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漫画、アニメその他諸々の感想がメインのブログです。現在は「ここだけの話」シリーズについての感想を中心に運営しております。毎日15時の更新は終了し、現在は再び不定期更新に戻っております。
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 マッサージの威力か、それほどの疲労感も無く起床。この日は予定をみっちり入れてしまったため朝食もパスして宿を出る。目指すは台湾の古都・台南。いつもお世話になっている台南の振發茶行へお茶の買い出しに行くのである。台北市内にも数々お茶の名店はあるのだが、創業1860年という台湾一の老舗の存在感、そして夏の旅行記を読んでいただいた方は既にお分かりと思うが、我々が単純にあの店主の老人にお会いしたいという気持ちも、動機としては強い。あの老人の中に、今失われつつある昔の日本が確かに存在するからだろうか。

 ともあれ、そのために台北発8:30の新幹線に乗る。これは日本で言う『ひかり』タイプの速達型で、停車駅は板橋、台中、そして終点の左営と最低限しか止まらない。肝心の台南を通過してどうするのかと思われる方も多いだろうが、そこが今回の実験のタネである。

 左営では台鉄(在来線)の新左営駅と接続している。そこから台南まで在来線で行くのと、普通にこだま型で行って市街地から遠い高鐵台南駅から接続バスで台鉄台南駅まで行くのとどちらが速いか、というのを確認しようという試みだ。ちなみにこの試み、その1週間後に高鐵台南駅まで台鉄が支線を伸ばし、台鉄台南駅まで連絡するようになるので、今回が現条件下で行える最後のチャンスなのである。

 さらに可能であればセブンイレブンできっぷを買えるようになったそうなのでそれも実際にやってみたかったが、さすがにそのためだけに遠回りするのは面倒である。更に言うと時間帯的に店が混雑するので、そのために乗り遅れでもしたら元も子もない。車両こそ日本の新幹線と同じだが、本数は圧倒的にこちらのほうが少ないので、1本逃すと時短作戦を放棄して次のこだま型(要は各駅停車)に乗らざるを得なくなる。また、混雑するという点では駅の有人窓口でも同じ事なので、自動券売機へ向かう。クレジットカードも使える優れものだが、日本のと違ってパネルで空き具合を直接確認して座席指定、ということは出来ない。そんなわけで今回はBC席並びになってしまったが、発車15分前に飛び込みで確保できたのだから不満は無い。あとは朝食を構内の便當(台湾では弁当をこう表記)本舗とセブンイレブンで購入すれば準備完了。

 前置きが長くて申し訳ない。そんな経緯で我々は無事車上の人となった。車内販売のコーヒーがなかなか美味しいので、朝食後の楽しみとして購入。私はおにぎりと一緒にコーヒーを飲むのはあまり好まないのだが、おにぎり後のコーヒーは無性に美味しく感じる不思議。

 食べ終えて、後は流れゆく車窓を楽しみながら終点に到着するのを待つばかり。台北市内が薄曇りだったということもあるが、北回帰線を越えたあたりから差し込み始めた南国の陽光が眩しかった。今が冬であることをすっかり忘れてしまう。

 それは新幹線を降りてから、より一層顕著になる。左営の駅はすっかり春の陽気で、ジャンパーを脱いでしまいたくなった。台北市と高雄市の気候の違いは日本で言うと福岡市と鹿児島市のそれに近いかも知れない。

 そんな感慨を抱きつつ、改札を抜け同じ建物内の台鉄新左営駅へと向かう。時間に余裕があればセブンイレブンにでも寄りたかったが、乗り換え時間が15分しか無い。不測の事態が発生した場合はせっかくの試みも台無しになってしまうので、わたわたとせわしなく移動し、券売機で台南までのきっぷを購入。ここの駅は日本の急行列車に当たる『キョ(草冠に呂)光号』が停車するのだが、ちょうどいい時間のものがなく、今回は各駅停車に当たる區間車に乗ることに。
 自動改札を通り、ホームへ降りると、程なくして電車がやって来た。車内はロングシートで、日本の通勤電車を連想してもらえばいい。ひとつ違いを挙げるとすれば、ホームより車両の床が高い高床車仕様なため、車内に3段ほどの階段がある。そのため、乗り降りに若干時間がかかる。

