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漫画、アニメその他諸々の感想がメインのブログです。現在は「ここだけの話」シリーズについての感想を中心に運営しております。毎日15時の更新は終了し、現在は再び不定期更新に戻っております。
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私は帰ってきた!アナベル・ガトーよりも長い4年のブランクを耐えて忍んでようやく今、台湾桃園空港に降り立つことが出来たのだ!と、飛行機が着陸した瞬間心の奥底で絶叫していた。

 思い返せばようやく渡航できるようになった昨年の夏は費用が恐ろしく高くてどうにもならなかった。その後、少しずつ少しずつ値段が落ち着いてきたものの。まだ高いまだ高いと言っているうちに短い秋も終わってしまった。
 そうするうちにどうにかこうにか予算内のものを見つけて予約をかけた。そのために有給休暇を2日も取らねばならなかったが、安い代償である。

 ただし、久々なので色々と忘れてしまっている。そのため準備からして色々と手間取ってしまった。
 ようやく前日を迎えて、さて荷造りをしようかとスーツケースを引っ張り出したら聞きなれぬ異音がした。ひっくり返して見ると車輪部分のプラスチックが劣化してボロボロになっていて脳内が一瞬真っ白になった。
 え?これで台湾行けるんか?と困惑している暇もなく。嫁さんともども検証してみた結果「無理」ということになり。急ぎ近所でスーツケースを売っている店を検索すると、かつて取り扱いのあったところはいずれも無くなっており。それなりに離れたイオンまで行かないと買えないぞ、ということが判明した。「どうせ行きはそんなに荷物ないんだし、いっそ明日関空で買うか?」と思ってみたがどうやら関空にも無さそうだとなって急ぎ車を出した。
 前日であったのが不幸中の幸い、なんとか入手することは出来たが手痛い緊急出費だった。
 思わぬアクシデントを無事に切り抜けての出発当日。寝坊することも致命的な渋滞に出くわすこともなく我が愛車は無事関西国際空港第一駐車場へと到着した。
 色々と事前情報が耳に入っていたのでとっととチェックインを済ませようと思ったが、まだカウンターが開いていない。
 仕方ないので時間つぶしがてら一旦休憩しようと思ったが国際線用の4階には喫茶店も何もなく。やむなく2階まで降りていく。
 ぐるっと回ってみてもあまり気乗りがしなかったので交代で荷物番をしつつトイレに行き、自販機でホットコーヒーでも買って飲もうかとしてハタと気づいた。
 スマホが見当たらない。さっきまで手にしていたというのに。ウェストポーチにもズボンやコートのポケットにも見当たらない。旅程表もEチケットも全てスマホの中なので見つからなければ最悪飛行機に乗れない。顔面蒼白になりながら移動経路を全て辿りなおしたりもしたがやはり落ちてはおらず。もしやと思ってスポーツバッグの中身を全て取り出してみたところ、奥底からようやく発見できた。勿論そんなところに入れた記憶など微塵もないのだが、あった以上些細なことはどうでもいい。
 しかし、我が事ながら先が思いやられる。まぁ、おかげで1円も使わずいい時間つぶしになったのも確かなのだが。
 時計を見れば受付時間を過ぎていたので今回搭乗する中華航空のカウンターへと向かう。手続き開始したばかりだというのに既に長蛇の列が出来上がっている。やれやれと思いつつその最後尾につこうとすると係員から「オンラインチェックインはお済みですか?」と訊かれた。まだですと答えるとそういう人間向け窓口の列へと誘導される。
 これがひとつだけなので進みが悪い。おかげで待っている間何度も不安に駆られて荷物の再確認を繰り返す羽目になった。
 逆に保安検査場は事前に聞いていた噂の様な行列もなくあっさりと抜けられた。
 出国審査は大昔に指紋登録してあるのでこれも待機ゼロ人の自動ゲートをするっと抜ける。
