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朝の良い目覚めは旅先においては何よりも貴重なものであると思う。どれほど入念かつ綿密に組まれた計画も、体調が悪ければ画餅と化してしまう。
 この日も夫婦揃ってそれなりに元気で、寝心地の良いベッドから起き上がるのにもそれほど苦労しなかった。
 やはり温泉の功徳なのだろうか。

 さて。今日はどうするか。双方体調は100%とは言わないものの、十分に動けるコンディションである。日程的にも中間点で、それなりに無理がきく。初台湾の時からずっと行きたいと思っていたある場所にチャレンジするのに条件は揃っている。
 この日、山ほどある選択肢の中から私が選んだのは飛虎将軍廟。台南市にあるこのお廟は、高雄市にある保安宮同様、日本人を祀ったお廟である。
 昨年の旅で訪れた保安宮についてこのブログにて「日本でも他国でも神として祀られている存在はここの他にないのではないか」と書いてしまったが、この飛虎将軍廟が見事に当てはまる。うっかりにもほどがある。

 朝食もそこそこに身支度を整え、関空で調達したお供え物を持って台北駅へ。
 
 いつもどおり新幹線の切符を券売機で確保。いつもは普通席なのだが、今回は体調を慮って商務車ことグリーン車の席を押さえる。
 行きがけに売店で飲み物だけでも、と思ったが、行ってみるとかなり混雑していたので断念して車内販売に頼ることにした。
 台湾高鉄645列車は11時36分、定時に出発する。
 商務車は広々とした座席によって移動による体力へのダメージが少なくなるのもありがたいのだが、飲み物とお菓子のサービスがあるのも嬉しいところで。
 車内販売で買い損ねたペットボトルも無事買えて一安心。

 13時19分、定刻どおり台南駅に到着する。

 今まではここからバスに乗り換えだったが、今回は高鉄と台鉄の連絡線として開通した沙崙線に乗る。高鉄の改札を抜けて、すぐ横にある台鉄の改札へ。台北で散々使った悠遊カードがここでも使えるので、乗り換えは実にスムーズ。
 高鉄台南駅は台鉄では沙崙駅となる。



 改札のむこう、島式ホームで待っていたのはどこか懐かしさを感じさせる青い車両。高鉄からは結構な人数が降りていたと思ったが、4両編成の列車に乗ってみると空席が目立つ。




 車内は涼しいものの、車窓から照りつける陽射しはあくまで強い。2駅先の中洲駅からは本線である縦貫線に合流。仁徳、保安と走って終点台南駅に到着する。

 台南駅前は、初めて来た時からあまり変わっておらず、タクシー乗場もすぐにわかった。

 飛虎将軍廟の名前だけではたどり着けない可能性も考慮してメモには住所も書いておいたのだが、杞憂だったようで、かなりお年を召した運ちゃんは一目見るなりうなずいて車を出した。

 まずは台南駅を背にして西へ向かい、そのまま台湾省道(日本における一般国道)17甲線へ入る。道なりに進んでいるうちに西から北西へ、北西から北へと進路が変わっていく。郊外に出るとホームセンターやディスカウントストア、中古車センターが増えてくるのは日本と同じだが、堂々カタカナで『パチンコ』と書かれた看板を見た時にはさすがに我が目を疑った。
 鹽水渓というそこそこ広い川を渡り、八田ダムこと烏山頭水庫から流れてくる水路をもう一つ越えれば残りはあとわずか。
 右折して同安路という道路に出て直進すれば、左手に紅い瓦屋根のお廟が見える。これこそ飛虎将軍廟に間違いない。
 料金は厳密には覚えていないが、確か100~200元の間くらいだったと記憶している。  
 さて、お参りをしようかと外に出たところ、運ちゃんが何やら話しかけてくる。身振り手振りと合わせてどうにか意図するところを読み取ると、「ここで待っている」ということらしい。
 帰りはバスになると思い、お廟の最寄りバス停まできっちりチェックしてきたのだが(ちなみに同安路口という)、これは思いもよらぬ幸運。何しろここは北回帰線よりも南にある。気温は高く陽射しは強く、バスを待っている間に身体に変調をきたさないとも限らない。
「謝謝、太謝謝」
と感謝の言葉を繰り返しつつ、お廟へ。
 正式名は鎮安堂・飛虎将軍。この飛虎将軍とは日本名杉浦茂峰。旧帝国海軍兵曹長(死後少尉)。彼は1944年10月12日、米軍が台湾に仕掛けた大空襲を迎撃すべくゼロ戦で立ち向かった。しかし、当時旧式化していたゼロ戦では質量ともに優勢な米軍に苦戦を免れず、ついには被弾。そのまま脱出すれば助かったかもしれないところ、集落への墜落を避けるため機体を畑に向けて住民の命を救った。
 戦後、この杉浦飛行士を祀るために建てられたのがこの飛虎将軍廟。飛虎とは戦闘機のこと、そして将軍とは杉浦飛行士を意味する。
 このお廟、看板の下に日本語で「歓迎 日本国の皆々様 ようこそ参詣にいらっしゃいました」と書いてある。もうこれだけで感動してしまうのだが、これを読んで感動している我々にお廟の中にいた日本語を話せる方が気付き、つきっきりでお参りの作法を教えてくださることに。
 今更ながら本当に台湾の方々は優しく温かい。



