ここだけの話 第２７話 帰り道の話 感想

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・「わたしそうたセンパイのこと欲しくなっちゃったんで」「ぐずぐずしてたらもらっちゃいますから」本当に不敵な笑みで大胆な宣戦布告しますねぇ。
・「ちょっと！」「勝手に俺をモノみたいに扱うのやめてもらえます？」多分モノみたいに思ってるんじゃないかね。あなたに限らず。
・「言っときますけどぉ」「ぶっちゃけわたしお酒強くて全然酔わないんですよ」「なのでぇ」「酔ったフリでも勢いでもなくそうたセンパイのこと狙いに行きますから♡」こわいよお。このひとこわいよお。冗談抜きでこれまでこうやって欲しいものをきっちり手に入れてきたんでしょうねぇ。
・『気まっっっっっず』どんな胃薬でも効かないレベルの重たい空気。
・悩む青年。まぁ、ここから今立て直すのは無理じゃないかなぁ。
・きゅっと。きゅっとするわけですよここでさわちゃん先輩が！迷子の女の子みたいに！たまらない！本当にこの人は手が口よりも物を言うなぁ。
・「も‥‥」「モテるなぁ青年！」強がりもこれが精一杯なんでしょうね。努めて明るく見せている姿に、実にこう、心かき乱されます。
・「いいんスかあんなこと言わせといて」「いいも悪いも現状私には何も言える権利はないわけだし」あったら言うんですね。ないから言いたくても我慢してるんですね。わかります。よくわかります。
・嵐が去って、帰り道。気運が壊れてしまって意気消沈する心をきっと彼はおくびにも出さずに歩くのでしょうね。
・「‥訊かないの？」「何がスか」「告白の返事ひとつになにがそんなに気になってるのとかさ」告白の返事というものは何がそんなにって言えるほど軽いものではないと、私は思います。
・「待つって言ったのは俺の方ってのもありますけど」「たぶんそれを訊いたところであんまり意味ないんだろうなって思うからですね」大事なものが何かをきちんとわかっていて、待つべき時を待てる青年はいいやつだ。誠実で、真面目で。もしかしたら、だからこそさわちゃん先輩は悩むのかも知れないですけども。好悪の感情だけでは動けないこともありますからね。
・「だいたい先輩が悩みそうなことなんてたかが知れてるんですよ」「あとはその結論を伝える覚悟が決まるかどうかでしょ」余裕のあるところを見せているのはおそらく青年なりの配慮であり思いやりなんでしょうね。
・「俺がここで帰したくねーなぁと思ってるのを」「鋼の理性で押し留めていることよかったら知っといてください」男の立場から言わせていただくと。これは実に気の利いた負け惜しみです。
・「帰したくない」って言ってる人間を部屋に上げようとするのはやっちゃダメですよさわちゃん先輩。そういうことをしていいって言っているようなものです。逆にまだ帰りたくないって言っている人間を帰しちゃうのもダメなんですが（１敗）。
・「俺と付き合うこともうちょっと真剣に考えてくださいね！」真剣に考えてない訳じゃないからこそ時間がかかっていると、たとえ頭ではわかっていてもこう言いたくもなるだろうなぁ。
・背中を向けた青年に、見せない見せられない表情のさわちゃん先輩。「はい」とも「いいえ」とも言えない理由がきっとどこかにあるんでしょうね。

　今回は感情がせめぎ合うお話だったので何度も読み返しては書き直しました。新たな発見があったり、考えすぎに気づいて改めたり。人が人を好きになることはこんなにも心揺さぶられるのだという当たり前のはずのことを何度も噛み締めて読みました。
　このような気持ちになれる良い作品と出会えたことに深く感謝します。

　作者ご本人のあとがきはこちらからどうぞ