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漫画、アニメその他諸々の感想がメインのブログです。現在は「ここだけの話」シリーズについての感想を中心に運営しております。毎日15時の更新は終了し、現在は再び不定期更新に戻っております。
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明けて朝。この旅で迎える台湾最初の朝。節々の痛みや頭痛などもなく、日頃に比べると快適な目覚め。
 和洋中の3種が揃ったビュッフェバイキングでたのしく朝食をとり、充実感いっぱいで部屋に戻る。
 本日の予定は多数ある企画の中から遠出のプランをチョイス。魅惑の東部エリアかでかなり迷ったものの、今回は南部に決定。台南へ出て日本統治時代にあった林百貨店をリノベーションしたショッピングモール、その名も林百貨を訪れることにした。
 台北からは台湾新幹線こと台湾高速鉄道(以下高鉄)で台南まで約90分の旅。日本ではもう見かけなくなった700系をベースにした車両。オレンジの帯をまとったその名もT700に乗る。
 我々夫婦もボチボチいいトシなので無理は禁物が合言葉、疲労軽減効果を期待してグリーン車の切符を取った。6号車はほぼ満席で、割とギリギリのタイミングで買った割には横並びで取れてラッキーと思える程度には込み合っていた。
 高鉄ではグリーン車に乗ると珈琲とお茶菓子のサービスがあり、毎度珈琲だけをその場でいただいてお菓子は帰国後に旅路を振り返りながら食べることにしている。
 文字どおりのハイスピードで流れる車窓に目を細めながらいただく珈琲は幸福の名に値する。
 期待どおりさしたる疲労感もなく高鉄台南駅に到着。
 下車してまず向かったのは駅前広場。花魁車地景公園と名付けられたその場所には0系新幹線が生体保存されている。花魁車とは正確には建築限界測定車という名称で、要は車両が通過した時に接触する障害物がないかを確認するための存在である。測定用に装着された当たると折れ曲がる矢羽根が花魁の簪に見えるところから花魁車というあだ名がついたのだが。
 それをわざわざ公園の名前にするあたり、この0系保存にかける意気込みの大きさ強さが窺い知れる。
 1978年生まれのこの車両は2004年まで現役車両として走行したあとに花魁車に生まれ変わりこの台湾へとやってきた。理由は勿論、我々が先程乗ってきた台湾高速鉄道を無事開通させるためである。
 その重責を大過なくに果たして後、歴史的重要性を認められたこの車両は調査研究やお色直し(修復)を経てこの地で長く展示される運びとなったのである。
 幼少期以来、長く私の記憶に刻まれ続けた憧れの超特急。その晴れやかな姿に胸が熱くなった。

 続いては本日のメインである林百貨へと向かうところであるが、市街地方面へ伸びる台湾国鉄(以下台鉄)沙崙線の発車まで少しばかり余裕があったため駅前に出来ていた三井アウトレットパークをちょろっと覗きに行く。
 見れば入口にはデカデカとクレヨンしんちゃんのラッピングが施されているし「春日部 運動會」とか書いてある。もうここ台南じゃなくて埼玉じゃんなどと思いつつ物珍しさから中へと入ってみることにした。寄り道も旅の醍醐味、などと内心言い訳をしつつ。
 ファッションブランドなどは全く知識がないのでレストラン街を中心にチラッとみただけだが、京都勝牛とか北海道スープカレーとかDONQとか鶏三和とか。まぁ、日本でもおなじみのお店が立ち並んでいる。
 まぁ、日本のアウトレットが台湾に進出してきたら期待される姿といっていいだろう。
 のんびりしすぎて乗る予定だった列車を逃してしまったのでタクシー乗り場に向かい「我想去林百貨」とオーダーして連れて行ってもらうことにする。
 日本でもよくあることだが、後から開通した高速鉄道は市街地から離れたところに駅があるもので。ここ高鉄台南駅から台鉄台南駅までは電車で30分ほどと結構遠い。
 しかし台湾は公共交通機関が日本よりもかなり割安なのでタクシーも比較的気楽に使える。しかもこのあたりの高速道路は文字どおりのフリーウェイなのでいちいち追加料金を上乗せされる心配もない。このルートはまだ沙崙線が開通する前、連絡バスで二つの駅を往復していた頃に何度となく眺めた懐かしき車窓に再びまみえることとなる。これが結構嬉しかった。
 市街地に入ると渋滞にも捕まったが、結局30分もかからずに林百貨に到着。
 見上げれば屋上には白地に赤で林と書かれた旗が翩翻と翻っている。あの部分だけを切り取れば日本統治時代そのままであろう。
 当時と違うのは冷房がガンガンに効いているということ。ここまで当時を忠実に再現されては営業不可能であろう。
 忠実に再現と言えば、ここのエレベーターが林百貨店当時の外観を今に残しているクラシカルスタイルで。アトラクション的な人気がある上に狭い。順番待ちの長い行列がなかなか進まないのを見て乗るのを諦め、こちらも負けず劣らず狭い階段をえっちらおっちら登っていく。狭いので行き違いにも配慮が必要だが、それこそ歴史的建造物あるあるなのでその辺を楽しいとすら感じてしまう。

