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前日前々日と保養に努めたこともあり、コンディションはかなり良い。いよいよ遠出のタイミングがやってきた。
 遠出といえば今年の希望の一つに「金門島に行きたい」というのがあったのだが、困ったことに飛行機の座席が確保できない。
 台湾入りする前からずっと毎日航空会社のサイトにアタックをしていたのだが、行きはともかく帰りである台北行きの午後便が空いていない。金門島に1泊して翌日の午前便で戻ってくるならともかく、日帰りしようと思うとどうしようもなかった。

 ダメなものは諦めるしかないので、旅行前に作っておいた候補地リストのメモを引っ張り出して可能な行き先を探す。
 その中に烏山頭水庫というダムの名がある。またの名を八田ダム。完成当時東洋最大の規模を誇り、嘉南平野を不毛の地から豊かな実りあふれる大地に変えたダムである。
 このダム周辺は結構な規模の公園になっており、敷地内にはダム完成に大きく貢献した技師の八田與一さんのユニークな銅像があることでも知られている。
 このダムに、新婚旅行以来11年ぶりに行ってみようということになった。

 前回は新幹線開通前ということで台南まで飛行機で飛んだ上、わざわざ1泊してから向かったのだが、今なら悠々日帰りできる。
 この旅行の前にちょっと気になる事件があったことも動機の一つとなり、行き先に決定。もし余裕があれば帰りに映画KANOで知られる嘉義か我々の大好きな林百貨というデパートがある台南に立ち寄ってみようというオプションプランも決定。

 行き方であるが、台北8時発の台鉄特急プユマ号に乗れば嘉義に10時31分の到着し、普通列車に乗り換えてダム最寄りの隆田駅11時21分に到着する。おそらくこれが最速。

 しかしこれは指定席が完売で断念。

 次善の策としては新幹線で嘉義に出て、台鉄嘉義駅までバスで移動。そこからやはり普通列車で入る方法がある。バスの乗り継ぎ時間がわからないのでなんとも言えないが、プユマ号で行くのと遜色ない時間で行けるはずだ。
 ダイヤを調べ、台北発8時21分発の613号に乗って行けば嘉義には9時48分に着くことが判明。

 身仕度を整えて部屋を出、駅へと向かった。窓口は大混雑なのでガラガラの券売機で目当ての切符を購入。大変スムーズで良かったのだが、機械購入だと座席が選べないのでB席C席並びになってしまいがちなのが残念なところ。

 毎年乗っているので新鮮味は無いが、それでも鉄道に乗るということは私にとって特別な時間なので飽きたりはしない。3人掛けの真ん中B席なので車窓もあまり楽しめないが、1時間があっという間に過ぎていく。定刻どおり高鉄嘉義駅着。

 連絡バス乗り場は駅前のロータリーにあったので迷うことなくたどり着けたのだが、台鉄嘉義方面のバス停とその逆方面行きのバス停とがほぼ同じ場所にあり、ちゃんと正しいバスに乗れるのかどうか不安になった。
 不安だったのは我々だけではなかったようで、台湾人のおばあちゃんも不安げな表情でいろんな人に何やら尋ねていた。

 実際、最初に来たバスは逆方面行きだったのでうっかり乗っていたらどうなっていたことやら。

 無事正しいバスに乗り継げて一安心。このあたりは新幹線が開通して10年も経つというのにまだ開発が進んでいない。おかげで車窓が大変ノスタルジック。

 そこにワビサビめいた何かを感じたので、カメラの設定をモノクロにして写真を撮り始める。いい感じになるものの、どうしても電柱と電線が写り込んでしまうためイマイチである。それを言ったら道路が舗装されている時点でモノクロ写真の時代とは噛み合わないのだが。

 そんなお遊びをしているうちに車窓は徐々に開けてきて、嘉義の市街地へと入っていく。嘉義自体は古くからある街ながら道幅は広く、建物も新しい。所謂新市街なのだろうが、こういう予想外もまた旅の楽しみ。

 快適なバスの旅はあっという間に終わり、10時半前には台鉄嘉義駅前に到着できた。
 これならば当初予定していた10時38分発の普通列車に乗れると勇んで飛び出す。短距離であるし切符は券売機で買えばいいだろうとタカをくくっていたら、何度入れても100元札が戻ってきてしまう。刻一刻と発車時刻が近づいてくるため、諦めて慌てて窓口へ走る。
 幸い先客が一人しかいなかったので無事隆田までの切符を確保できた。
 そんなこんなでホームにたどり着いたのは3分前。噴き出る汗を拭っている間に列車はやってきた。

 嘉義から台南の間というと、日本統治時代には砂糖の産地として名高くサトウキビ用の貨物路線も走っていた新營や牛乳のブランドで有名な林鳳營といった駅が有名で、豊かな農業地帯である。車窓一杯に広がる緑を焼かんばかりの日差しの中、列車は快調に走る。

