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漫画、アニメその他諸々の感想がメインのブログです。現在は「ここだけの話」シリーズについての感想を中心に運営しております。毎日15時の更新は終了し、現在は再び不定期更新に戻っております。
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※この文章は2016年1月31日に発行された同人誌「声を詠むひと。声優ラジオのすすめ」に掲載していただいたものです。この度さよなら絶望放送復活の報に接し、こちらを転載する許可を発行者のレコン・ギス田さんから頂戴しました。
 以下の文章から私のさよなら絶望放送に対する思いの一端を読み取っていただければ幸いです。


       絶望放送黙示録

   ◎そもそも『さよなら絶望放送』とは?

 『さよなら絶望放送』とはアニメイトTV WEBで配信されていたWEBラジオです(更新は2007年8月28日から2011年8月31日まで。全203回)。携帯サイト『声優アニメイト』でも本編とは違う携帯版が配信されていました(2007年9月4日から2011年8月31日まで更新。同じく全203回)。番組に投稿されたメール総数 は最終回までで17万1000通以上にも及びます。 パーソナリティは主人公糸色望役の神谷浩史さんと日塔奈美役の新谷良子さんが務められました。
漫画『さよなら絶望先生』を原作としたアニメの放映をきっかけに生まれた訳ですが。この絶望放送はちょっと、いや、かなりおかしいラジオでした。本来であれば2つか3つに絞った厳選エピソードを面白おかしくご紹介すべきところ、星の数どころか人体の体内細菌数にも匹敵するこの番組のツッコミどころを厳選することができませんでした。大変恐縮ですが以下、箇条書きでひたすら列挙させていただきます。その伝説的存在っぷりの一端がわずかでも伝われば幸いです。