 延々登った先の最上階には喫茶店があり、ここで本日の昼食をとる。私はオムライスカレー、嫁さんはから揚げカレー。そこにプリンやアイスクリームのデザートとドリンクもつける。我慢をしなかった結果、割と盛沢山になった。
 以前はデザートだけだったので、ニンジンやブロッコリーがゴロッと乗った台湾式カレーライスはほぼほぼ初めての経験だ。
 美味しいかまずいかで言えば美味しいのだが、所謂日本のカレーを想定していると違和感が先に立つ。しかしこういう食べ物だと割り切ればスイスイ入る。
 見た目に引きずられるのは食べ物の宿命か。
 アイスは見た目どおりの、いや見た目以上の味で日本にあっても通うレベル。ミルクがいいのか、はたまた製法の勝利か。
 プリンも昭和式の硬いやつで、嫁さんの好みど真ん中だったので非常にご機嫌だった。
 食べ終えると屋上へ上がり、空襲の銃撃痕や神社の痕跡等を神妙な心持ちで見つめ、一礼。
 
 やりたいことは一通り終わったので、あの狭い階段を今度は下りていくターン。上りに比べて列の短いエレベーターを使わなかったのは各階をゆっくりと堪能するためだ。
 下りていく先々には台湾各地の工芸品やら衣類やら調度品やら、工夫を凝らした産物の数々が並んでいて目にも楽しい。しかし、ガラス製品は割れるのが怖いし、靴はかさばるしで。毎回来るたびに物はいいんだけどなぁ、とか言いながら尻込みして結局買わずにいるのである。
 購入したのは1階に並んでいる農産物。中でも振發茶行のものには目が留まる。ここの先代にはお茶の良し悪しの見分け方から始まり数々世話になった。あまりにも良くしてくださるので一度はお土産を持っていったところ「見ろ、これが日本人だ。日本人のいいところだ」とご家族に向かって声高に褒めてくださり大いに恐縮したものである。そんな思い出の店なので本来であれば毎回本店に立ち寄って茶葉のひとつふたつ買っていくものだろうが、今は先代との違いばかりが目についてしまい辛くなるので店にも足を向けなくなりお茶も買わなくなってしまった。
 せっかくなので小箱に入った茶葉を購入。現在銘品としてプッシュされている台湾蜂蜜も一緒にレジへ持っていく。
 あとはバスで台鉄のほうの台南駅に戻るところ、ダイヤの乱れか待てど暮らせど来なかったのでタクシーを捕まえて戻った。
 歩いても20分ほどの距離なので待つより歩いたほうが早かったかも知れない。
 到着してひとつ残念だったことは日本統治時代に建てられた瀟洒なデザインの台鉄台南駅は現在補修工事中で、あの懐かしの白壁を拝むことはかなわなかった。それでも次の100年に向けて手を入れてもらっているのは嬉しいことだ。
 ここから高鉄台南駅との接続駅である沙崙行きを待つ間、ホームの売店で買ったポカリを飲みながらボーっとしていると日本ではもう見られなくなった荷物車2両を連結した客車急行がやってきたので夢中になってスマホに収めた。
 客車急行自体は台湾では本数があるのでそこまで珍しいものでもないが、荷物車2両併結は貴重な遭遇。このほかにも最新型の日立製特急列車が見られるなどして一向に退屈しなかった。
 ちなみにこの時14時半くらいだったと記憶しているが、この客車急行は終点まであと10時間以上かけて走り続ける。途中特急に追い抜かれる待ち時間を生かして荷物の積み下ろしをするなど、日本では昭和の頃に廃れてしまった制度がまだまだ息づいている。
 情緒を揺さぶられ、大した荷物も無いのに追体験のために使ってみたくなったが、その手続きのために乗るべき列車を1本見送るのも本末転倒なので流石にやめておいた。
 高鉄は賑わっていた。乗ろうとしていた台北方面の準速達タイプの列車はグリーン車が満席。普通車指定席でもよかったのかも知れないが、ここは初志貫徹で予定の1本前だが台北到着は準速達よりも遅い各停型の方を選択。無事グリーン車の座席を2つ確保。
 行きと同様にサービスされたコーヒーを飲み、ぼんやりと車窓を眺めていると眠気がやってきたので逆らわず仮眠をとるなどして過ごし台北に戻った。
 部屋に戻り、買い出しした荷物を置いて休憩。グリーン車効果か長距離移動の疲れもほぼほぼ無く、日も暮れてきたので次の外出は夕飯となるわけだが。我々は1月のやり残しを果たすべく台鉄松山駅近くにある饒河街夜市へと足を向けた。
 と言っても目指したのは夜市ではなくその近くにあるアヒル料理の店。1月に来た時には肝心の肉の部分が完売していて脚と内臓しか食べられなかったので再走案件としてやってきたのである。
 幸い今日はしっかりあるとのことで2人前注文し、あとは前回同様内臓のスープと茹でた青菜を一緒にいただく。
 半年待った甲斐のある味。脂身がついているのにクドくなく、またクセもない。なのに旨味はしっかりしている。
 2人で来ているのに感想を言い合う余力もなく、いいトシして黙々と味わって味わいつくして。食べ終えてようやく「うまかった」と言葉を発した。
 満足げな我々を見て店主夫婦も嬉しそうに「マタ来テクダサイ」と日本語で声を掛けてくれた。
 なんだか食べてばかりな日になってしまったが、その満足度は非常に高かった。

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今さらですが非公開に変更
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一次創作及び二次創作に関してはpixivで発表しております。興味をお持ちいただいた方は上部のリンクからお願いいたします。
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