 圧巻だったのは、タバコ好きだった飛虎将軍に捧げるために、タバコにバーナーで火をつける儀式。この発想はなかった。ちなみにタバコを嗜む人は自ら吸って火をつけるとのこと。
 3体あるご神像にバーナーで火がついたタバコを7本、お供えして思わず合掌。
 我々が一通りのお参りを終えた頃、なんと車内で待っていたはずのタクシーの運ちゃんがお参りを始めた。なんと言っていいのか、なにを言うべきなのか。咄嗟に「ありがとうございます」と言っても伝わったかどうかわからないけれど、言わずにはいられなかった。
 
 廟の中はご神像以外自由に撮影していいとのことなので、奉納された飛虎将軍の写真や制帽、飛行メガネ、勲章、徽章等々をどんどん撮っていく。













 その中に小さなお神輿があった。



 これは日本から奉納されたもの。台湾では神様はお神輿がないとお祭りに参加できないそうで、「これでようやく飛虎将軍は他の神様達と同じになりました」という言葉が深く響いた。
 最後に、日本から持ってきた『日本の翼』というお酒を奉納し、参詣の記念として飛虎将軍Tシャツを購入。しかし、タバコ好きと知っていればそのお名前にちなんで『峰』を買ってくるべきであったと反省。次回は是非そうしたい。
 案内役の方に見送られて外に出ると、タクシーがスタンバッていた。
「ありがとうございます」
と、本来であればタクシーを台鉄台南駅へ向けてもらって台北に戻るところであるが。こうして待っていてもらったおかげで気力体力時間の全てに余裕ができた。
 そこで「林百貨(リンパイフォー)」とメモを見せながらお願いをする。
「オーケー、リンパイフォー」
ちゃんと通じて一安心。
 林百貨とは何か。戦前、台南の地に唯一営業していた百貨店(当時は『林百貨店』)で、戦後閉店の後は製塩工場や警官の派出所等に使われてきたものの1980年代には主なき空虚となっていた。それが、なんと昨年見事新装開店したとのこと。
 台鉄台南駅から徒歩15分くらいのわりと繁華街な場所にあるのだが、再開発の対象にもならずにずっと残されてきたのは、台湾人の心の在り方の現れなのだろう。
 建物を生かしつつの改装ということで、外観だけでも一見の価値があるところ、中にはレアな工芸品やグッズなども各種販売していると聞けば、これはもう食指が動くどころの話ではない。
 来た時同様渋滞しらずのスムーズな道行きで15~20分ほど。格式溢れる建物にタクシーで乗り付けるとまるでタイムスリップしたかのよう。これで私の服装がシルクハットに燕尾服で右手にステッキでも持っていたら最高だったのだろうが、この烈夏の台南でそんな格好をしたら塩茹でになってしまう。
 お廟で待っていていただいた分、感謝の気持ちをチップに込めて降車。

 入り口横には戦前の林百貨店及び台南市の様子がパネルで展示されており、単なるノスタルジーやアミューズメントではない本気の姿勢に嬉しくなる。
 中に入ると1階は土産物コーナーで、南部の物産を中心に台湾各地から取り揃えた名品が所狭しと並んでいる。当然のように結構お高い。ちょっと手が出ないなぁ、とため息交じりながらも見ているだけでも楽しくなるのでゆっくり目に一周まわってみた。
 すると、中になぜか見覚えのある『宇治 三星園』の文字。何かと思えば1階の喫茶コーナーは三星園こと上林三入本店直営店だった。…宇治以外には進出していないはずの上林をまさか台南の地で見ることになろうとは。
 このままずっと1階だけで閉店まで楽しめそうな勢いだったが、さすがにもったいないので上を目指す。
 名物の一つにもなっている、当時のものを再現した(中身は当然最新式)エレベーターに乗ろうとしたところ、大きさが当時の寸法なので実に小さく5人しか乗れない。そのため扉の前には列ができてしまっている。
 やむなく階段で上がるが、これも同様に広くないのですれ違いが発生すると上りと下りが各々譲り合わないといけない。
 各階をじっくり見ながら上を目指すをいつになるやらわからないので、先に一番上まで上がってしまうことにした。えっちらおっちらと登って屋上にたどり着くと、開けた眺望に暑さを忘れる。
 小さなグッズショップの先には当時の神社(末広社)があり、一部が復元されているものの空襲で破壊された鳥居はそのままで、被弾の痕が痛々しい。



