台湾旅行記2026(3日目編)
新婚旅行で初めて台湾を訪れてから早20年、コロナ禍の時期を除けば毎年訪れていたので旅程のどこかで台風が直撃したことは過去にも何度かあった。
今回がこれまでと違うのは規模と速度である。
今までならば台湾本島通過するまでに要するのは数時間程度、大体は夜のうちに過ぎ去るかもしくは午前中だけ我慢すれば午後からは通常営業という塩梅であったのだが。今回は影響圏が広く通過速度もそれほど速くないため上陸前のこの日から各行政機関や店舗が一時閉鎖や臨時休業を決定していく。
それでも上陸前日のこの日はまだスーパーマーケットを中心に開けている店が多く。部屋に籠城するための飲食物と各方面への土産物を購入することは可能だった。
いつもならホテルに隣接する三越や台北駅構内で大体のものがそろうのだが、今回は地下鉄2駅分くらい歩いての調達行となった。
目当てのスーパーに入店してみると、規模がそれほど大きくない店舗に明らかにキャパオーバーな買い込みを敢行する客ばかりで、店員さんたちはてんてこ舞いでレジ対応中。カゴの補充もされていなかったので声を掛けてレジ後ろのものを貸してもらわなければならないほどだった。
部屋にキッチンがあるわけではないので野菜類は無理としてもビタミン補充に果物が欲しいところだが、まだ朝9時だというのに軒並み狩り尽くされている。このあたりはコンビニでカットフルーツを確保できることに期待して敢えての見逃し。代わりに菓子類、牛乳、飲むヨーグルト、豆乳、そして土産用の蜂蜜あたりをきっちり確保できたので良しとする。
続いてサンメリーというベーカリーショップへ向かい、お土産用のパイナップルケーキと明日の朝食用に総菜パンを購入する。土産ものの調達がこの後期待できないからと大量に買い込んだからか、店員さんが別のレジへと誘導してくれた。そのうえ5個入りを6袋買うと1袋サービスでつけてくれることなどを日本語で説明してもらう。
夫婦合わせて9袋確保していたので「あと3つ買いますか?」と聞かれたものの流石にノー。
ここまでで既にあまりに荷物が重く、またかさばるようになったので一旦部屋に荷物を置きに戻ろうということになったが、さて昼食をどうしたものか。
コンビニで弁当を買って店で温めてもらい、それを部屋で食べるくらいしかないかなと思っていたところ。道すがらにある台湾スシローが開いていた。
台湾は言うまでもないが日本同様に島国であり、魚介類の美味さは身をもって知りぬいているところ。争鮮という地元ブランドの寿司の味は重々把握済みなので今回はスシローが台湾でどんなものを出しているのかのチェックも兼ねて購入。1台湾ドルが5円以上するので1パック10貫で1400円というなかなかなお値段になってしまったが、食べてみると日本でも1400円出していいレベルの味。特にマグロが上等で、バラエティーパックのマグロとマグロのみでの3貫セットで味がどのくらい差があるのかを確認しようと追加で買っておいて本当に良かった。ちなみに味に差はなく、バラエティーパックでもそうでなくても同じ質のマグロを使用していたようだった。
そんな感じで非日常の中にも満足度の高い昼食だった。
満腹になるとやる気も欲も湧くもので、雨がまだまばらなのをいいことに茶葉の老舗である峰圃茶荘へと足を向けた。今度は主に自宅用烏龍茶。ここで購入できる茶葉はなかなかいいお値段がするがそれ以上の満足を得られるので我が家の生活になくてはならない存在だ。土日のお楽しみであるファーマーズマーケットこと農市が今週は開催されそうにないため、その分の予算を注ぎ込んでいつもより多めに買い込む。
そして。農市が開かれないという事実はすなわち手の届くお値段での台湾産珈琲豆の入手が難しくなるということであり。この後も市内をあちこちうろついたが結局これの算段だけはつかなかった。手に入りそうな百貨店が三越、そごう、高島屋と軒並み臨時休業なのが痛かった。
ホテルの部屋へと戻る道中、台湾オリジナルの同人誌を購入すべくとらのあな台北店へと立ち寄ってみたのだが。こちらも臨時休業中。これまた入手のルートが非常に限定的という点では同じであり、来年に期するほかはなかった。メロンブックスやアニメイト、らしんばんの各台北店については場所がルートから外れるためアタックをかけなかったがもし開いていたとしたら惜しいことをした。
そのあとはもう流石に出来ることもあまり残っていないので荷物整理と昼寝で時間を消費する。まだまだ空模様も比較的おとなしめだったのでいっそまだ動いている鉄道を駆使して南部方面へ遠出をしようかともたくらんだが、戻ってこれなくなるリスクを考慮して断念。
そんなこんなで日が暮れて。台湾でも視聴可能なパリーグTVでも見て過ごしているうちに空腹が訪れたので部屋に戻ってくる時に営業中であることを確認済なホテル地下の大戸屋へと向かった。
これは日本食に飢えていたということではなく、ここなら選択肢が多いということから決定したもの。むしろ飢えていたのは台湾らしい食事である。まぁ、入店すると「いらっしゃいませ」と言われる店なので和食にならざるを得ないのだが。
なかなかに分量があるメニューから何か台湾ならではなものはないかとめくるうち見つけたのがマルコバンという魚の炭火焼き定食。台北駅2階のフードコートで毎年食べているサバヒーに続き我が食歴に未記載の魚がここで登場してくるとは。まさにこれだと飛びついた。
定食にはメインのほか味噌汁、茶碗蒸し、小鉢、漬物に大根おろしまでついてきた。実に豪華だ。
メインのマルコバン、身がふっくらとしていて実に美味い。日本ならひと塩振って焼くところだろうが、薄味嗜好の台湾なのでおそらくはそのまま焼いているがそれでも十分美味い。日本なら、という言葉が脳裏に浮かんだついでに調べてみたところ、マルコバンは我が国ではなかなか手に入らない珍魚らしく。貴重な味をひときわ深く噛みしめた。
また、炭火焼き同様に薄味嗜好が現れているのが漬物で、塩の気配が薄い大根の酢漬け。箸休めなのでこれで十分ではあるが、マルコバンは醤油をたっぷりかけた大根おろしと一緒に味わった。ご飯を大盛りにしておいて正解だった。
満腹が満足に通じる素晴らしい夕食、不幸中の幸いとはまさにこのこと。
地上に上がり、雨が小止みであるのを見て散策に出た。まだ開いている店はあちこちあり、ディスカウントストアや本屋に入り、愛用するヘチマの洗顔フォームや雑誌『月刊職業棒球(プロ野球)』を入手。
少ない機会ながらも得られるものがある。ありがたい限りだとしみじみ感じ入った。
なお、本屋で『高雄故事』という歴史ものの台湾オリジナル漫画を見つけたのだが帯の作家紹介欄に「BL」の2文字を見つけて購入断念。登場人物が砂糖工場の工員と帝国海軍少佐というなかなか興味深い組み合わせだったが、そこに展開するのが友情以上のものとなると伸びた手を引っ込めてしまった。
まだまだ修行が足らない。
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