   ◎絶望放送のツッコミどころ
・第1回でパーソナリティは二人とも「なぜ自分が選ばれたのかわからない」と述べ、その主張は最後まで翻されることはなかった。
・アニメイトTV WEBで放送しているのに「アマゾンで買え!」「アニメイトで 買わなくていい!」とパーソリティが断言する。プロデューサーは怒るどころか「それでいい」と絶賛する。
・「リスナーは3人しかいない」と言い張る。挙句危険なネタの際には「聴くな!」とまで言い切る。たまに危険なネタでなくても「我々の声優生命にかかわる のであんまり聴かないでください」とのたまう。
・「チャックが開いていることを注意するにはどうしたらいいか?」の例えにアニメの音響監督を使ったために、その方に『チャック亀山』という濡れ衣なあだ名が 誕生し、あげく定着。その方が他のラジオにご出演なさった際にもそのあだ名にま つわる投稿が行なわれるなど飛び火。なおご本人からお叱りをいただくことはなかった模様。
・番外編は手を替え品を替え『本当に絶望できるラジオ』になるためパーソナリティもスタッフもリスナーも心身共に消耗する。そのため放送後は毎回苦情メールが殺到。当時感想ブログをやっていた筆者は番外編のたびに呻き声を上げながら更新する羽目に。なお個人的なトップ(ワースト)はホットでクリーミィなという修飾語が付された 『ときめきナーミンナイト』。何度聴いても心身共に消耗必至。
・パーソナリティの誕生日には毎年絶望的なプレゼントが贈呈される。パーソナリティが出演する絶望先生以外のアニメと引っ掛けたピンクのカーディガンとか学生服とか。もしくはリクエストに対して全力で方向音痴を起こし、「確かにそうは言ってたけど、これは欲しかったものと違う!」とパーソナリティを絶望させるパターンも発生。
・その絶望的なプレゼントがきっかけで番組に“さのすけ”というマスコットが誕生。思わぬ人気が出て漫画家さんがお遊びで自作の隅っこに登場させるなどしたため『さのすけを探せ!』というコーナーが誕生。企画に乗っかった漫画家さん達がそこかしこにさのすけを出没させる事態に発展する。最終的には絶望先生アニメ本編への進出をも果たす。さらには本来無関係である出没先の作品がアニメ化された際にもアニメ出演を果たすなど快進撃はどこまでも続いた。ただし、著作権的に限りなくイエローな存在であるため、あまり前面には押し出せなかった。
・アニメの元締めキングレコードのサイトから絶望放送がリンクされず、非公式ラジオを自称する。その後もキングレコード及びそのレーベルであるスターチャイルド絡みの黙殺及び不遇ネタは番組終了まで思い出したように発見され、不定期連載的に投稿が継続。
・アニメにも原作の漫画にもラジオのネタが反映される。しかもその反映速度が無性に早い。相互の反応するタイミングの異様さに「いつ描いてんだ」「いつ収録してんだ」「どれだけギリギリで納品してんだ」とリスナーや読者や視聴者にざわつかれる。
・コーナーに原作やアニメと関係ないものが続々登場する。挙句、絶大な人気を博す。
・ラジオの公開録音なのに、毎回毎回やっていることがあまりにも視覚的なので最終的にDJCDではなくDJDVDが発売されてしまう。
・携帯版は聴ける人間が限定されるから、という理由から内容が本編からさらに危険度が増す。本編で危険なネタは途中で携帯版に飛ばされ(絶望放送では「ワープ」と称する)る。例外的に逆転現象(「逆ワープ」)も起きたことがある。
・携帯版とはいえ構成作家とディレクターにBLネタでコントをさせる。公開録音でもさせる。結果ディレクターが動揺したままイベント突入となり、ミスを連発。
・回によってはゲストが絶望先生の話を一切しない。しないのに面白い場合は特に苦情などはどこからも来なかった模様。ただし、ゲームネタオンリーで丸々1回突っ走った際はさすがに苦情がきた模様。
・コミックマーケット78の企業ブースにさよなら絶望放送が出展(構成作家の事務所名義での申請)。ミニブースにはありえないほどの絶望的長蛇の列が形成されたため列の作成そのものが一時停止される。見かねた漫画家の氷川へきる先生が最後尾の看板を持つなどの手伝いに急遽参戦。この功績により氷川先生には絶望レジー賞が授与される。なおこの時、構成作家とディレクターは会場を勘違いして有明ではなく幕張へ行ってしまう絶望的ミスをしでかし、盛大なツッコミを受ける。
・アニメが終わってもなお番組が続いていたためゲストから「まだやってたの?」とツッコまれる。
・絶望放送終了に際し、それまで頑なに番組とは間接キャッチボール形式でのみ関わってきた原作者の久米田康治先生から音声メッセージが到着。その中に「リスナーのみなさん」「ラジオがなくなっても、どこからともなく受信できる筈です」「絶望放送のリスナーなら、そういう電波をどこからともなくキャッチして必ず聞こえる筈です」「それを聞いて頑張って下さい」という内容があり、これはいくらなんでもさすがに...と思っていたところ、後日『さよなら絶望放送特別版〜糸色望のオ ールナイトニッポンR〜』がニッポン放送にて流れるとの知らせが来着。「このことだったのか!」と腑に落ち、久米田先生へのリスペクトが高まる。
・このオールナイトニッポンRは絶望放送の大トリを務めた形となり、後に発売されたこの回のDJCDでは本放送で拾いきれなかった最終回の感想メールを拾い上げるなどし、補完する役割も果たした。
・配信は何年も前に終了しているのにもかかわらず、なぜか公式サイトは2015年12月31日現在も残されており、投稿用メールフォームも使用可能となったままであった。

 と、すみません。程々にするはずが異様に長くなってしまいました。まだ1割ぐらいしか書けていない気がしますが、どれほど延々と書き綴ってもまだ書き足りないと思われますのでここまでとさせていただきます。


   ◎で、結局何が面白かったん?

 さよなら絶望放送はなぜ面白いのか。どこが面白かったのか。私個人の主観で大変恐縮なのですが、一番の理由としてはあらゆることがネタになった、という点を挙げたいと思います。これに関してはもともと原作が森羅万象あらゆることをネガティブな視点からネタにしていた漫画だったのが幸いしていたのだと思います。
 番組内各コーナーのネタを原作の登場キャラクターに絡めるというのはアニラジの定番ではありますが、これが絶望放送の場合実に強力な武器となりました。
 例えば。陰が薄いことを嘆く『存在感が臼井君』、自分がありきたりであることをネタにする『普通って言うなぁ!』、さらには自分の特殊な性癖や好みについて 堂々とカミングアウトする『○○のばXXが大好きなの』等々。
 これを読んでおられる方の中にも「これだったら自分にも持ちネタあるわ」という心当たりがおありかも知れません。アニラジに限らずこの手のラジオ番組という ものは基本的には送られてくるメールのクオリティが生命線なわけですが。「あるある」「わかる」という共感ネタも「え?それはさすがに」というドン引きネタも。日常のちょっとしたトラブルから人生を大きく左右したエピソードまで幅広く 受け入れられることはリスナーの間口を広げ、毎週毎週の更新を実に期待に満ちた ものにしました。