 11時21分、隆田着。
 10年ぶりの隆田駅は駅舎がリニューアルされて、駅前にもロータリーができていて随分と小綺麗になっていた。そもそも前回来たときは道路が舗装されていなかったというのに。



 そのロータリーで客待ちしていたタクシーに乗り込み「烏山頭水庫」の文字を見ると運ちゃんは大きくうなずいた後、日本語が印刷された紙を見せてきた。
 細かいことは忘れてしまったが、800元の定額で2~3箇所回りますよ、という内容だったと記憶している。
 しかし我々は八田さんの銅像までたどり着けばあとは徒歩で回るつもりだったのでせっかくの申し出ではあったがお断りし、八田さんの銅像まで送ってもらいたい旨を改めて筆談で伝えた。

 運ちゃんは少し戸惑っていたが、最後は大きくうなずき車を発進させた。

 田園風景を快走すること15分ほど。烏山頭水庫の看板が見えてきた。
 ETC導入前の高速道路の料金所を思い出させるゲートで入場料400台湾元(二人分)を払うと日本語と繁体字併記の折りたたみ式リーフレットを渡された。
 タクシーはそのまま山道を登り、銅像手前の車止めまでつけてくれた。

 11年ぶりに来てみて、往時と大きく違うのは銅像及び八田さん夫妻のお墓近辺が立入禁止になっていること。これはおそらく先日起きた銅像切断事件の影響と思われる。





 やむなく日本で調達してきたお供えをロープの手前に置き、手を合わせる。




 最大の目的を果たせたので、あとはゆっくりとまわるばかりだ。
 銅像の少し先にはダム建設時に使用された蒸気機関車が展示されていた。ちゃんと日本語で解説されていたのでこれがベルギー製であることなどもちゃんと理解できた。





 展示場所には屋根も付いていたので休憩もできて何よりだった。さすが熱帯。大して歩いていないのに休憩したくなるくらいに暑かったのである。
 機関車を離れ、ダムの堰堤上に作られた道を行く。人造湖の上を駆け抜けてきた風が心地よいのだが、それをかき消してしまうくらいに日差しが強い。もっと言えば強すぎて皮膚が痛い。

 本来であれば八田さんを偲びながら歩道をゆっくり行きたかったのだが、そんな生易しい暑さではなかった。太陽から逃げるようにどんどん進む。
 そんな状況ながら、ふと見れば歩道横に桜が植えられていた。そしてそれには木製のプレートが掛かっている。刻まれた文字は「情牽臺日 邦誼永固(友情で結ばれた台湾と日本、国同士の絆は永遠に強固である)」。見れば「李登輝 題」と書かれている。あの残念な事件とその結果を見たあとだけに、深く深く胸に刺さった。


 
 ダムを建設する際に亡くなった方々を慰霊する殉工碑に手を合わせ、我々が来た時にはなかった八田與一記念公園へ行こうとしたが、途中まで行ってみたところで思ったよりも遠くにあることがわかり、たどり着ける自信がなくなり断念。あとで確認したところバス停一つ分以上離れていたので断念して正解だった模様。

 どこへ行くというよりもそろそろ戻らないと戻れなくなりそうな状態にまで疲弊していたので休憩場所である旅客サービスセンターを目指す。雪山登山のように細かくビバークしながら、どうにかこうにかたどり着けて、ようやく本格的に休憩。売店でポカリスエットを調達し、気力体力が蘇ってきた。

 ここでタクシーを呼ぼうかと算段していたのだが、そのために入れたアプリがうまく使いこなせずどうしたものかと思っていたところ、ふとパンフレットを見たら台鉄新營駅行きのバスがあることに気づく。
 今度は台湾のバスアプリを起動すると、20分もしないうちに新營行きのバスが来るようだ。バス停は入場ゲート前にあるようなのでそこまで歩いていかなければならないが、休憩とポカリのおかげでどうにかなりそうだった。

 ゲートまではほぼ全て下り坂なので帰りの方がはるかに楽で、無事バスより早く入場ゲートまでたどり着けた。料金徴収係のおばちゃんにバス停の場所を聞くと「すぐそこにあるが、暑いからここで待て」的なことを言われて木陰で待つ。

 待つというほどの時間も経たずにやってきたのはマイクロバス。狭い車内だが、冷房が効いているのでそれだけで十分だった。

 新營駅前のバスターミナル着。
 ここ新營は先述したとおり日本統治時代から糖業の街として発達しており、特急の自強号も停車する大きな駅だ。
 窓口で14時43分発の基隆行き自強号の切符を台北まで購入。ひとり650台湾元。新幹線が台北~嘉義間で1080台湾元だったので4割安い。
 その分スピードで劣り台北駅着が18時30分と4時間弱かかるのだが、嘉義で高鉄に乗り換えてバタバタするよりのんびり行った方が気楽である。そして何より、この乗車で台湾国鉄縦貫線全線及び山線制覇になるのが嬉しい。

