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 トリステイン王国3人目の女王、アンリエッタ・ド・トリステイン。

 アンリエッタ女王と言えば英明さと美貌とを兼ね備え、その輝きはトリステイン王国史上における宝石と称する者もいる。
 しかし、その美点をもっとしても補いきれないものがあったというのは、これもまたよく知られていることである。


♪我らの女王 美しき女王 素晴らしき女王

 優秀な部下 数多の勝利 やさしき御心

 何でもお持ちの偉大な女王

 ただし 男運だけは 持ちかねる


 この戯れ歌に象徴されるように、聡明にして秀麗な女王陛下はその伴侶に恵まれなかったのである。
 初恋の相手と噂されるアルビオン王国のウェールズ皇太子は戦陣の露と消え、次に政略結婚の相手としてではあるが、正式に婚約を交わしたゲルマニア皇帝アルブレヒト三世とも結ばれず。

 そして。これは記録ではなく民間伝承としてではあるが、ヴァリエール公爵家の三女ルイズ・ド・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの“使い魔”たるサイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガとの恋愛にまつわる逸話が多々存在している。王都トリスタニアで芝居となって上演されたことすらある。が、これはあくまで口さがない都雀たちによる噂話の範囲であるとする学説が有力である。

 さて。このサイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガという人物は、中世末期と言う、比較的資料の豊富な時代の人物でありながらその生涯については異説が多く、定説が確定していない部分も散見される。そもそもとして、その生没年すらも不詳である。

 ここでは、彼の生涯を概観してみよう。
 彼が公的にその存在を知られるようになったのはアルビオン戦役である。侵攻してきたアルビオン艦隊を『竜の羽衣』を駆使して撃退し、またトリステイン軍のアルビオン上陸後には撤退するトリステイン・ゲルマニア連合軍の殿となってアルビオン7万の軍勢をたったひとりでその足を止めさせて任を果たす。瀕死の重傷を負うも、生還。その功を以て当時としてはかなり異例であるが平民出身ながらシュヴァリエの地位にも叙され水精霊騎士隊副隊長の任にも就く。その後もトリステイン王国の危機に際しては率先してその身を前線に投じ、愛剣デルフリンガーや異形の魔物たちを操っては多大なる戦果を挙げている。彼の活躍無くしてはアンリエッタ女王の英明さを以てしてもなお王国の苦境は避けがたかったとする説は多いが、筆者もその説に与するひとりである。

 それらの功によりアンリエッタ女王から賜った彼の領地であるド・オルニエールの館に滞在中、エルフ及びそれに連なる一党に勾引され、そしてそれ以降については一切の詳細が不明となっている。
 これは、当時のトリステイン王国の歴史を記録していた年代記作家が如何ともし難い理由により記録を途絶えさせているためである。そのため残念ながらサイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガについてはこれ以降のことを知ることが出来ない。

 そのことは大変惜しむべきことであるが、一方で当時の民間伝承をまとめた絵物語は現存しており、それによれば、我々人間とエルフとの対立が高まる中、災厄をもたらすエンシェントドラゴンが目覚めて教皇聖下の命を奪うなどの悲劇が起き、世界滅亡の危機の前に史上初めて人間とエルフの和解が成立する。結果、ハルケギニア全土が総力を挙げて巨大な災厄に挑むこととなるが最終的にはサイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ及びルイズ・ド・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの手によりエンシェントドラゴンは倒され、ふたりは結ばれて物語は終わっている。

 これはトリステイン王国に生まれ育った人間であれば幼き日から慣れ親しんだ昔話のひとつであり、ゆえにこちらの筋書きを史実と思いがちなのであるが、上述した年代記作家の記録とは異なる部分もいくつか(ガリア女王の行動等)見られることから、この絵物語はあくまで民間伝承と捉える学説が多い。

 最後になるが、この魅力溢れる人物の公的記録が最後まで残されなかったことは一史家としてというよりも、ひとりのトリステイン王国民として大変惜しまれてならない。
 そして、その記録を残し、現代に生きる我々にその魅力を伝えつつ、その全てを伝えきる事が出来ずに亡くなった当時の年代記作家の夭折を深く悼むものである。


 というわけで。
 皆様、一体これは何だと思われたことでしょう。

 はい。このたびはヤマグチノボル先生追悼の意を込めまして、もし『ゼロの使い魔』が史実として存在した場合、史書上での扱いはどうなっただろうかというのを仮想して架空の歴史書の一部を書かせていただきました。ちなみに。トム・ウォーターというのは私が架空の歴史書を書くときに毎回登場させる架空の歴史研究家ですので、当然ながら実在しません。

 文字屋として、これが私の現在の精一杯の追悼の形でございます。


 ヤマグチ先生、今までありがとうございました。

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