 お賽銭箱はないのだが、暗黙の了解としてお賽銭置き場になっているところへ小銭を置き、二礼二拍手一礼。
 さて、お買い物タイムになだれ込もうと思ったが、昼食がまだなことを思い出した。幸いここは百貨店なので外に出なくても食べるところには困らない。むしろ選択肢を絞るのに困るくらいである。
 何しろ次いつ来られるかわからないのだから、この1食は貴重なものになる。5階には『大手焼き』というおでんメインの居酒屋と『cocorico』という洋食レストランがあり、さて、どちらにしたものか。
 暑さにだいぶ痛めつけられていたので、決める前にまずコーヒーでも飲んで一息入れようということになり4階の喫茶『HAYASHI CAFE』へ向かう。
 最初はコーヒーだけのつもりだったが、メニューを見てみると、セットで頼めば3種の甘味、すなわちコーヒーゼリーと柿の上生菓子にプリンが付いてくる模様。
 いかな大食漢の私でもこれを平らげたあとに昼食は入らないし、逆もまた然り。
 しかしどうだ。
 三品はいずれ劣らぬ猛者の風格。どれか一品だけに絞るのも惜しい。妻に諮ったところ「これを昼食代わりにして、夕飯を早めに食べれば?」という回答が。
 というわけで。魅惑の三品にアタック敢行。甘みが濃厚だった場合に備えてコーヒーはLサイズにしておく。
 前置きはこのくらいにして肝心の味はといえば、これが見事。ゼリーは爽やかにほろ苦く、上生菓子は品良く甘く、プリンはノスタルジックに旨い。これが昼食代わりであることに一片の悔いも曇りもなくなった。



 腹一杯、というわけではないのだが満足度はかなりそれに近い。
 満ち足りた気持ちになってしまうとガツガツ買い物をしようという考えも薄れてしまい、どうしてもこれだけは、というものに絞って購入。その中の一つが林百貨店開業当時をイメージしたイラスト入りのタンブラー。
 これはもう見事と言うほかなく、すっかり一目惚れしてしまった。



 食べるものを食べ、買うものを買い。切り上げるにはいい頃合いだ。建物を出て、全景を1枚撮影。この建物に再び会うためだけにもう一度台南を訪れてもいいというくらいには惚れ込んでしまった。



 駅まで戻るのに簡単なのはタクシーだしバスも手軽だが、我々も台南には何度か来ていてわずかながら土地勘がある。ここから駅までそう遠くない上に、ほぼ一本道で迷いようもなく、さらには天候も歩くことが苦痛になる程ではなかったため、移動手段に徒歩を選択した。

 台南には何度か来ていて若干ながら土地勘がある。ここから駅までそう遠くない上に、ほぼ一本道で迷いようもなく、さらには天候も歩くことが苦痛になる程ではなかったため、移動手段に徒歩を選択した。
 久々に歩く台南の街並みには不思議な懐かしさを感じる。視野に入る光景は確かな異国でありつつも妙に落ち着くこの感覚は我が事ながら良く分からない。自分が馴染んだどこかの街に似ているからということでもない。
 訪れるたびにいい思い出を刻んで帰るからかも知れない。

 台鉄台南駅の白亜の駅舎が見えると嬉しくなると同時に、ここを発たねばならない寂しさをも感じる。



 しかし、始発の沙崙行がホームに姿を見せている。案内板を見れば発車まで5分もない。大慌てで改札を抜けてホーム階段を駆け下りると、先程まで心身を満たしていた感慨もどこかへ吹っ飛んでしまう。
 何しろこれを逃せば次は30分後。
 大汗かいた甲斐あって無事間に合ってめでたしめでたしなのだが、ぼちぼちもう少し落ち着いた旅のスタイルに移行していきたいと思わなくもない。
 しかし、沙崙駅に到着後も新幹線の切符を手配するため急ぎ足にならざるを得ない。人を押しのけて走るような真似こそしないが、「慌ただしい日本人だなぁ」くらいは思われたかも知れない。
 乗換改札最寄の自動券売機に誰もいなかったことも幸いして直近の切符を入手。セブンイレブンで飲み物を買う余裕まであった。
 ちなみに帰りも商務車で、ドリンクとお菓子のサービスを受けた後はすっかり寝落ちして体力の温存もしくは回復に努める。鉄オタの体内時計というものは不思議によく出来ていて、あと10分で終点台北駅というあたりでしっかり目が覚めた。
 台北に戻ってきたら時間は既に夜7時半を過ぎていた。昼食をちゃんと食べていないということもあって食欲は割と旺盛。駅の近辺にもホテルの近くにも美味しいお店は数々あり、豊富に存在するはずの選択肢の中から敢えて駅2階のフードコートをチョイスする。
 毎年一度はここで食べるのが最早我が家の風習と化しているので、南部に遠征した帰りはあれこれと検討しつつも最終的な結論はいつも同じになってしまう。
 込み合ってこそいたが、なんとか2人分の席を確保し交代で食べたいお店に並ぶ。私は昨夜が肉だったので今日は魚の気分。サバヒーという魚は私の好物なのだが、ちょうどそれをメインにした定食があったので即決定。ちなみに別名ミルクフィッシュともいうのだが、漢字で書くと『虱目魚』で、知らずに見たらギョッとする字面をしている。白身であっさりしつつも旨味が濃く、食べても食べても飽きのこない素晴らしい魚なのに。
 付け合わせの野菜ともどもしっかりいただいて大満足の夕ご飯となった。

 心身共に余裕がいささかあったので、寄り道などしつつノンビリとホテルに戻った。

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