 しばしば遅れると言われる台鉄だがこの日はそのようなこともなく、定刻どおり11:01に無事到着。
 台鉄台南駅は構内に台湾角川直営の本屋があったのだが、なくなっていて残念。ケロロ軍曹とガンダムが大看板で、グイグイ前面に出されていた光景は今でも忘れられない。

 後は馴染んだ道行きなので、振發茶行目指して一直線。途中に通る道がたまたま台南の電気街で、漫画専門店なんぞもあったりするのだが、無視してガンガン進む。
 細い路地を通り、段差の多い歩道を越えて行くと、若干汗ばんでくる。電気街の先にある普通の通りには正月向けのお札(ふだ)を大量に積み上げている店も有り、「ああ、こんな陽気だけどもうすぐ正月なんだな」と実感する。

 そんなこんなで歩くこと15分程。もう何度も来ているので、迷う事なく無事振發茶行に到着。
 店主の老人はこの日もお元気で、ニコニコと我々を迎えてくれた。助手と言うかお弟子さんと言うべきか、ちょうど老人の娘くらいの年格好の女性も奥から出てきて我々にあいさつしてくれる。

 この日はちょっとした企みもあったのだが、まずは商談。前回購入してあっという間に飲みきった杉林渓という品種をまず450g。これは老人の太鼓判が押された優秀な銘柄なので値段もそれなりだったりするが、それでも味から考えればまだ安い。
 あとはいつもの高山茶を600g。
 ちなみに、購入している量が若干半端なのは、このお店は単位が昔ながらの「斤(1斤=約600g)」を使っているため。

 買い物が終わり、お金を支払ってから「実はおじいさんに贈り物があるんです」と、我々は紙袋を差し出した。「以前、日本各地のお茶どころを回っておられたと聞きましたので、いつも美味しいお茶を分けていただいているお礼に買ってきました」と、説明しながら八女茶、静岡茶、宇治茶の3点セットをお渡しする。
 「これは私一人で飲む訳にはいきません。皆と、いかに日本人が情に厚い人たちか説明しながら飲ませていただきます」とおっしゃっていただけた。

 そして、『日月潭蜜香紅茶』と書かれた包みを2つ手にすると「これは台湾政府が開発した新しい品種の紅茶です。砂糖を入れなくても甘い香りがするものです。これをどうぞ」と。「いえいえ、とんでもない。いただけません」と一旦はお断りするが、いつもどおりの温和な笑顔で「どうぞお持ちください」と言われてしまうと断れなかった。



 また、この店が現在台湾政府のプッシュを受けているそうで、それによりポスターや名刺なども製作され、ネット上にサイトも出来たとのこと(リンクはこちらから)。この店は私の知る限り台湾1の老舗なので、こういう扱いを受けても不思議ではないが、夏に来た時には何も無かったので、あまりの急展開に少し驚く。ともあれ、めでたいことなのでお祝いを述べる。

 帰り際「良いお年を」という声で送ってもらって、外へ。
 さぁ、この後台北市内で行われている国際茶芸博覧会を見に行く予定なので、急いで取って返さねばならない。いつもなら台南市内で何かしらのごちそうを食べてからになるところを、無茶もいいところの大強行軍。何しろ明日の昼前にはホテルに迎えが来てしまうのだ。この国に居られる時間を少しでも有効に使わなければ。
 とはいえ一応、確認は取ったのである。妻に対して体調確認はしたのである。「大丈夫」という答えをもらったし、そもそもその博覧会は妻が行きたいと言っていたので、私も台南での昼食を諦めたのであるが。
 が。新左営に向かう『キョ(草冠に呂)光号』のきっぷを購入した時分からおむずかりが始まってしまった。

 そのあと時間があればパイナップルケーキの新規開拓ということで佳徳糕餅という洋菓子屋も行くことになっていた。国際茶芸博覧会は世界貿易センタービルで行われており、その隣の台北101ビルの地下フードコートで遅めの昼食を取ることも出来る。とにかくここだけ乗り切れば…というところだったのだが、一旦曲がった機嫌はそうそう直るものでもない。

