の夕食は台北駅を挟んで反対側にあるQスクエアのフードコートへ行ってみることにした。
 台北駅2階や三越地下、台北101などのフードコートは既に経験済みだったが、ここはまだだったからというのが主な理由である。

 行きがけ、三國無双8や不可思議的幻想郷などの広告を目にして台湾があいわからずであることを再確認。





 賑わう人波をかき分けるように歩いて私がチョイスしたのは炒飯に牡蠣オムレツ、茹でた青菜に魚肉ボールのスープ。典型的な、というほどではないが十分台湾らしい食事ではある。味は大変良かったのだが、非常に残念なことには私の胃袋がそろそろこういうもので腹いっぱいにすることが苦しくなってきた。
 悲しいことではあるが、残さず食べられただけ良しとせねばなるまい。

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今年は台湾旅行は7月12日から17日になりました。もはや台湾でオタクネタというのも物珍しくなくなりましたが、今年はちょっとした変化があったそうなのでその辺を確認してきたいと思います。

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1975/04/02
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今さらですが非公開に変更
趣味:
読書、創作活動(文章のみ)、野球観戦、旅行、食べ歩き
自己紹介:
四十路オタです。そんな年齢なので言う事やる事古くさくてすいません。
艦これ提督ですがリポートをここにあげたりとかいう事はしておりません。攻略記事を書けるほど上手でもないので。
一次創作及び二次創作に関してはpixivで発表しております。興味をお持ちいただいた方は上部のリンクからお願いいたします。
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