 ホッとしたのも束の間、その先の動線が変わっていて大いに戸惑うこととなる。かつてとは違い免税店の前を抜けないと辿り着けなくなっており、頑張って人混みをくぐり抜けて搭乗口を目指す。ゲームならクソ設計もいいところだが現実問題空港の収益向上という視点からすると間違っているとも言い難い。
 ここまでのアクシデントですっかり体力気力を削られてしまったが、搭乗口近辺に空いた椅子を見つけて確保すればもう大丈夫。さて、あとは搭乗までの時間をどうつぶすかだが、当然格安チケットなのでラウンジなどは使えない。とりあえず飲み物を買おうと思ったところコンビニが見当たらないし自販機も見つけられなかった。とりあえず日本食レストランのようなところで持ち帰り用として販売していたペットボトル飲料だけは仕入れられた。
 これは食前薬を飲むために買ったはずなのだが、喉の渇きに耐えかねてうっかり飲み切ってしまった。もう1本買おうにも300円という空港価格なので気が乗らない。何しろ諸々の費用で財布がすっかり薄っぺらくなっており減らせる支出は少しでも減らしていきたい。という事情から食前薬を機内で食後に飲む羽目になった。本当にグダグダである。
 搭乗開始時間となり、機内へと吸い込まれていくと記憶よりも設備がグッと新しくなっていた上に座席間隔も広くて非常に快適だった。今回乗る機体をずっとエアバスA330だと思っていたのが実際はボーイング777 300ERで、新しい機体の分サービス向上しているんだろうなどと話しているうちに機体の扉が閉じられて離陸準備が始まる。
 うっかりと先日知ってしまった不吉な替え歌が脳裏をよぎったりしながらも無事離陸して一路台湾桃園空港へのフライトが始まった。
 飛行姿勢が安定するとまず機内食タイムである。メニューはまさかのカレーライス。中華航空のイメージからは完全に想定外だったが、ちゃんと美味かったので何の文句もない。流石医食同源を掲げる会社である。
 食後はいつもならパソコンを取り出して文章打つなどするのだが、今日は久々であるしアクシデントで心身ともに疲弊しているしで流石に休養を優先して寝に入った。
 それまでの疲労もあってか着陸態勢に入るとのアナウンスが入るまでガッツリと寝ていた。特筆すべきこともなく無事着陸し、無事台湾の土を踏むことが出来た。内心密かに打ち震えていたのは前述のとおりである。 
 荷物のピックアップが終わったので通例どおり地下1階のフードコートで休憩。
 今までであれば併設されているセブンイレブンにてペットボトル飲料や細々したおやつ類、そして我が家のフェイバリットペーパーであるアップルデイリー紙を購入するところなのだが、セブンイレブンが移転してしまってそれが出来ない。なおアップルデイリー紙は残念ながら2021年に廃刊となってしまっているのでたとえセブンイレブンが移転していなくても購入はできなかったのだが。
 台湾のICカード悠遊カードは2年間使用が無かったらリセットされる仕様だったはずだが確認してみるときっちり残っていた。ありがたくそのまま使用させてもらうことにして、空港地下鉄で台北駅へと出発した。
 地下鉄と言いながら地下なのは空港と台北駅周辺のみなので40分の車中、本来であれば車窓を眺められるところ、生憎と雨天のためあまり見るべき車窓もなく。ただただ時間が過ぎるのを待つだけという鉄道好きの看板を取り上げられかねない過ごし方をしてしまった。
 良くも悪くも何事もないまま定刻どおり、台北駅に到着。
 ホームを上がって改札を抜けた先にはタクシー乗り場があるので行ってみると、一台も停まっていない。その分人の列が出来上がっている。まぁ、数組程度なので待つかという結論になり。しかし待てども待てどもタクシーが来ない。やっと来たと思ったらおなじみの黄色い車体ではなく一見して一般車両としか思えないものばかり。しかし、係員のおばちゃんがテキパキとさばいてお客を乗せていく。
 ウーバータクシー的なシステムっぽいぞと思って待つうち、我々の番が回ってきた。見慣れた黄色い方だった。
 雨でどこもかしこも渋滞している台北市内の道を猛然とかっ飛ばしてくれて、無事メトロホテルに到着。