 帰りは商務車(日本で言うグリーン車)にしたのだが、状況は変わらず。宿に戻っても同様だったので、大友さんのところにハンコを取りに行くのは私1人の任務ということに。
 薄曇りどころか小雨が降ってきた台北市内を独りノソノソと歩く気になれなかったので、まず台北駅構内にある『台鉄本舗』という鉄道グッズ屋に行く。台湾の鉄道雑誌『鐵道情報』は隔月刊誌で、大型書店でも割と探すのが大変だったりするのだが、ここでは割と確実に手に入るので助かっている。
 その他にはあまり目当てが無かったのだが、今回は思わぬ収穫があった。台湾で猫の居る村として知られるようになった侯[石同]村グッズがなぜか置いてあるのである(侯[石同]村についてはこちらが参考になるかと)。表紙の猫2匹にやられてしまい、思わず卓上カレンダーを購入。ことのついでと「小心 猫出没注意」と書かれたTシャツも購入。


 思わぬ収穫にホクホクになったはいいが、雨がいよいよ強くなってきた。やむなく、タクシーで行く。

 「おおともとくさんこうし」をこちらの言葉でどう言えばいいのかはさっぱりだったが、以前行った時に店の名刺をもらっていたので、それを運ちゃんに見せれば万事オッケー。まぁ、それがなくても文字で書けばいいのだが。
 短距離だがイヤな顔もされず、スムーズに到着。

 大友さんのお店で、ハンコを受け取るついでに職場土産としてパイナップルケーキと自家用に烏龍茶のティーバッグを購入。「まだ茶を買うか」とお思いだろうが、葉から沸かすのがメンドクサイ時もあるので。

 さて。買い物終わって店を出ると雨もやんでいたので帰途は徒歩で…と思ったのだが、せっかくなのでちょっと歩いて地下鉄善導寺駅まで出て、一駅乗る。これで大友さんの店に行く際の善導寺ルートも補完できた。
 台北駅の地下街で台湾版絶望先生二十二集と新少年快報の次の号、そして台湾オリジナルの『五都争覇』という漫画を購入して宿へ戻る。この漫画は台湾の5大都市を擬人化したもので、ストーリー部分と4コマ部分が収録されていた。語学的壁があるのでまだ全部を読み切れてはいないが、分かる範囲だけでもなかなか楽しい。特に4コマ部分。



 部屋に戻っても妻のご機嫌はあまり回復していなかったが、夕飯を食べに行く頃合いにはどうにかなかったので何より。とは言えあまり遠出も出来ないので、台北駅2階のフードコート微風廣場で適当に見繕うことに。日がよりによってクリスマスイブなので、カレーとか牛肉麺とか、あと大戸屋で和食、という選択肢も取りづらい。昔は割とそう言うのを2人揃って気にしないどころか、むしろクリスマスイブにこそ、人が行かないところで飯を食っていたのだが、堕落してしまったものである。

 1周して、混雑具合とか見て決めようということになったが、その途中天仁茗茶の売店でさらに茶のティーバッグを買い足す我々。もはや個人輸入の域か。寄り道しつつまわった結果、小龍包のお店、上海湯包館に決定。
 この日は疲れていたのでビールは飲まず、かと言って食べるほうでもあんまりスパークしなかった。…の、はずだったのだが、食べ終えた時には休憩しないと動けなくなっていたのはなぜか。どれが余計だったかを休憩しながら検証してみたが、どれも食べないわけにはいかなかったというダメな結論に。だって全部旨かったんだもの。

 というわけで、はち切れそうな腹の消化を助けるために、台北駅の地下街をウロウロする。今回散々うろついているので、いつもはスルーするCDショップに行ってみると、案の定日本アニメがDVDコーナーの一角を占拠していた。リージョンコードが違うので日本では見ることができないが、あんまりにも安いのでちょっと買ってもいいかなと思ってしまう。割と古いのも置いてあるが、やっぱり絶望先生のは無かったので購入はせず。代わりと言っては何だが、CDコーナーにモンゴル族とウイグル族の民族音楽CDが置いてあったので、嬉々として購入。ホクホク顔で部屋に戻った。後日、iTunesの曲名登録で死ぬ思いをするとも知らずに…。

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1975/04/02
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今さらですが非公開に変更
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読書、創作活動(文章のみ)、野球観戦、旅行、食べ歩き
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四十路オタです。そんな年齢なので言う事やる事古くさくてすいません。
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一次創作及び二次創作に関してはpixivで発表しております。興味をお持ちいただいた方は上部のリンクからお願いいたします。
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