 昼食をまだ取っていなかったので、駅構内のセブンイレブンであれこれと買い込む。中でも面白かったのは台湾カゴメのパインジュースで、思い切りカタカナで「パインジュース」と書いてあった。そのほか、エビ天おにぎりやアスパラガスのジュースなども買い、量的には昼食として十分と言えるだけになった。



 構内には駅弁の売店もあったのだが、昼食時間帯をとっくに過ぎていたこともあって既に完売していた。
 
 自強号は遅れなくほぼ定刻で入線してきた。
 乗り込むと車内はローカル線の雰囲気をたっぷりと匂わせている。縦貫線は台鉄における一番の幹線で日本で言えば東海道本線に当たるが、新幹線に客を取られてメインストリートからは陥落しているところも日本と一緒である。
 ただ、日本と違うのは新幹線と在来線の経営が別会社なので競争があり、こうして12両編成の特急列車も走っている。新幹線よりも遅い分、車窓もゆっくりと楽しめる。それが嬉しい。

 嘉義を過ぎたあたりで車内販売が回り始めるが、弁当は積んでいなかった。乗務員のおっちゃんは私だけでなく数人から弁当の有無を聞かれては「没有(メイヨウ。「無い」の意)」と答えていた。
 
 その弁当は台中駅で積み込んだようで、発車後に車販のおっちゃんから「便當(ビェンタン 「弁当」の意)!便當!」の声がする。
 ダンボールに詰め込まれた弁当が飛ぶように売れていくのを見て、つられて私も買ってしまう。おにぎり2つでは物足りなかったというのもあったが、夕飯のことを考えれば勇み足であった。

 中身は白ご飯の上に煮卵、味付き豚肉、青菜に漬物でこれぞ台湾メシともいうべきラインナップ。そして、出来上がって間もないのであろう、ほんのりと温かい。漢民族は習慣的に冷たい食事に抵抗感を覚えるため駅弁も温かいままで売るのだそうだ。





 さして空腹でもなかったのに、実に旨い。おかずもさることながら米がいい。台湾の米というと池上米や蓬莱米が知られているが、残念ながら食べて区別がつくほどの舌は持ち合わせていないので分からない。ただ、ふっくらと炊き上がった米がおかず各々の味をいっぱいに吸い込んで、これだけでも食べられるくらいに旨い。

 腹がくちくなると眠気に襲われる。初めて乗る路線、しかも台湾なのだから寝ている場合ではないのだが、睡魔というのは実に手強く抗いがたい。うつらうつらしているうちに都市と田園風景とが入り混じった景色が流れていったのが朧げな記憶として残っている。
 17時16分新竹着。台湾のシリコンバレーと呼ばれる一大工業地帯なのでどんな駅前だろうと思ったが、我々の席から見えたのは車両基地だった。これはこれで鉄道マニアの私にはありがたいのだが。


 そしてその新竹駅に併設された車両基地では普通列車用車両が1編成、職員によって手洗いされていた。日頃洗車機を見慣れているせいで実に新鮮に映った。
 17時18分、新竹を発車。乗車時間はいよいよ残り1時間半を切った。
 亜熱帯に属する台湾では7月でも既に豊かな実りの時期を迎えているので、車窓に見える田んぼはもう豊かな黄金色で満ちていた。
 しばらく走ると陶器の街鶯歌に差し掛かり、車窓が一変する。日本にも陶器の街でよくあるように、例えば中央本線の多治見~土岐市間に見られるような陶器工場や焼き物のディスプレイなどが目につくようになる。
 ここを通過すると、もういよいよ台北市内も目の前だ。
 板橋駅の手前で地下に潜ってしまうのでもう車窓は楽しめない。アナウンスを聞いてもよくわからないので台北のひとつ前、萬華駅を通過した時点で席を立つ。どちらの扉が開くかはわからないが、
 18時30分、定刻どおり台北駅に到着。4時間弱乗っていたが、疲労感はほぼ皆無。もっと乗っていたいほどだった。

 とはいえ、休憩は必要だったので部屋に戻り、仮眠を取る。
 目がさめると夜9時過ぎだった。本来であればどこかで夕飯をというところだが、小腹が空いた程度だったので、軽く何か食べて済ませることにした。
 遠くに行くのも面倒ということで台北駅地下にあるミニフードコートに行き、モスバーガーで台湾オリジナルであるレモンチキンタルタルバーガーを食べた。



 台湾のマヨネーズはアメリカ式で甘ったるいのだが、このタルタルソースは甘くなくクドくなく、甘酢とよくマッチしていた。台湾産と思しき緑のレモンも酸味がきつくなく、チキンにかけても良いがそのまま食べても美味しかった。

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読書、創作活動(文章のみ)、野球観戦、旅行、食べ歩き
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