 「お待ちしてました」となかなか流ちょうな日本語で話しかけられた上、我々の名前までしっかり呼ばれたのでどうやら本日の予約組ラストらしい。空港での休憩やらタクシー待ちやらでだいぶ時間を食ってしまったのでさもありなんと言ったところか。
 カードキーを渡されて入った部屋は値段から想像していたのよりも余程上等な部屋だった。一番ありがたかったのは行程表にはバスタブなしと書かれていたのにしっかりあったことだ。
 休憩して動けるようになったのでまずは腹ごしらえ。
 何しろ私は4年ぶり、妻は5年ぶりである。当然のこと、あれこれと行きたい店は思いつくが、時間も胃袋も有限。短いシンキングタイムの後に2人で出した結論は幸いにして同じだった。
 いざ、思い出多き饒河街夜市へと足を向ける。
 最寄りであるMRT中和新蘆線の行天宮駅へはホテルから歩いて5分程度。そこから一駅先の松江南京駅で松山新店線に乗り換え、終点の松山駅で下車。
 ここは台湾なので松山と書いても「まつやま」ではなく「ソンシャン」なのだが、字が同じという縁で愛媛県のほうの松山から坊ちゃんカラクリ時計のレプリカが寄贈されたりしている。こういうノリの良さが日本と台湾の友好関係を強固なものにしていると私などは思うのである。
 小雨のパラつく中ではあったが、帽子をかぶればしのげる程度だったので気にせず進む。
 夜市の象徴とも言うべき巨大な松山慈祐宮は健在だし名物胡椒餅屋も大行列だったが、夜市全体で見ると店数が減少していて台北においてもコロナの爪痕がいかに深いものであったかを思い知らされた。
 楽しみにしていた四神湯という漢方スープを出す店も、私が大好きなサバヒーという魚を多彩な調理方法で食べさせてくれる海鮮料理店も無くなっていてすっかり肩透かしと言うほかはない。
 これならばいっそこのまま宿に戻って台湾オリジナルのコンビニ弁当で夕飯にしようかとすら思ったが。
 夜市を抜けた先に鵝肉の看板を見つけた。鵝肉、すなわちアヒル料理の店である。これまで専門店で食べたことがなく、ちょうどいいということでこの店に決まった。
 狭い店内だが幸いにも空席はあった。なかったのは材料のほうで、せっかくなのでガッツリ食べてやろうと思ったのにメインとなる肉の部分は売り切れ。
 やむなく内臓のスープと脚を白飯と一緒に注文。しかし、やむなく頼んだこの脚がどうにも美味かった。おそらく塩だけの味付けだと思われるが、加減が絶妙で食べても食べても飽きが来ない。惜しむらくは可食部分が少ないことくらいで、歯を傷めないように慎重になりながらも次々と骨にしていく。
 スープもたっぷりの針生姜がいい仕事をしていて内臓独特の臭みが一切なく、箸もレンゲも勢いが止まらない。あっさりした味つけなのだが、これに味変用の調味料をつけるとご飯がどんどん進む。
 嫁さんは飯を頼まずビーフン入りスープにしていたが、これも大変良かったようで、夫婦揃って美味いと発するだけの機械になったかのように夢中で食べた。
「明日も来たいくらいだな」という言葉が冗談に聞こえないくらいには美味かった。
 ホテルへの帰途、コンビニで買い物をし、懐かしい飲料や食品との再会を果たす。ペットボトルの烏龍茶各種は本場なので当然としても、豆乳や飲むヨーグルトも台湾の物のほうが私好みであり、渡航できない間もどうにかして入手できないものかと苦心惨憺していたがここでようやく口にすることが出来た。
 思い出は時の流れによって美化されがちなものだが、ホテルで味わった豆乳は記憶にたがわぬ飾りっ気のない美味さだった。

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読書、創作活動(文章のみ)、野球観戦、旅行、食べ歩き
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四十路オタです。そんな年齢なので言う事やる事古くさくてすいません。
艦これ提督ですがリポートをここにあげたりとかいう事はしておりません。攻略記事を書けるほど上手でもないので。
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