コミック乱一月号 感想 感想・レビュー 2009年11月29日 鬼平犯科帳・今回はラストの鬼平のセリフが染みました。「平穏無事を願いながら、どこかでそれを退屈だと思っている……」平穏無事を愛する身としてはご勘弁いただきたいんですが、そういう方はけっこうおられますよね。しかも一時のにぎわいのみで終わってしまい、その後、人びとの記憶からも消えて記録にも残らなかったりとか。何かを暗示しているようにすら思えてしまいます。 仲蔵狂乱・吉原の作法が大変分かりやすく解説されておりました。おもしろそうですけど、正直メンドクサイとも思う。・「おしげりなんし」っていう言葉がなんとも隠微な感じがします。・仲様大人気。これはむしろ花魁にお金払わせるレベル。・100両を3ヶ月か。今の感覚で言うと一般的な平均年収の3年分をぱーっと使っちゃった感じですかね。そらどんな大富豪でも目を剥きますわな。 風雲児たち・松陰先生は止まりませんねぇ。決起だけでもとんでもないと思ってましたが、まさか藩主までターゲットにするとは思いませんでした。そら野山獄にも行きますよねぇ。これに関しては藩の意向も妥当ではないかと。・この時点で既に反幕決起の意見が藩内で堂々と論じられるというのは長州藩の特殊性もあったのでしょうけれども、やはりペリー来航から通商条約締結にかけての幕府の迷走はそれだけ影響が大きかったんでしょうね。・議論に議論を重ねることでガス抜きになるというのは現代でもよくあることですね。だからこそ話し合いは大切だという。・師匠を思えばこその、密告。桂さん、難儀しますなあ。・牢内での再会。これが恋愛展開に行かないあたりが松陰先生だよなぁ。 平安京奇譚・おもしろかったです。京都在住だから余計に、というのはあるかも知れませんが。・怨霊というのは京都と切っても切れない関係にあります。本作冒頭にもありましたように、もともと結界都市として設計されてますし。そういうコンセプトだけに、余計になにごとにも怨霊と結びつけて考えてしまうんでしょうね。・あとは不健康な生活を送っていたために被害妄想的になってしまいやすかったという説も目にしたことがあります。・いずれにしても被支配階級はたまったもんじゃありませんが。・一番恐ろしいのは生きている人間であるという…。 剣客商売・因縁とはなんともねじくれたものであることでしょう。「さてさて…人間とはわからぬものよ……」と作中にもありますが、まさにその言葉のとおり、皮肉とも不可思議とも言える玄妙な綾を織りなしておりました。・今回のお話は、親子とはなにかとか、そんなことを考えさせてくれました。私もそんなことを考える歳になったということでしょうか。辛気くさくてすいません。・おはるのことを「母上」と呼ぶ大治郎。死地をくぐり抜けることで人は変化するものですね。それを成長と呼ぶか否かはまたケースバイケースですが。 [0回]PR