 それどころか。原作の「特に意味のないことを大げさに言う」ネタから生まれたコーナー『ぐわんばっ!』なんてのもありまして。ディレクターがエフェクトやディレイ等々の音響効果を無駄に巧みに駆使して、これもなかなかに人気があったようです。そして。この一発ギャグ的コーナーは視覚的演出が使える公開録音では抜群の効果を発揮しました。私が参加した時にはサンバダンサーズが会場である日比谷公会堂のそこかしこから突如現れ、存分にダンスをしてから去って行きました。
 意味が分からないと思いますが、現場にいた私も未だに説明に困る出来事のひとつです。
そして。もうひとつ欠かせない要素を挙げさせていただきますと、ゲストの存在です。
アニメの出演声優さん達が招かれて番組に登場することはアニラジとして当然のことなのですが。そこはさよなら絶望放送らしくゲストを絶望させたり、むしろゲスト側から献身的とすら思える絶望的なネタ提供をしていただいたりしておりました。
 これも全てを拾うことが困難なため、こちらも先ほどと同様ごく一部ですが箇条書き形式にてご紹介させていただきたいと思います。
・クリスマスにケーキワンホールをひとりで食べつくした話をして自ら「さみしい!」「イヤなことがあったんですよ!」と叫ぶ。これがあまりにも衝撃的だったためか、以後ゲストにお招きする際は必ずケーキが振舞われるという吉例が成立。
・さよなら絶望先生そっちのけにして『アマガミ』ネタで盛り上がるまではまぁまだ暴走とまでは言えないレベルだったが、自ら率先して髪が寂しくなっている話をする。育毛や増毛関係の話題に全力で食いつく。挙句「ドリームブレイカーですから」と自称する。
・ゲームの話だけでワンコーナーのみならず番組全般を進行させ、パーソナリティの片方と盛り上がってもう片方を取り残す。そのため取り残されたもう片方は「今日は放っておいてもらっていいですか?」と言い放ち番組中にモンハンをやる羽目に。
・痴女騒動なるものが紹介された際に抵抗するもほぼ弁解させてもらえず、最後の最後にようやくチャンスを得るも結局挽回ならず。公開録音では衆人環視の元、最終的に自ら認めるという暴挙に出て周囲から止められる。


 と。以上ざっと匿名にて列挙させていただきましたが、ひとつだけ実名ネタをご紹介します。
アニメさよなら絶望先生で大草麻菜実役及び井上喜久子役を演じていた井上喜久子さんの17歳と一万日を祝う会を番組内にて挙行したことがありました(第75回)。この回では祝福するメッセージが各方面から届いたり、17歳と一万日に至るまでの歴史を振り返るコーナーが組まれるなど、概ね井上喜久子さんのために構成されました。
 結果としてさよなら絶望先生とはほぼ無関係に番組全体が進行しましたが、最後の最後に久米田先生のメッセージが井上喜久子さんに示され、あのきっこさんをして「絶望した!」と言わしめる事態になりました。そこには『一万歳おめでとうございます』と書いてあったそうで‥‥さすがの切れ味と言うほかはありません。
 最後に。スタッフの、パーソナリティの、そしてリスナーが持つ原作やアニメへの愛情が寄ってたかって積み重なって、摩訶不思議な模様を織りなし、あたかも一反の綾錦がごとき奇跡の番組を作り上げたのだと思います。この番組に出会えて、最初から最後まで伴走することが出来て、そして終わってからもこうして振り返る機会を与えていただけて。私は本当に幸せ者です。
 『さよなら絶望放送』には21巻(枚数は27枚)にも及ぶ大量のDJCDと1本のDJDVDがありますので、今からでも十分後追いが可能となっております。新品であろうと中古であろうと、機会があるようでしたら是非お手にとって聴いていただければと思います。 あ、全部まとめて聴こうとするとぶっ続けで30時間以上かかりますので、健康を損なわない範囲でお願いします。


 末尾ではありますが、この場をお借りして絶望放送に関わる全ての関係者に感謝と敬意を捧げるとともに、アニメ本編で藤吉晴美役を演じ、絶望放送にも多大な貢献をなされた松来未祐さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。


   参考文献
声優ラジオの時間アンコール及び声優ラジオの時間ゴールデン(共に綜合図書発行)

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四十路オタです。そんな年齢なので言う事やる事古くさくてすいません。
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